NEC構築のやずや新通販システム、CRM革命始まる!

ECのミカタ編集部

やずやを表すなら、肉じゃがのおばちゃん?

 「作り過ぎちゃったから、肉じゃがもらって!」

 そう言い肉じゃがを渡してくれるおばちゃん。しかし実は作り過ぎてなんかいない。おすそわけの分を最初から作っているのだ。そしてその肉じゃがの中に、感謝の気持ちを込める。それを“作り過ぎたから”という理由で渡せば、相手に気を遣わせず喜んでもらえて、夕飯を助けることができる。

 相手を立て過ぎず、ほどよいおもてなしをするおばちゃんの話。これはやずやグループ未来館 代表取締役社長 西野博道氏が話してくれたエピソードだ。単品通販の株式会社やずや(以下、やずや)からも、お客様に対しておばちゃんのような“おもてなし”を感じることができる。そしてやずやが成功した理由はおもてなし、つまりCRMにあるといっても過言ではない。

 何よりCRMを大切にする姿勢は変わっていない。しかし約20年前は今のようにコンピューターがなかった。そのため、お客様1人1人の情報は分厚いカードとなり、1人のスタッフの引き出しに約4,000人分のカードが入っていた。そこから顧客情報などCRMをシステム化し、お客様が増えるにつれて最新の機能を継ぎ足しておもてなしを提供してきた。そして2016年10月25日、やずやは新しい通販システムを導入したことを発表した。

やずや、NECの協力により新通販システム導入

 新しい通販システムは、画面操作性に優れており、販促施策をタイムリーに実現することができる。開発・構築し、根幹の部分を担うのが日本電気株式会社(以下、NEC)であり、新通販システムはクラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」上に構築した。(「NEC Cloud IaaS」とは、サーバやストレージ、ネットワークのリソースを、月額や時間課金で利用できるサービスだ。)

 また、DM・在庫管理・問い合わせ管理などの関連システムも「NEC Cloud IaaS」上に構築するとともに、別のデータセンター上の既存ECシステムなどと相互連携させることによりハイブリッドクラウド環境を実現した。

 今、やずやが新通販システムを取り入れた理由は、長年CRMを強化するべく開発・改修するなどしたためにシステムが肥大化と複雑化したためだ。そんな中でやずやでは、タイムリーな販促施策の実施やシステム開発・運用の負担軽減に対するニーズが高まっていた。さらには大規模災害に備えた、事業継続性の向上も求められていた。やずやはお客様によりスムーズなおもてなしを提供するため、そして自社の課題解決のために、新通販システム導入へ踏み切った。

やずや、新通販システム3つのポイント

やずや、新通販システム3つのポイントやずやのシステム基盤 全体像

 「NEC Cloud IaaS」上に構築された、やずやの新通販システムは3つのポイントがある。

①使いやすい画面で操作性を向上、顧客対応力を強化
 やずやのおもてなしの重要な位置にあるコールセンター。そのオペレーターや販促部門が利用するシステム画面は業務を徹底的に検証したユーザー中心設計になっており、直感的に操作ができる使いやすさになった。そのため初心者でも簡単に操作が可能に。

 またこれまで季節や顧客ごとにノベルティや試供品、チラシ同梱の施策を行う際に、販促部門が情報システム部門に依頼する必要があり、データベース上のマスタ変更やプログラム改修などに時間を要していた。しかし今回新システム導入にあたり、販促部門・オペレーター自身が1時間程度でシステム変更を行うことが可能になった。そのため施策数が以前より増加したり、タイムリーな販促施策実施など、自社課題を解決した。

②システム開発・運用の負担を軽減
 フレームワークを活用したシステム要素での構築により、様々なシステム要件に応じた回収作業が容易になった。また、パッケージ製品や独自システム開発と比べて、開発にかかる負担を軽減することに成功。そして販促施策に関わるシステム改修作業を軽減することができるため、データベース上のマスタ変更やプログラム改修の頻度も減少。これによりやずやはシステム開発・運用の負担を軽減、外部委託していたシステム要員を今までの半数に削減することができるとしている。

③事業継続性を向上
 本番環境が置かれたNEC 神奈川データセンターは、高度なセキュリティを実現している。例を挙げると、顔認証システムでの入退室管理や 24 時間 365 日の運用監視など。また、堅牢な施設、冗長化されたネットワークや電源機器などを備え、災害に強い環境を提供している。また九州のデータセンターを活用し、災害などで被害を受けたシステム修復ができる環境を構築することで、万一の大規模災害にも対応できるなど、事業継続性を向上することができるようになった。

ECにもっとおもてなしを。やずやに続け

 今回やずやは新通販システムを導入することにより、お客様へ今まで以上のおもてなしを提供、そして自社が抱えていたシステムの複雑化などといった課題を解決することができるだろう。これまで築いてきたシステムを新しくする、これは社運を賭けた大きな一歩なのではないだろうか。

 ECはインターネットで買い物が解決する。これは便利な反面、お客様にとっては機械的に感じられてしまう。今、ECサイトはやずやのようなCRMを強化し、お客様との人間味のある信頼関係を作り上げていくことが求められていると思う。そういった面で新通販システムを導入したやずやが、今後お客様へどういったおもてなしを提供していくのか、注目していきたい。


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