ヤフーの一翼を担うヤフオク!〜一条氏が語った新たな一面

石郷“145”マナブ

出品数が前年比127%、落札数が110%と順調 ヤフオク!の成長を牽引する店舗は?

出品数が前年比127%、落札数が110%と順調 ヤフオク!の成長を牽引する店舗は?

 先日、ヤフー株式会社(以下、ヤフー)が、「Yahoo!ショッピング」で「Best Store Awards」を開催し、そこでの潜入レポートを書いたが、一方で「ヤフオク!」でも、先日、リッツカールトン東京で「ヤフオク! Best Store Awards 2016」を開催した。同アワードは「ヤフオク!」に出店している約2万店を対象に、売上やお客様の評価などを総合的に評価し、優れた店舗を選出・表彰するものだ。

 同アワードが選出したのは、「総合賞」(5店舗)、「部門賞」(全15部門/各3店舗)、「特別賞」(全4部門/各1店舗)で、総合グランプリには、8年連続の受賞となる株式会社デファクトスタンダードが運営する「ブランディア」が選ばれた。同店舗は、「総合賞」以外にも「レディースファッション部門」「ブランド部門」「アクセサリー・時計部門」でもそれぞれ1位を受賞した。以下、総合賞は、2位「ReRe オークションストア」 3位 「エコリング」 4位 「ヤマト」5位「リサマイ」 と続いた。

 そのほか「Best Store Awards」では、ヤフオク!カンパニーユニットマネージャー 一条 裕仁 氏がこの場に登壇。今後、Yahoo!ショッピングと同じ「コマースグループ」となることもあり、注目度も高い。氏による振り返りと語られた今後の展望を、紹介しようと思う。

 授賞式とともに、店舗の顔つきが変わったのは、一条 裕仁 氏が、今後の方針に関しての説明が始まったところだ。一条氏は、説明の冒頭、昨年より出品数が前年比127%、落札数が110%となっており、なかでも、100万円以上の落札個数は月間約180個と、オークションらしく「価値あるものを価値あるものと高く評価して、落札につながっていること」を強調している。

 ヤフオク!自体も盛り上がっていて、年間の取扱高が1億円を超えるストアが300以上を数える。全体の取扱い高は前年比104%と微増である中、今回のアワードで受賞されたストアの取扱い高は前年比119%となっており全体を牽引していると言っていいだろう。

ヤフオク!の施策が若年層にジワリと効いてきた

 今後の展望についても触れまず第一に、主なユーザーが40代、30代、50代と続いており、20代、10代を強化していくことを明らかにしており、そうした姿勢は、昨年の施策にも表れている。

 まず、Yahoo!かんたん決済を活用することで、クレジットカード、インターネットバンキング、コンビニ支払いなど、決済手数料の無料化を実施した。これにより、かんたん決済の利用者は、実施前50%だったのが、実施後は80%と伸長している。

 また、ワンプライス出品を実施して、フリマ感覚で出品できる環境を作った。これにより10代〜20代における獲得実績の比較をしたところ、オークション経由に比べて、約1.7倍となった。しかも、ワンプライス出品で考えると、ワンプライス出品の中で、20代が占める割合が、トップとなるなど、導入の効果がみられる。

 事実、最近、ブライスドールを起用してシュールなTVCMを通して、ワンプライス出品のアピールを強化し、また、友達紹介すれば200ポイントをプレゼントする施策なども行い、その勢いは増している。

 こういう攻めの姿勢で、出品者数が増加し、商品数が増加、競争が活発になることで、売り場の魅力が向上し、落札者数が増加し、取扱い高が増えることで、出品者の増加につながるという一連の成功サイクルを思い描き、そこを着実にこなして、成長につなげていく考えだ。

 ヤフオク!もまた、Yahoo!ショッピングと同様、いい買い物の日などの落札数が増加するなど、いい意味で、相乗効果が生まれており、同じグループとなって、その度合いは増していくだろう。本当の意味で、ヤフーという会社の「コマース」の真価が問われるのはこれからかもしれない。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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