「売れるAbemaTV社」が目指すECの未来は?波乱の予感「忖度なし」で「待ったなし」

ECのミカタ編集部

 株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区)は、インターネットテレビ局「AbemaTV」を通じたインターネットテレビショッピング事業を行う新子会社として、株式会社売れるAbemaTV社を株式会社テレビ朝日および株式会社ロッピングライフとの共同出資にて2017年12月1日に設立したと発表した。

 これまでの「AbemaTV」の収益源は、「無料で楽しめる生放送番組内で放送するCMの広告収入」と、「見逃した番組をいつでも好きな時に見ることができる機能『Abemaビデオ』の課金収入」の二軸が中心だった。今回新たな収益源を狙う。それが「売れるAbemaTV社」と名付けられた通信販売事業だ。

 売れるAbemaTV社は、「AbemaTV」の番組と連動したインターネットテレビショッピング会社として、今後、通販番組を「AbemaTV」内にて放送し、商品の販売を行うとしている。「AbemaTV」は2017年11月時点でダウンロード数が2,300万を突破しており、視聴数もある程度確保される状態でスタートできそうだ。

 番組開始は2018年1月を予定しており、商品の販売開始はそれ以降になりそうだという。購入方法としては、販売スタート時は別に用意されたECサイトから購買する形になるが、その先はAbemaTV内で購買を完了できるような形を目指していくとしている。

波乱を巻き起こしそうな「売れるAbemaTV社」

 ライブコマースではなく、現段階ではTVショッピングに近い形となりそうだが、ゆくゆくはライブコマースにも進出するのだろう。スマートフォンとECの相性の良さから考えて、手軽にショッピングを楽しめる構造を構築していく手法は手堅いなと感じる。

 2017年9月期の連結決算によると、AbemaTVは約200億円の赤字。好調なゲーム事業を中心に、ビットコインなどのフィンテック関連にも進出する動きもあり、「AbemaTV」だけでの事業完結は今のところ意識していないようだが、この200億円の赤字から始まった事業がどう推移していくのかは大きな注目を集めている。次々と事業を仕掛けるサイバーエージェントのスピード感はまさに「待ったなし」と言ったところだ。

 それにしても「売れるAbemaTV社」というネーミング。EC業界に身を置く方ならピンときたかもしれないが、あの某社とは関係がないようだ。しかしながら、”知っててやってる感”が全開なのでTV業界だけでなく、「EC業界にも忖度は無しだ!」という姿勢の表れのような。色んな意味で「売れるAbemaTV社」は波乱を巻き起こしてくれそうだ。

ECノウハウ


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事