Amazon PayスマホのQRコード決済に参入〜Amazonの狙い/キャッシュレス時代到来か

石郷“145”マナブ

 最近、様々な企業からスマホ決済に関する話題が聞かれるようになった。そんな中でいよいよアマゾンジャパン合同会社(以下、Amazon)も動いた。Amazonは、記者会見を行い「Amazon Pay実店舗におけるスマートフォン決済」に関する発表を行ったのだ。

Amazon PayはECに活力をもたらした。そして第二章

 そもそも「Amazon Pay」という名前はオンラインの場で馴染み深い。言うまでもないが、Amazonのアカウントさえ持っていれば、アカウントの登録内容で決済ができるというものであり、最初こそ劇団四季、出前館くらいであったが、今では独自ドメイン等、多くのEC事業者に利用されている。

 ここまでの成長を後押ししてきた理由は3つある。ID、パスワードを繰り返し覚えなくても、Amazon アカウントだけでログインを済ませられる利便性の高さ。そして、配送に必要な情報を入力することなく必要事項が埋められるスピード。最後に、不必要にクレジットカード情報を晒すことなく完了する安心感だ。

 これら3つの点がお客様にとって買いやすい環境を作り、Amazon Payは多くのEC事業者に受け入れられ、また、多くのお客様に使われてきた。オンラインで活用する場面が浸透してきた中で、Amazonが出してきたのがAmazon アカウントを使った「キャッシュレス化」への動きだったわけだ。

Amazonがスマホ決済に本腰を入れる

Amazonがスマホ決済に本腰を入れる「コネクテッドコマース」構想。オンラインだったのが、スマホなど様々なデバイスで、オフライン環境においても、総合的にサービスを提供していくという。

 冒頭でも触れた通り、Origami Pay、楽天、LINE、ヤフーグループが提供するPayPayなど、様々な企業がスマホ決済サービスを投入しており、ここにいわゆるAmazon Payが上記のようにアクティブに使われるアカウントであるという強みをもって、Amazonも参入することとなったのだ。

 Amazon Payでスマホ決済をより効果的に実現させるべく、Amazonは株式会社NIPPON PAYとの連携を発表した。NIPPON PAYはドコモのMVNOとなっており、多くの実店舗に独自のタブレット端末を無料で提供。遠隔でこのタブレットに対してアプリのような形で、新たなサービスを提供してきていた。

 今回のAmazonはこのNIPPON PAYと連携することにより、 Amazon Payを提供し、このタブレットを通して、一気に中小規模の店舗を中心に、Amazon PayによるQRコードを使ったキャッシュレスの環境を作っていこうというわけなのだ。

Amazon Payでスマホ決済する方法とは?

Amazon Payでスマホ決済する方法とは?

 利用方法は簡単で、お客様の側は日頃持ち歩いている「Amazon」アプリを開くだけだ。アプリ左上にあるメニューに「すべてを見る」という欄があるので、そこを開くとその人のAmazonアカウントのQRコードが出てくる。あとはこれを差し出すだけなのだ。

 一方、店舗の側はというと、今説明したNIPPON PAYの完全子会社、NIPPON Table社が提供するタブレット端末(NIPPON Tablet)でAmazon Payを開く。すると、電卓のような画面が出る。そこで金額を入力すると、QRコードを読み込む画面となるので、先ほど、お客様が差し出したQRコードを読み込むだけで、決済完了となるのだ。
 
 NIPPON PAYはこうも話している。最近ではQRコード決済が増えてきたことで、静的なQRコード(例えば、紙に印刷したQRコードを提示するなど)が増えていて、これであれば実店舗において、同じ紙に複数のQRコードが印刷されていたものがあったりと、どのQRコードを使えばいいか、お客様が困惑してしまうはずだ。

 だから、自分たちはタブレットを使うことの意味を感じていると言う。かつ、自ら端末を提供するので、そこにかかるコストもかかることはない。特に昔ながらのPOSもないレジの店でも、自分たちのサービスが救世主になれると、自分たちの築き上げてきたインフラに同社は胸を張った。

 そして、その成長を見込んで、2018年末までにAmazon Payの申し込みをした店舗については、2020年末までAmazon Payにおける決済手数料0円とすることも発表。上記の通り、端末も無料であり、これで、また一つ、店にとっては新たな決済手段を手に入れることになった。また一歩、時代が前に進んだと言っていい。※写真にある「売上金回収が早い(最短翌日)」は最初からの提供ではなく、今後そうしていく予定だとNIPPON PAYは話している。

スマホ決済でAmazon Payの強みを生かし、そして・・

 勿論、NIPPON PAYの提供するサービスもネットワークも魅力的ではある。また、そこと連携してAmazonがキャッシュレスにも舵を切ったのは流石である。しかしAmazonはそこまでしなくても、独自で店舗向けのAmazon Payアプリを提供することで、スマホ決済を広めていくこともできたように思える。

 ただNIPPON PAYとの連携であれば、Amazonとしてスマホ決済にかかる負担は小さくなる。勿論、時代の流れを受けて、スマホ決済への参入への決意したのかもしれない。しかし、彼らの頭にあるのはどちらかと言うと、お客様に、今よりもっとAmazonスマホアプリを使ってもらうための動きなのではと思った。

 Amazon Payの勢いに乗って、それをフックにAmazonスマホアプリの利用機会を増やす、というわけで、それ故にスマホ決済なのだと僕は思うのだ。それだけAmazon Payは、井野川氏らの努力の甲斐あって3年ほどでAmazonの成長を担う大事なコンテンツへと成長したと言ってもいいだろう。

 いずれにせよ、Amazonはスマホ決済に名乗りを上げたということだ。いよいよ実店舗でのスマホ決済に役者は揃ってきたように思う。さあスマホ決済時代の幕開けだ。人々の生活が変わり、何年か後、どこが最終的に覇権を握るのか。期待を持ってその動向を見つけていきたい。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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