博報堂が3月の消費予報を公表 消費意欲の高まる春だが増税と感染拡大が足かせに

ECのミカタ編集部

株式会社博報堂(本社・東京)のシンクタンク博報堂生活総合研究所は、20~69歳の男女1,500名を対象に「来月の消費意欲」を点数化してもらうなど、消費の先行きに関する調査を毎月実施。その結果を「来月の消費予報」として公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

消費税増税や感染症の流行も消費意欲に影響か

「消費税増税のために消費を控えたい」という意見はここ数ヶ月減少してきていたが、若干ではあるものの再び増加(20年1月41件→20年2月23件→20年3月32件)したほか、「消費税が上がり、より倹約するようになった」といった増税による買い控えを感じさせる回答も散見された。

また新型コロナウイルス等の発生を受け、中高年層の女性を中心に「病気が流行しているので消費意欲が上がらない」という意見もあった(計17件:うち男性5件、女性12件。前年同月は0件)。

買い控え意識が強まり、消費意欲指数は高まらず

買い控え意識が強まり、消費意欲指数は高まらず

調査の結果、3月の消費意欲指数は45.1点。前月比+3.7ポイントと、前月からは回復したが、前年比は-1.6ポイントとなった。季節の変わり目である3月は例年消費意欲が高まる月で、今年も消費意欲指数は前月から3.7ポイント上昇した。特に買いたいもの・利用したいサービスについても、あると回答した人の割合は前月比+5.5ポイントの26.0%となったほか、「車・バイク」を除くすべてのカテゴリーで前月からプラスとなっている(うち12件は+20件以上)。

一方で前年との比較では指数は1.6ポイント低下し、3月としては過去最低値となった2018年と同水準の値となった。消費意欲指数の理由(自由回答)をみても、「季節の変わり目の買い物」や「春物の服が欲しい」といった季節消費への意欲に関する意見は前月からは増加したものの(20年2月50件→20年3月121件)、前年との比較では減少した(19年3月141件→20年3月121件)。

まとめ

レポ―トではさらに「今月までに多く使った反動でセーブ」(19年3月73件→20年3月93件)、「他の予定や買い物のために控える」(19年3月24件→20年3月37件)といった意見も前年から増えており、買い控え意識が強まったことで消費意欲が盛り上がりきらなかったようだとしている。

増税特に消費税の増税は、消費に深刻な影響を与え得る点は専門家をはじめ、各方面から指摘されてきたが、それが現実のものとなり、その影響は長く尾を引いている状況となっているようだ。増税自体は財政の健全化と社会保障費の捻出のためにやむを得ない措置とも言えるが、経済への負の影響からいかに脱却するかは引き続き大きな政策課題となりそうだ。

またそうした状況に追い打ちをかけているのが新型コロナウイルスによる感染の拡大だ。市民レベルでの防疫の意味でも、政府など公的機関からは人混みなどへの不要不急の外出を控えることが推奨されており、大規模なイベントの自粛なども現実のものとなっている。

また世界の工場である中国での感染拡大により、日中間の貿易も滞る事態となっており、また感染が各国に広がる中で、世界経済への影響も心配される状況ともなっている。こうした中でもネットを介した商取引であるECは、むしろリアルでの厳しい状況を乗り越える潜在力を持っているとも言え、未曾有の事態の中でいかに力を発揮するかにも注目と言えそうだ。


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