【フェーズ別】EC事業の商品開発に役立つフレームワーク9選

ECのミカタ編集部

【フェーズ別】EC事業の商品開発に役立つフレームワーク9選

ECサイト運営において、マーケティングや戦略の分析の際に用いられる「フレームワーク」。その種類は多岐にわたり、新しい商品のアイデア創出や企画のブラッシュアップにも用いることができるため、商品開発で活用したいと考える担当者もいるのではないだろうか。

今回は、商品開発におけるフレームワークの役割を解説するとともに、各フェーズで役立つフレームワークを厳選して紹介する。自身の思考を整理する手段や、チームで議論する際のツールとして、参考にしてほしい。

目次

●フレームワークの役割
●市場分析、消費者理解に役立つフレームワーク
●マーケティング戦略に役立つフレームワーク
●思考整理、課題解決に役立つフレームワーク
●まとめ


フレームワークの役割

フレームワークとは、一定のパターンや枠組みに事象や思考を当てはめ、情報や課題を整理するツールのこと。多種多様なフレームワークが存在するため、活用シーンや目的に応じて適切なフレームワークを選択する必要がある。まずは、フレームワークを活用するメリットと注意点をおさえよう。

フレームワークのメリット


商品開発においてフレームワークを活用することのメリットは、以下の通りだ。

・フェーズごとに思考を整理できる
・目的をもった思考がしやすくなる
・課題が明確になる
・自社商品の強みを認識できる
・戦略やアクションを立てやすい
・メンバー間で共通認識を持てる

情報を整理することで課題が明確になり、チーム内で共通認識を持ったうえでアウトプットへと進めることができる。商品開発では検討すべき事項も多く、「クオリティ」「スピード」「効率性」も求められるため、フレームワークを効果的に活用することで、コスト削減や業績改善なども期待できるだろう。

フレームワークを利用する際の注意点


フレームワークは、あくまでも成果を創出するための手段の一つに過ぎない。フレームワークを実施して終わるのではなく、実際のアクションに移したり、本来の目的達成に向けて複数のフレームワークを組み合わせたりすることも重要だ。次のブロックからは、フェーズごとに有効なフレームワークを紹介していく。


市場分析、消費者理解に役立つフレームワーク

商品開発の際には、まずは市場のニーズや消費者の思考・行動パターンの分析を的確に行うことが重要だ。市場分析、消費者理解に役立つフレームワークを紹介する。

AISAS


「AISAS(アイサス)」とは、消費者の5つの行動プロセス「Attention(認知)」「Interest(興味・関心)」「Search(検索)」「Action(購買)」「Share(共有)」を可視化するフレームワークのこと。インターネットの普及に伴い、従来の消費者の行動プロセスを辿るフレームワーク「AIDMA(アイドマ)」から派生したもので、AIDMAに比べ、Webでの検索やSNSでの情報発信をふまえた内容になっている。

ECサイトにおいては、インターネットの利用を前提としたAISASを利用することで、より効率的なマーケティング戦略や事業運営につなげることができるだろう。

ポジショニングマップ


「ポジショニングマップ」は、市場における自社サイトの位置付けを分析するためのフレームワーク。商品のポイントとなる項目を縦軸と横軸に設定し、自社サイトや競合他社が現在どのポジションに位置しているのかをマッピングすることで、業界全体の状況を可視化していく。

業界全体におけるポジションを把握することで、自社が差別化を図るためのポイントや、商品開発で狙うべき戦略を検討しやすくなることが特徴だ。


マーケティング戦略に役立つフレームワーク

続いて、自社商品を売り出すためのマーケティング戦略に役立つフレームワークを紹介する。

ペルソナ分析


「ペルソナ分析」は、収集したユーザーの情報をもとに「ターゲットとなる顧客」を想定すること。想定したキャラクターの精度が高いほど、企業内におけるターゲット層の認識のずれを減らし、ユーザーのニーズにあった商品開発やアプローチを検討しやすくなるという効果がある。

さまざまな商品やサービスに応用できるだけでなく、提供後のアフターサービスにも活用できることが特徴だ。

SWOT分析


「SWOT(スウォット)分析」は、「Strength(強み)」「Weaknesses(弱み)」「Opportunities(機会)」「Treats(脅威)」の4つの観点から自社の現状や強み・弱みを把握し、戦略の基盤をつくることを目的としたフレームワークだ。

内部環境と外部環境に同時に目を向けて分析をすることで、今後挑戦できそうな市場や解決すべき課題を見出すことができる。他のフレームワークとの相性もよく、組み合わせることでより精度の高い分析や戦略立案を行うことが可能だ。

4P分析


「4P分析」とは、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」の4つのPを軸にマーケティング戦略の分析を行うこと。EC事業に欠かせないプロセスが網羅されていること、「4C分析」がマーケットイン(消費者視点)であるのに対し、プロダクトアウト(企業視点)であることが特徴だ。

4つの観点を明確にすることで他社の商品や施策との比較が可能になり、自社の優位性を把握したり、ブランド理解を深めたりすることが可能になる。

RFM分析


「RFM分析」は、ユーザーの「Recency(直近の購買日)」「Frequency(購入回数・頻度)」「Monetary(購入金額)」を分析し、自社の顧客を区分していく手法のこと。

分類した属性にあわせた商品開発や施策を分析・改善することで、ファンの固定化やリピーターの獲得といった効果が期待される。例として、「優良顧客には次回商品購入時に粗品を同梱」「新規顧客には数種類のステップメールを送信し、反応の高い要素をもとに商品企画を行う」などが挙げられる。


思考整理、課題解決に役立つフレームワーク

最後に、思考整理や課題解決に役立つフレームワークを紹介する。

ロジックツリー


「ロジックツリー」とは、物事をツリー上に分解して整理するためのフレームワークのこと。1つの事象を複数の要素に分解しながら結果に対する原因を掘り下げていくため、課題や問題がどこに起因しているかを論理的に導くことが可能だ。

ロジックツリーには、図式化・可視化することで「メンバー間で共通認識を持ちやすい」「具体的なアクションの優先順位を考えやすい」というメリットもある。

PDCA


「PDCA」は、定期的に「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」のサイクルをくり返すことで、作業の効率化や生産性の向上を目指すフレームワークのこと。商品開発だけでなく、経営戦略などさまざまな場面で活用される。

よい点はさらに伸ばし、改善点は仮説を立てて再度効果を検証することで、サイクルを回すごとに品質の向上が期待できることが特徴だ。商品開発においては、試作品の製造から商品として発売するまでに最も用いられるフレームワークだと言えるだろう。

KPIツリー


「KPI」とは、「重要業績評価指標」のこと。「KPIツリー」は、最終的に達成すべき「KGI(重要目標達成指標)」から逆算し、中間指標となる「KPI」や「KDI(行動回数の記録数値)」などの具体的な目標値を設定するフレームワークだ。EC運営におけるKPIには、「アクセス数」「購入率」「顧客単価」などが挙げられる。

最終目標から中間目標やアクションが設定され、数値も具体化されるため、チームのメンバーが何に取り組むべきかが明確になるという点が特徴だ。最終的に目標達成に至らなかった場合でも、原因が特定しやすいため、改善の取り組みスピードが向上する効果もある。


まとめ

商品開発におけるフレームワークの活用は、「市場における自社の立ち位置や強みを改めて認識する機会」「課題を明確にし、解決のスピードを向上させる手段」として有効だ。一方、フレームワークはあくまでもサポートツールの1つであるため、フレームワーク同士を組み合わせたり、フレームワーク以外の要素を含めた施策を講じたりすることも必要だ。今回紹介したフレームワークを参考にしながら、よりよい自社商品の開発を目指してみてはいかがだろうか。


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