アスクル、物流センター火災の記者説明会を緊急開催

 アスクル株式会社(以下、アスクル)は、2月16日、午前9時頃発生した「ASKUL Logi PARK首都圏(物流センター)(以下、ALP首都圏センター)」における火災について、代表取締役社長 岩田彰一郎氏らが出席し、記者説明会を実施した。

火災に関する状況説明

 ALP首都圏センターは、2013年に設置されたもので、2万坪の大きなセンターで、収容人数764名で、1階が商品の入荷スペース、2階が商品棚から商品を取り出すスペース、3階が自動倉庫スペース、保管スペースとなっている。これら建物及び設備は、アスクルが所有しており、運営については、アスクルロジストが担当している。この物流センターには、7万点の商品を保管されていて、米や水、ゴミ袋、飲料、日用品、乾電池、時計のほか、コピー用紙などの紙類までカバーしていた。

 火災の状況を整理すると、2月16日木曜、火災当時は446名就業中、負傷者2名(現在は復帰)であった。その後、土曜の深夜に延焼が拡大し、近隣避難勧告を行い、22日に鎮圧し、避難勧告解除、避難所閉鎖、交通規制解除を行なって、28日鎮火となった。

 既に、周辺の環境調査として、大気への影響として空気の採取や、下水への影響として、下水道の調査なども行なっており、今回の影響の大きかった住民300世帯に一律のお見舞金を支払っている。

アスクルとして考える業績への影響

アスクルとして考える業績への影響

 業績への影響については現状、建物内に立ち入れないことから、現時点においてなお未確定とした。実際、気になるのが、ALP首都圏センターがどれだけの物量シェアを占めていたかということになるが、全体の22%を占めるという。

 主にどの事業に影響が出るのかということになる。まずBtoB事業に関しては、このセンターがカバーしている割合はわずか9%だ。それゆえ、影響は少ないとして、当面は、他6センターでカバーできるとしている。そのため、現時点で、BtoBに関してはすべての商品を購入できるとしており、当日配送、翌日配送も通常どおり運営している。

 ただ、LOHACOに関しては、全体の62%をALP首都圏センターが占めていることから、その影響は免れない。具体的には、東日本エリアで、配送に遅れが生じている他、商品もまた一部商品限定した販売となっている。ただ、限定1時間単位で刻んで、配送時間を指定できる「Happy On Time配送」に関しては通常運営を行なっており、依然として自社物流を持つ同社の強みはしっかり継続していることもわかった。

LOHACOの完全復帰は?

 これらBtoB及び、BtoC共々の完全復活に向けた動きとして、まず、3月末、埼玉エリアに最初5000坪の代替センターを、続いて、湾岸エリアにも6600坪の代替センターを、そしてLOHACOの完全復活のため、場所は未定だが9月末にも8000坪程度の代替センターを設置することを発表した。

 そして、席上、LOHACOに関しての完全復活に関しては、6ヶ月後をした。それまでは若干、LOHACOユーザーにとっては不便を強いることもあると思われる。

 アスクルの「LOHACO」においては、自ら購買行動についてのビックデータをオープン化し、自らメーカー同士の垣根を越えて、商品開発をする場「LOHACO ECマーケティングラボ」を用意し、ECを通して革命を起こしてきた。それだけに、同社の落ち込みは、この業界にとってあってはならないと僕は思っている。

 また、僕は敢えて、「LOHACO ECマーケティングラボ」の取り組みはどうなるのかという質問をさせていただいた。すると、岩田社長からは「今回、色々なメーカーの方にご迷惑をおかけして申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、その姿勢は失うことなく、今もやっていますし、これからも継続してやっています」と話してくれ、ここでつまづくことなく、LOHACOならでは、の商品は生まれ続けることを約束してくれた。

 また、同ラボによって生まれた商品もお客様から支持されていることもあり、なるべく優先して出荷できるようにしていくとした。今回の記者説明会で、真摯に向き合うその姿勢は見られたし、あとは業績への影響をどれだけ抑えられるか、だと思う。今はぐっと堪えるときだ。メーカーとお客様に、新たな文化を意気揚々と、生み出してくれるアスクルを本当の意味で取り戻す日を僕は待ち望んでいる。

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