IBM Watson等、AIは東京ガールズコレクションの女性も惹きつけた

石郷“145”マナブ

 少し前になるが華やかな祭典「東京ガールズコレクション」でふと目に止まることがあった。それはAIについてだ。最近は、AIが随分と脚光浴びているが、感度の高い女性が集まる「東京ガールズコレクション」でもAIがクローズアップされているのをみて、少しずつ今時の特に今を謳歌する女性の感性の近いところにまで、浸透しようとしているのだと実感したのだ。

IBM Watsonのドレスは今の感情を映し出す

 ステージ上で彩る「コグニティブ・ドレス」が、来場者たちの驚きをもって迎えられた。実は、特定のハッシュタグが付いたツイッターの投稿のテキストから、書いた人の喜び・興奮・好奇心などの感情を認識して、色が変わるドレスで、そこのバックで動いていたのが、IBM WatsonのAI技術なのだ。

 AIは、一言で言えば、人間と同じ知的能力を持ち、これを様々な機械の中で実現させることを言うわけだが、要は、技術が向上しているから、この分析の精度が高くなった、それに伴い、コンピュータが導き出す答えは、実に多様化して、上記のようなことを可能にしたのだ。

 また、会場に集まる女性を撮影し、AIによる審査員が順位をつける企画があった。ここでも 9DWという会社の手により、AIがファッションに生かされる可能性を表現したのだ。このカラクリは、Instagramでファッションに関するハッシュタグをつけている画像で、特にいいねが付いているものを、評価の高いものと定義し、その色合いと形を認識させたというもの。

 すると、それに近い来場者のファッションこそが、優れたものだと判断され、上位にくるというわけなのです。これを、ECに置き換えれば、ふさわしいファッションの提案に結びつけることができるようになるということなのではないかと思った。だとすれば、そこには新しいショッピングの提案がありそうだ。

あくまでデータなしにはありえないAI

 このようにAIの進化で多様化し色々な場面で使われる機会は増えていて、人間の存在を脅かすものではないかという声も少なからずある。ただ、忘れてはならないのが、それはデータあってこそのことである。

 だから、大手企業の多くがデータの重視をするようになっている現状もうなづけるし、また、逆に人々の消費行動を浮かび上がらせるECは、その人のうちなる個性を引き出す、格好の材料なので、ヤフーなどが最近になって、ECを重要視するのもわかる。

 まさにAIはあくまで過去のデータから生み出す、適切な答え。優れた我々のパートナーと言って相応しい。ただ、そこには人の感情を高揚させるだけのアイディアを0から1で自分で生み出す力も、予想外に人を喜ばせる行動も難しいのも事実。AIの登場は、今一度、人間に、自分たちができることは何かを考えてみる契機になるに違いない。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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