2019トイレタリー市場は前年度比1.8%増の1兆9,548億円規模 今後も越境ECなどで根強いニーズか

ECのミカタ編集部

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のトイレタリー用品、主要50品目の市場を調査し、市場規模や品目別動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査概要

1.調査期間: 2019年9月~11月
2.調査対象: トイレタリーメーカー、その他関連企業等
3.調査方法: 同社専門研究員による直接面談、郵送アンケート、業界団体等調査ならびに文献調査

海外需要が今後も伸びる

海外需要が今後も伸びる

◆市場概況

調査によれば2018年度の国内トイレタリー市場規模(メーカー出荷金額ベース、5分野50品目)は、前年度比99.6%の1兆9,195億5,000万円となった。2018年度は、衣料用や台所用の洗剤や柔軟仕上剤などが詰替えタイプにシフトしたことによる単価下落、各社の価格競争激化の影響もあり、微減となったが市場は堅調に推移しており、2019年度の市場規模は同101.8%を見込む。

◆アウトバウンド・越境ECの振興による輸出事業の伸長

インバウンド(訪日外国人客)による購入経験や、インターネットによる情報取得、口コミの拡散などにより日本製トイレタリー製品の海外からの評価が高まっている。

日本製トイレタリー製品の拡販を目的として、日本のトイレタリーメーカーは中国市場に進出する動きを活発化しており、中国大手ECサイト「アリババ」をはじめ主要ECサイトに出店するなど、越境EC戦略による現地消費者向け販売の強化に取り組む動きが進展している。

今後もインバウンド需要からアウトバウンド、越境ECへの取り組みという流れや、国内外のプロモーションミックスなどの誘客戦略による海外現地消費者の取り込みが進む見通しであるとしている。

ECでのニーズも堅調

同社では調査を受けて将来展望として次のようにまとめている。

「トイレタリー市場の今後の動向としては、以下のようなことが挙げられる。インバウンド(訪日外国人客)需要は、中国の電子商務(EC)法施行によるマイナスの影響も表面化しているが、客数の伸びもあり総じて堅調な動きを見せている。海外向けでは、日本のトイレタリーメーカーによるアウトバウンド・越境EC市場への取り組み、海外現地消費者向けの輸出事業も伸長している。

一方、国内消費は最大ボリュームゾーンの中高年層および高齢者層の消費が堅調で、生理現象の悩みに対応したサニタリー製品(軽度失禁用品等)、口腔ケア製品などが好調である。

また、多様化するニーズを反映したパーソナル製品(香り・量・剤型・使用方法・症例別ラインナップ等)の需要拡大も客単価の上昇として成果に表れているとともに、需要創出型のトイレタリー製品では時短や簡便性を訴求した付加価値製品、また、グルーミングやエチケットにおけるメンズ専用ブランドも投入が活発化している。その他、衛生意識の高まりによる細菌感染防止を目的とする家庭用マスクの着用や除菌剤の使用など、パンデミック対策製品の動きも堅調に推移する見通しである」

このように2019年も引き続き海外からの日本のトイレタリー用品への信頼度は高く、さまざまな国内外の政治経済状況がある中でも2020年についても根強いニーズが見込まれそうだ。


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