Salesforceとアリババクラウド、ソーシャルコマース製品の中国での提供開始に合意

ECのミカタ編集部

米国セールスフォース・ドットコムとアリババクラウドは、中国における多国籍ブランドの事業成長を支援するため、中国本土で設計・構築を行うヘッドレスコマース製品「Salesforce Social Commerce」の提供開始に向けて合意したと発表した。

中国の主要なシステムとの連携を可能に

世界最大のオンライン小売市場である中国でのビジネスは、Salesforceの多くの顧客にとって非常に重要な取り組みだ。

ソーシャルネットワーク上のコミュニティを活用し、EC販売を促進するソーシャルコマースが中国国内で普及している中、企業にとっては現地のプラットフォームとの連携がとりわけ困難な課題となっている。

2020年、中国のソーシャルコマースは44%の成長を遂げた。今年はさらに35.5%拡大し、市場規模は3630億米ドルを超えると予想されている。

Salesforce Social Commerceは、このようなソーシャルコマースの成長を念頭に置いて構築されている。企業が中国における全てのストアフロントのデータを一元管理できるよう支援し、現地の主要なシステムとの連携を可能にするという。

中国における「ソーシャルコマース」の重要性

中国の消費者は、革新的なコマース体験を積極的に取り入れることで知られている。ライブコマースやショッパブルビデオ 、ソーシャルリテールやデジタルウォレットに至るまで、欧米では最先端とされるテクノロジーが、中国ではすでに当たり前になっている。

ソーシャルコマースもそうしたトレンドの1つだ。中国では、ECとソーシャルプラットフォームの境界線が曖昧なことが多々ある。ソーシャルプラットフォームが強力なEC機能を備えており、ECのマーケットプレイスではゲーム、共同購入、ライブストリーミング、コンテンツ投稿といった機能を利用できるからだ。

Salesforce Social Commerceを活用することで、ユーザーはコマースの中核にソーシャルな要素を期待できるようになる。

拡張性と安全性を担保

Salesforce Social Commerceは、世界の3大クラウドプロバイダーの1つであり、アジア太平洋地域(APAC)で最大規模を誇るアリババクラウド上に構築され、中国国内でホストされることを想定している。

これにより、今後も著しい成長が予想される中国のコマース・エコシステムで必要な拡張性を備えるとともに、現地のデータレジデンシーに関する規制とコンプライアンスに対する顧客の懸念にも対処する。

Salesforce Social CommerceはAPIファーストの手法で構築されており、ブランド固有の市場ニーズに合わせて製品を拡張することが可能だ。

中国固有のチャネルでのECをサポート

製品ローンチに伴い、Salesforce Social Commerceはソーシャルネットワークのミニプログラムや「.CN」の中国ドメインのウェブサイトなど、中国固有のチャネルでのECをサポートし、顧客の注文管理システム(OMS)、商品情報管理システム(PIM)、配送業者など、主要なデジタルコマースシステムと連携する予定だ。

また、標準的な決済処理として、アリペイなど現地の決済システムにも対応する予定となっている。中国のEC市場が急速に発展する中、Salesforceとアリババクラウドは、Salesforce Social Commerceの新機能や連携機能を定期的にリリースし、顧客が市場のトレンドを把握するために必要なツールを提供していくという。

電子マネーが普及し、ECが大進化を遂げている中国は、世界最先端のデジタルマーケティング施策が行われている市場だ。今後、中国での取り組みやその結果をベースに、デジタルマーケティングに関する新たなノウハウやテクノロジーが世界に広がる事例も増えていくのではないだろうか。

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