マーケティングオートメーションでのシナリオ設計:第4回
若尾和広のコラムはこちら
【第2回】マーケティングオートメーションでのシナリオ設計
http://ecnomikata.com/ecnews/marketing/6473/
【第3回】マーケティングオートメーションでのシナリオ設計
http://ecnomikata.com/ecnews/marketing/6720/
「誰に」「何を」「いつ」を組み合わせたシナリオ検討:顧客動態分析からシナリオ大方針の決定
こんにちは株式会社ブレインパッドの若尾です。
過去3回に渡ってマーケティングオートメーションのシナリオ設計において「誰に」「いつ」「何を」顧客に伝えるべきなのか?について書いてきました。
それを踏まえて今回、それらを組み合わせたシナリオ設計と例についてお話したいと思います。
第一回でマーケティングオートメーションとでのシナリオ設計は「誰に」「いつ」「何を」の順で検討しますとお話しました。
また、「誰に」の考え方においてまず最初に顧客ライフサイクル軸へ顧客を区分けすることも重要ともお話しました。
1.まずライフサイクルセグメントの状態・推移を確認
保有している顧客をすべてライフサイクルセグメントに当てはめ、「見込み客」「初期客」「一般客」「優良客」「休眠・離反客」などの比率とその推移を確認します。
(「休眠客」と「離反客」を分けるか否かは再顧客化の可能性の有無で判断となりますので、最初はまとめて管理しても問題ないと思います)
ダイレクトマーケティングにおいてはビジネスサイクルとしてビジネススタート当初は「見込み客」や「初期客」の比率が大きく、売上・利益で大きな比率を占める「優良客」は少ない状況です。
それが、ビジネスを続けるに従って「一般客」「優良客」「休眠・離反客」が増加し、ビジネスが安定してくると「初期客」「一般客」「優良客」などのアクティブ客の客数が変化しなくなり、代わりに「休眠・離反客」が増えていく...と言ったサイクルとなります。
これらのライフサイクルセグメント軸での顧客の動きの状況によって、シナリオの大方針が決定されます。
流入が多く「見込み客」「初期客」が多い状況であれば、リードナーチャリング系の
・見込み客の顧客化シナリオ
(多くのBtoBでのマーケティングオートメーションはこのためのシナリオ)
・初期客の固定化シナリオ
(化粧品通販で良く行われるトライアル引上げのためのステップメール等)
などを再優先として検討することになりますが、優良客の不在や流入よりも離反が多い状況などについては、
・顧客の維持・育成シナリオ(通常の販促高度化や定期会員化など)
・休眠復活シナリオ(離反防止の為のポイントインセンティブ等)
などが優先的に検討する項目となります。
流入対策、育成対策、離反対策とそれぞれをすべて行えればもちろんベストですが、全方位で開始しますと効果検証や改善など継続するリソース(クリエイティブやスタッフの工数)が続かずマーケティングオートメーション化そのものに挫折してしまうケースも多いようなので、まずは優先施策の大方針を決定することが重要と考えます。
また、このようにライフサイクルセグメントベースで顧客の状況を確認(棚卸し)することでそれぞれのセグメント毎の顧客傾向や行動が把握出来るようになるという意味でマーケティングオートメーション以外にダイレクトマーケティングの顧客分析としても有効です。
2.優先するシナリオ大方針が決定したら、イベントへの分解を
1.の項でお話したようにシナリオ設計の大方針(流入対策なのか固定化対策なのか)が決定したら、その対象となる顧客のライフサイクルセグメント間のマイルストンとなる事象(イベント)を確認します。
BtoBのリードナーチャリングなどでは「資料請求」「見積り作成」など「見込み客」から「初期顧客」になるまでのイベントをいくつか設けるケースがわかりやすいかと思いますが、顧客固定化・育成においても、
「初回購入から何日以内に次回購入があれば、固定化率が高まる」
とか、
「初回購入後の半年で◯回以上の購入経験があれば、インセンティブなしでも購入する固定客になる」
などのルールが発見されます。
また、離反防止においても、
「◯回以上メールの開封が無くなったら離反確率が高まる」
とか、
「最終購入または最終Web来訪から◯日以上経過すると離反率が高まる」
など、顧客の行動を分析して何がトリガーとなって顧客のセグメント移動が発生しているのか?を確認しつつイベントとして設定することとなります。
(この場合イベントとはメール開封やWeb来訪)
第5回ではこれら分解されたイベント間の深掘りと、コンテンツ設計までの考え方及びシナリオとしての実装についてお話したいと思います。