EC業界News1週間まとめ〜ヤフー社長交代がメディアの未来を明示/西友連携で楽天なりの“プライム”越え

石郷“145”マナブ

こんにちは
メディア編集部 石郷です。
今週読まれたのはこちら。

■ 【速報】ヤフー社長、宮坂氏から川邊氏に交代 小澤氏はコマースのトップに!
https://ecnomikata.com/ecnews/17670/
■楽天とウォルマートが戦略的提携!楽天西友ネットスーパー誕生/小売りが変わる?
https://ecnomikata.com/ecnews/17692/
■ 商品写真から直接購入できるようになる『+genic store assist』が提供開始
https://ecnomikata.com/ecnews/17628/
■ 楽天 IT学校 甲子園 優勝は?〜独占企画 高校生のホンネ聞いてみた
https://ecnomikata.com/ecnews/17635/
■ 「LINEショッピング」掲載アイテム数が3,000万点突破!気になるユーザー属性は?
https://ecnomikata.com/ecnews/17648/

ヤフーが目指すのは新しい“メディア”の在り方なのでは?

ヤフーが目指すのは新しい“メディア”の在り方なのでは?

 よく読まれていたのは、ヤフーの社長交代の話題でした。ヤフーは宮坂さんから川邊さんへと社長交代が発表されました。宮坂学さんはスマホへの注力をしECを強化を推し進めてきましたが、新社長の川邊健太郎さんはこれからデータビジネスに注力していく宣言をしました。

 僕は記者会見で彼らのやりとりを見ながら、これがヤフーのあるべき姿なのだろうなとも思いました。彼らはYahoo! JAPANという強力なメディアを持ち、マスに近い力を持ちながら、その一人一人のデータを残して活かせる強さも備えているように思います。

 例えば、ヤフーのアプリには実にいろいろなものがあり、例えばMAPでいえば単なる地図というよりは近くのカフェがどこにあるのかなど、エンタメ要素を持った“メディア”になっています。PCの時代からメディアとして集まった情報をコンテンツとして切り分け、テクノロジーとうまく結びつけてお客様の利便性を高めているわけです。

まだまだ未完成だからこそECが大事な存在として補完する

 しかしながらまだ旧態然の部分もある。ヤフーはここでもまだまだ一方的な発信する段階と言えます。もしもここでユーザーがどんな人であるかがわかれば適切な情報を提供したり、アドバイスしたりができるようになってくるように思います。僕のようにカフェが好きな人は、こちらから何かをいうまでもなく、あと何キロのところにカフェありますよ、と指し示しても面白いでしょう。

 僕は宮坂さんが掲げた「スマホ」強化はここまできて結実すると思っています。その上でもっと個人に迫らないといけない。だからこそ、二つ目の「ECなどへの注力」が意味をなすのだと思っています。ECに価値を感じさせて会員化してもらえば、そこをフックによりその一人一人の情報の精度が増していきますから。

 あとはどうデータを集め、生かしていくかという部分にきて、会社全体がこの一つの方向性にまとまっていく必要が出てきました。全体の各部署の一つ一つをどう位置付けていくか、その着地につなげていくか。この領域に詳しい川邊さんに託すことで、またひと世代若い層に常務含め、新経営陣に任せてみる事で、ヤフーの新たな可能性を見たのだと思います。

「paymo」で見える個人の姿に決済の可能性を見る

 話が逸れますが、先日「paymo」という割り勘アプリをやっているAnyPayの方の話を聞いていてハッと思うことがありました。「決済が分かると、その人が幹事をやることが多い人なのかも見えてくるし、その人がどんなコミュニティに属しているかも見えてくる」と。おそらく EC同様に、決済もまたデータから見えてくる人間像があるわけです。

 だとすれば、データがもたらす利便性はもっと最大化されて然るべきです。ヤフーのコマース事業にはよく見るとECやヤフオク!に加えて金融も入っています。つまり、データを生かすための環境をいま着々と構築しているということがこのことでも分かると思います。ちなみに、それらのコマース事業を統括するのは、小澤隆生さんとなることも発表されました。eコマース革命で新たな時代を作ったイノベーターが時代をどう変えていくのか楽しみな気もします。

楽天マートが合併されていたのは必然だったのか?

楽天マートが合併されていたのは必然だったのか?

 そして、業界内では深い関心を持って受け止められたのは、楽天とウォルマートの業務提携の話になります。中でも、ウォルマートの傘下にある「西友」とともに、ネットスーパー「楽天 西友 ネットスーパー」を協働運営していくということがポイントでしょう。

 そもそも楽天には生鮮食品の宅配サービス「楽天マート」があるので、生鮮食品というと、まずそちらを思い浮かべる人もいるように思われます。ところが、実は、楽天マート株式会社を昨年10月に吸収合併することを発表していて、それも合併の予定日は2月1日でした。まさにそのタイミングでこの業務提携があったわけです。

 狙いとしてはネットで注文を受け近所にある西友が物流拠点となって、入荷したばかりの新鮮な野菜などを配達するという要素があるでしょう。いうまでもなくそれは即配達の要素で強みを持つことができます。一方で楽天マートのノウハウも蓄積されていると考えれば、ここには倉庫から生鮮食品を送るという要素も持っています。

楽天がまだ存在感を発揮できていない物流の強化

 西友の実店鋪と倉庫の両方ができるようになればその分、生鮮食品を求めるユーザーのニーズに今まで以上に的確に応える事ができるようになり、西友にとってみればお客様の新規獲得と売上の向上につなげられる一方で、楽天もまた今まで生鮮食品のパイを取る事が出来ます。このパイを取れれば今後、このジャンルにおいての倉庫を拡充していくことも余裕をもって行いやすくなりますから、自らの会社の成長に合わせて、この生鮮食品のジャンルを強化していく事が出来ます。

 そして言うまでも無く、この部分の補強をする事で、少なからず「Amazon フレッシュ」に対抗していく事ができるようになる。以前に、三木谷浩史さんの話している内容を聞いていて、Amazonのプライム会員の特典のようなことは楽天には出来ないが、その代わりポイントを使って経済圏を作り、その中でメリットを提供していく事で、お客様の囲い込みをしていくのを進めていくのだろうなと思いました。

楽天ビック、楽天西友、次は・・・

楽天ビック、楽天西友、次は・・・

 この西友との連携で生鮮食品の物流網を確保しましたが、少し前には楽天ビックの誕生もあり、家電の物流網を確保しようとしているのも記憶に新しいです。ECの利便性の中には当然、物流網の強さが重要になっていくので、これからもこの手の連携を増やしていくのではないかと思いました。

 ショッピングモールは直販と出店型の共存で成り立っていくのではないかと思いますし、今後、ロイヤルカスタマーの育成に力を入れていくのではないかと思います。楽天はECの商店街でしたが、ECを軸にした経済圏になっていくでしょう。出店店舗も巨大な経済圏にどう関わって自分達の価値を高めていくかという視点で見ていく時代へ移ってきたと思います。

 というわけで今日はこの辺で。
笑顔あふれる1週間でありますように。
また来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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