第4回:いちモールである「DeNAショッピング」がインフルエンサーマーケティングを行う理由

八津川 博史

第2回:「DeNAショッピング」が考える「理想のモール」のカタチとは
https://ecnomikata.com/ecnews/strategy/8715/

第3回:価格だけじゃない「商品の魅力」を伝えるための施策とは
https://ecnomikata.com/column/9059/

「DeNAショッピング」では、新たな集客の施策として3月から「インフルエンサーマーケティング」をトライアルで開始しています。
「インフルエンサーマーケティング」とは、ターゲットに対して影響力を持つモデル・タレントといった方のSNSなどを利用したマーケティング手法です。

店舗とモデルがコラボして水着を開発

「DeNAショッピング」では、若年層へ影響力をもつモデル・タレントを中心に約150名のインフルエンサーと連携、SNSにおけるフォロワー数はのべ7,000万人を超えています。現在は約10件以上の企画が進行しています。具体的には、店舗さまとインフルエンサーによるコラボ商品の開発(例:水着など)や、店舗さまの商品をインフルエンサーに監修やディレクションを行っていただいたりして商品開発の段階から深く関わってもらい、本当に気に入ってもらえた商品を「お気に入り」として紹介してもらうことが重要だと考えています。

「DeNAショッピングだからできること」を考えてたどり着いた

『なぜ、いちモールである「DeNAショッピング」がそんなことを行うのか?』と思う方もいらっしゃると思います。本コラムでは以前にもお話していますが、私たちがもっとも大切にしているのは「店舗さまの視点で考えること」「私たちならではの価値を店舗さまに提供すること」で、「前職では店舗を運営していた」というスタッフも所属しています。背景としては、若年層の購買活動が近年は大きく変化しており、検索エンジンを用いてものを探すのではなく、友人やお気に入りのモデル・タレントが身につけているものをSNSで情報を得て購入する傾向にあると言われていることを受けての部分もあります。ゆくゆくは集客サポートに加えて、コンテンツサポートもいきたいと考えています。

なお、もし店舗さまが独自に前述のような施策を行おうとする場合、通常は代理店を経由してインフルエンサーを起用すると、コストの面で大きな負担がかかります。ですので、店舗さまの負担を軽減させるべく、モール内でのオプションとして提供することを決定しました。現在、このインフルエンサーマーケティング施策は既存の広告とセットで提案しており、モール内での導線も確保することができるので、店舗さまにも好評です。スマートフォンからの利用が多い「DeNAショッピング」はいわゆる“土地面積”が狭く、広告枠も限られていますが、こうした施策を行うことで、お客様との接点を増やしていきたいですね。

本当は、この店舗さまとこのインフルエンサーがこんな商品を開発やこんな面白いコンテンツを企画しているんです、とお伝えしたいのですが、諸般の事情で具体例を挙げることができず……心苦しい思いです。
少し先になってしまいますが、夏ごろに大きなコラボ企画を公開するべく、鋭意進行中ですので、楽しみにしていただければと思います。(どんなものが完成するのか、私も楽しみです)

次回は、スマートフォンからの利用が約8割を占める「DeNAショッピング」の、スマートフォンUI/UXについてお話する予定です。


著者

八津川 博史 (Hiroshi Yatsukawa)

株式会社モバオク 代表取締役社長
株式会社ディー・エヌ・エー EC事業本部 ショッピングモール事業部長

1973年 大阪府生まれ。京都大学 総合人間学部卒。
中堅企業向けのコンサルティングを行う会社へ新卒入社後、
2000年に株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。
営業本部長、社長室長、事業戦略部長を経て2005年に
ソリューション事業部長に就任。大手企業のEC事業強化に携わったのち、
2007年にDeNA子会社である株式会社エアーリンク(現:DeNAトラベル)へ
取締役 オンライン事業部長として出向。
2014年、DeNAとKDDI株式会社の共同出資会社である株式会社モバオクの
代表取締役社長に就任。
2015年10月からはDeNAのEC事業本部ショッピングモール事業部長を兼任。