コールセンターのアウトソーシングとは?委託費用やメリット・デメリットなど解説
電話で顧客からの問い合わせに応じたり、アポイントを行ったりする「コールセンター」。「コア業務に集中したい」「最低限のコストでコールセンターを運用したい」などの理由から、コールセンター業務を外部に委託したいと考えることもあるでしょう。一般社団法人日本コールセンター協会(CCAJ)の調査によると、業界の売上高は年々増加傾向にあり、コールセンター業務の需要が増加していると推察できます。
今回は、アウトソーシングでベンダー(委託先のコールセンター会社)に依頼できる業務の内容や委託するメリットやデメリットなどを紹介します。
参考:2022年度 コールセンター企業 実態調査
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コールセンターのアウトソーシングとは
コールセンターのアウトソーシングとは、電話やメール、チャットなどにより顧客対応を行う業務をベンダー(コールセンター会社)など外部に委託することです。単に業務を委託する場合はアウトソーシングと呼び、業務プロセスまで任せる場合はBPOと呼ぶこともあります。
コールセンターの業務には「インバウンド業務」と、「アウトバウンド業務」があります。
インバウンド業務
顧客からの問い合わせを受けるのがインバウンド業務。委託できる内容には主に次のようなものがあります。
- 商品に関する問い合わせへの回答
- 商品やサービスの受注
- 予約や問い合わせの対応
- キャンペーンやトライアルの受付
- テクニカルサポート
- クレーム対応
- 緊急窓口業務
アウトバウンド業務
顧客からの問い合わせを受けるインバウンドに対して、事業者側から顧客にアプローチしていくのが、アウトバウンド業務です。「発信」「架電」などと呼ばれることもあります。代行サービスに委託できるアウトバウンド業務には、次のようなものがあります。
- 新規顧客の開拓
- 市場調査(満足度調査、アンケート調査)
- イベント告知
- 既存顧客へのフォロー
インバウンド業務・アウトバウンド業務とも対応している業務やオプションはサービス会社によって異なり、EC販売の売上が飛躍的に伸びた昨今では、電話だけでなくメールやチャットにも対応できるサービスが一般的。さらに、商品の受注処理から発送までを担うフルフィルメントプランを提供している会社もあります。
コールセンターをアウトソーシングするメリット
まずは、コールセンター業務をアウトソーシングすることによって得られるメリットを紹介します。
- 立ち上げまでのスピードが早い
- コストを削減できる
- 顧客対応の品質が向上する
- 業務量に合わせて調整できる
立ち上げまでのスピードが早い
コールセンターを業務委託することで、コールセンターの立ち上げをスピーディーに行えます。コールセンターサービスを提供している会社では、ビジネス事情やニーズに応じたプランを素早く提案し、契約後は必要なマニュアルや頻繁に質問される質問集(FAQ)の作成などのサポートも可能です。
設備購入や人材確保にかける時間も不要なため、「できるだけ早くコールセンターを立ち上げたい」「早急に自社運営から委託会社での運営に切り替えたい」などのニーズに対応できます。
コストを削減できる
時間と同様に、さまざまなコストを削減できることも大きなメリットです。コールセンターを自社で運営する場合、システム導入費や機材費などの「初期費用」に加え、スペース利用料や光熱費などの「維持費用」「人件費」が発生します。コールセンター業務を外部に委託することで、回線や機材、スペース、人材などにかかる費用やコストの負担がなくなります。
顧客対応の品質が向上する
コールセンター業務を専門に行う事業者に業務を委託すれば、顧客対応の品質向上も期待できます。ベンダーには顧客対応に必要な設備・機材が整っており、過去の実績からノウハウの蓄積もあります。コミュニケーション能力や知識、経験も豊富です。結果として、顧客満足度の向上につながるでしょう。
業務量に合わせて調整できる
繁忙期・閑散期にも柔軟に対応できるのも、コールセンター業務を外部に委託することのメリットです。時期によって入電・架電の数に変動があっても、人材や回線を自社で調整せずに、業務量に合わせた適切な人材と機材を常に確保できます。繁忙期でも短期間で大量の人材を採用する必要がないため、コールセンター運営の安定化にもつながります。
コールセンターをアウトソーシングするデメリット
続いて、コールセンター業務をアウトソーシングするデメリットについても紹介します。
- 自社にノウハウを蓄積しにくい
- 情報漏洩リスクをコントロールできない
- 柔軟な対応が難しい
- 情報共有がスムーズでないことがある
自社にノウハウを蓄積しにくい
コールセンターのアウトソーシングは顧客対応を外部のスタッフに委託するため、顧客のリアルな声を自社の経験として蓄積したり、製品開発に活かしたりすることが難しくなります。自社スタッフのオペレーション経験も積み重ならないため、いずれ自社運営を検討している場合は、自社と伴走してくれるアウトソーシングサービスを選び、ノウハウを蓄積しながら利用するとよいでしょう。
情報漏洩リスクをコントロールできない
コールセンターでは顧客や商品にまつわるさまざまな情報を利用するため、情報漏洩のリスクがあることも念頭におく必要があります。
適切な情報の保護措置を講じている企業に付与される「Pマーク」や「ISMS認証」を取得しているか、コールセンター内にスマートフォンやUSBなど業務外の私物を持ち込めないようになっているかなどを確認しましょう。
柔軟な対応が難しい
アウトソーシングサービスには、全オペレーターが同じ水準でオペレーションを行えるように対応がマニュアル化されているというメリットがあります。その一方で、対応が画一化されてしまうというデメリットも存在します。特殊な対応を委託する場合にはコストが割高になることや、「発送を早めてほしい」「商品ごとに箱を分けてほしい」といった、個別のニーズに柔軟に対応できない、といった可能性があることに注意しましょう。
情報共有がスムーズでないことがある
顧客からの問い合わせ内容をリアルタイムに把握しづらいことが、アウトソーシングの課題といえます。商品に対する顧客の要望は、自社の商品やサービスの質を改善させるための重要な情報となるため、現場と連携できることが望ましいです。ベンダーを選ぶ際には、自社とスムーズに情報共有できる仕組みがあるか、確認しておきましょう。
関連記事:【2024】コールセンターの選び方
コールセンターのアウトソーシング費用・料金
コールセンターに業務を委託することにはさまざまなメリットがありますが、どれくらいの予算をみておけばよいのでしょうか。ここで、費用の目安として、一般的なベンダーの設定料金を紹介します。
アウトソーシング費用の目安
初期料金 | オペレーターの研修費、資料作成費など | 1〜5万円 |
月額基本料 | 月額固定型(毎月一定の金額を支払う) | 10〜30万円 |
従量課金型(コール件数に応じて支払う) | 300〜1,000円 / 1コール |
アウトソーシングを検討する際は、かかる費用だけでなくカットできる費用も考慮することが重要です。
コールセンター業務を外部に委託することで、自社運営にかかる設備費や光熱費、人件費などの固定費を「委託料・代行料」として集約し、変動費化することでコスト削減が可能になります。
費用を抑えるコツ
アウトソーシングの費用を抑える方法を4つ紹介します。
- ECサイト内にFAQページを作成する
- チャットセンター・チャットボットを利用する
- 対応件数をシミュレーションする
- 委託する業務範囲を明確にする
まずは、自社のサイト内にFAQページを作成する方法です。コールセンターでは顧客から電話を受けて疑問や相談に回答することがメインの業務となるため、サイト内のFAQページでよくある質問をまとめておくことで、コールセンターでの入電数を減らすことができます。る。特に、受電数によって月額料金が変動する「従量課金型」の料金プランを選択している場合に有効です。
チャットセンターやチャットボットを利用して対応効率を上げる方法もあります。コールセンターでは一人のオペレーターにつき一人の対応しかできませんが、チャットなら複数の顧客に対応することができます。また、簡単な問い合わせはAIを用いたチャットボットを利用して回答することもできます。
オペレーターの1回あたりの対応時間を計算して、想定される入電・架電件数に対する必要人数を割り出し、無駄を省く方法も有効です。このとき、ベテランと新人との応対時間の差異や、曜日や時間帯によるコール数の違いも加味しましょう。自社の実態に即した料金プランを選ぶことで、費用は抑えられます。
委託する業務範囲によって料金が違うため、業務範囲を明確にし、優先順位をつける方法もあります。業務について詳細な見積書を作成してもらい、優先度の高い業務のみを委託すれば、費用負担軽減が見込めるでしょう。
関連記事:コールセンターの委託費用の相場は?料金体系や自社運営との違いを紹介
ベンダー(コールセンター会社)の選び方
コールセンター業務をアウトソーシングする際、ベンダー選びは非常に重要です。ここで、ベンダー選びの2つのポイントを紹介します。
アウトソーシングを行う目的や目標を整理しておく
アウトソーシングを検討する際には、事前に導入の目的や具体的な目標を整理しておくことが重要です。以下の項目を書き出し、優先順位をつけてみましょう。
- アウトソーシングをする目的(業務の効率化、人手不足の解消、顧客満足度の向上 など)
- 具体的な目標(アポイント件数○件UP など)
- 委託する業務の内容
- 稼働日数・時間数
- オペレーターの人数
- 専門的な知識の要不要
- イレギュラー対応の有無
サービス比較で重要なポイントを押さえる
依頼内容をイメージできたら、複数のサービス会社を比較しましょう。サービス比較で重要となるポイントは以下の通りです。
- 料金体系、料金プラン
- セキュリティ体制
- 実績・信頼性
- サポート体制
- オペレーションのクオリティ
- 情報共有の有無、仕組み
料金プランを比較する際には、毎月一定の金額を支払う「月額固定型」と、コール件数に応じて支払う「従量課金型」のどちらの料金体系を選択するかがポイントです。また、上限を越えた際に発生する「コールオーバー料金」にも注意しましょう。
参考:コールセンターのベンダーマネジメントについて
コールセンターにアウトソーシングする場合、「ベンダーマネジメント」についても意識しておくとよいでしょう。
ベンダーマネジメントとは、外部委託先との関係を管理・最適化するプロセスのことです。コールセンター業務を丸投げするのではなく、委託元として以下のような動きをすることで、成果を高めることができます。
- サービスレベルアグリーメント(SLA)や料金体系、責任範囲を含む契約内容を明確にする
- 顧客満足度や平均応答時間などのKPIで定期的に評価する
- 情報共有を円滑にし、発生した問題を迅速に解決する
- リスク管理を行い、対策と対応計画を策定する
おすすめのベンダー(コールセンター会社)8選【ECサイト・通販向け】
ここでは、EC通販のコールセンターに強みがあるアウトソーシング8社を紹介します。
基本料金+カスタマイズで利用しやすい|株式会社ベルシステム24
株式会社ベルシステム24にはさまざまなプランがあり、24時間受付や1日のみのスポット利用、多言語対応など、自社のニーズに合うものを選ぶことができます。コールセンター専任以外に、メールサポートやチャット対応も可能。問い合わせから利用開始まで、最短3営業日となっています。業務に関わる部署と直接連絡がとれる仕組みを構築して、タイムリーな連携を可能にした事例もあります。
業務内容 | インバウンド、アウトバウンド |
対応時間 | 24時間 |
言語 | 英語や中国語、韓国語、ベトナム語、タイ語 |
料金 | 初期費用(契約内容により異なる) スタンダードコース:月額10,000円~ メッセージコース:月額15,000円~ |
1日2時間のスモールスタートが可能|株式会社スクロール360
株式会社スクロール360は、コンタクトセンターの設計~運用開始まで最短1カ月での対応が可能です。短時間利用のプランがあるため、始めは手軽なプランからスタートして、段階的に固定プランに切り替えていくこともできます。問い合わせが多い内容を都度共有するなど細やかなコミュニケーションを行い、改善策を提案してくれる点も同社の特徴です。同社には物流業務サービスもあるため、コールセンター業務だけでなく、受注から発送までの一連の業務を委託できます。
業務内容 | インバウンド、アウトバウンド |
対応時間 | 24時間(夜間対応、スポット依頼、2時間のみ等も可能) |
言語 | 多言語対応 |
料金 | 初期費用(専用回線設備費込み/契約内容により異なる) 1日2時間(午前中)対応プラン:月額11万円〜 1名AM対応プラン:月額185,000円〜 |
メールやチャットなども対応可能|日本トータルテレマーケティング株式会社
日本トータルテレマーケティング株式会社のコンタクトセンターサービスは、電話だけでなくメール・チャット・SNS・FAX・アプリなど、さまざまなチャネルに対応。インバウンドは24時間対応で、自社が希望する曜日・時間に合わせた柔軟な対応を期待できます。月1回の定例会が開催され、数値・課題・改善などの報告を受けることが可能です。
業務内容 | インバウンド、アウトバウンド |
対応時間 | 24時間(休日) |
言語 | 要問い合わせ |
料金 | 要問い合わせ |
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グループの強みを活かしたテクノロジーでサポート|富士通コミュニケーションサービス株式会社
富士通コミュニケーションサービス株式会社は、富士通グループの強みを活かし、ICTやAIといったテクノロジーを導入した顧客コンタクトサービスを運営しています。数席でも大規模なコールセンターと同じ機能・設備を構築可能なため、低コストで高品質なサービスを顧客に提供して、顧客満足度の向上にも役立てることができます。
業務内容 | インバウンド、アウトバウンド |
対応時間 | 要問い合わせ |
言語 | 日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語 |
料金 | 要問い合わせ |
富士通コミュニケーションサービス株式会社についてはこちらから
富士通コミュニケーションサービス株式会社のサービス資料無料DLはちらから
多種多様な業種に対応、約1,000社の取引実績あり|株式会社KDDIエボルバ
株式会社KDDIエボルバは、テレビ通話やビデオチャットのような映像サポートがあり、音声やテキストのみでは解決が難しい内容にも対応できます。多言語コンタクトセンターでは、オペレーターが通訳となる3者間通話と、多言語アウトバウンド業務も実施可能です。
業務内容 | インバウンド、アウトバウンド |
対応時間 | 24時間365日 |
言語 | 多言語対応 |
料金 | 要問い合わせ |
⇒2023年9月「株式会社KDDIエボルバ」と「りらいあコミュニケーションズ株式会社」が経営統合し、「アルティウスリンク株式会社」発足
※変更履歴 2024年5月21日更新
公式HP:アルティウスリンク株式会社(旧KDDIエボルバ「コンタクトセンター(コールセンター)サービス」)
コンタクトセンターの規模は国内最大級|トランスコスモス株式会社
トランスコスモス株式会社では多様なECサービスを展開しており、コンタクトセンターサービスでは電話だけでなく、チャットサポート、FAQコンテンツの制作・運用、スマートフォン向けにノンボイスサービスも提供しています。電話対応はAIでテキスト化できるため、ナレッジを蓄積して自社の売上アップなどに役立てることが可能です。
業務内容 | インバウンド、アウトバウンド |
対応時間 | 24時間365日 |
言語 | 多言語対応 |
料金 | 要問い合わせ |
公式HP:トランスコスモス株式会社
14言語以上の多言語で企業の多用なニーズに対応|りらいあコミュニケーションズ株式会社
りらいあコミュニケーションズ株式会社のコンタクトセンターは、14言語以上の多言語に対応しており、特に英語によるサポート体制は国内ベンダーでは最大規模となっています。電話以外に、ライブチャットやAI技術を利用したチャットボットサービスを提供しており、チャットボットから有人チャットへのエスカレーション連携も可能です。
業務内容 | インバウンド、アウトバウンド |
対応時間 | 24時間365日 |
言語 | 日本語、英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、韓国語、タイ語、 ベトナム語、インドネシア語、カンボジア語、タガログ語、ミャンマー語 |
料金 | 要問い合わせ |
⇒2023年9月「株式会社KDDIエボルバ」と「りらいあコミュニケーションズ株式会社」が経営統合し、「アルティウスリンク株式会社」発足
※変更履歴 2024年5月21日更新
公式HP:アルティウスリンク株式会社(旧KDDIエボルバ「コンタクトセンター(コールセンター)サービス」)
各企業に「より良い顧客体験の創造」を提供|株式会社NTTマーケティングアクトProCX
長年コンタクトセンターを運営してきたNTTグループの企業で、コンタクトセンターサービスを展開しているのが株式会社NTTマーケティングアクトProCXです。電話応対のほかに、通話をリアルタイムでテキスト化する音声認識や、AIによるチャットボットと有人対応のハイブリッド運営も可能。多言語電話・通訳サービスは7言語に対応しており、多言語翻訳サービスやQRコード翻訳サービスも実施しています。同社のVOC分析・コンサルティングサービスで、専門アナリストによるコンタクトセンターの会話分析や、改善策の検討なども実施できます。
業務内容 | インバウンド、アウトバウンド |
対応時間 | 24時間365日 |
言語 | 英語、中国語(北京語)、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、 タイ語(9時〜18時)、ベトナム語(10時〜19時) 一言語でも複数言語でも同一料金での提供 |
料金 | 要問い合わせ |
株式会社NTTマーケティングアクトProCXについてはこちらから
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コールセンター業務は、自社の導入目的に合うアウトソーシング会社に委託しよう
コールセンターをアウトソーシングすることにはさまざまなメリットがありますが、サービス会社によって対応できる内容や料金プランが異なるため、事前に導入の目的や予算などを明確にし、複数の会社を比較検討することが重要です。ECサイトの工夫次第で料金を抑えることもできるため、一度社内のカスタマーサポートを見直してみてはいかがでしょうか。
ECのミカタでは、コールセンターアウトソーシングとのマッチングサービスを提供しています。ECサイトに特化したメディアを運営する専門コンシェルジュが、丁寧なヒアリングを行った上で、最適な企業をご紹介します。
そのためコールセンターについての知識が全くなくても、マッチ度の高いパートナーさんと出会うことが可能です。希望する会社が決定すれば、最短1営業日で企業との商談のセッティングを行います。商談日や商談方法だけでなく、断りの依頼も全てコンシェルジュに任せることができるため、安心してご利用いただけます。