ZendeskがAI機能強化とデータセンター増設を発表 顧客満足度と合わせて大事にしたい従業員満足度に対する思いとは

ECのミカタ編集部

株式会社Zendesk(本社:東京都中央区、社長:冨永健、以下「Zendesk」)は、日本法人設立10周年を迎え、2023年10月18日に事業戦略発表会が開催された。日本で2カ所目となる新たなデータセンターの設立と、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験/CX)市場をリードする生成AI機能を発表した。

大阪にデータセンター、2024年7月までに運用開始予定

Zendeskは大阪に新たなデータセンターの立ち上げとZendesk AIの性能強化を発表した。大阪のデータセンターは、日本国内では東京に次いで2カ所目となる。これによりデータの保存やバックアップ、セキュリティ対策を日本国内で行うことが可能になる。

株式会社Zendesk 社長 冨永健氏は「Zendeskとしてデータセンターを2カ所構えた国は本社があるアメリカ以外で初めて。大企業や中央省庁など、国外にデータを出したくないというニーズにお応えする形での実現となった」と説明した。

Zendesk AI、機能強化

ZendeskのAIソリューションの一部として、生成AIを搭載したボットの導入が可能になった。ボットでは類似した文脈を持つ過去のデータを参照しながら、一貫性のある回答をよりスピーディに作成できる。これにより顧客の問い合わせに対して、迅速かつシームレスに回答を導きだせるという。

また業界別検出機能も搭載されているため、例えばEC業界であれば、返品に関する問い合わせが入った際にAIが質問の意図を読み取り、ボットが対応する。管理者側はAIが提示する提案を評価し、回答のばらつきを調整したり、ボットの対話のトーンを変更したりするなど企業によってカスタマイズが可能だ。

オペレーターの離職率は1年で100% Zendeskが大事にしたい従業員満足度

Zendeskは顧客満足度だけでなく、従業員満足度も重要視している。カスタマーサポートの現状についてCEO Tom Eggemeier氏は「カスタマーサービスの離職率は1年で100%と言われるくらい非常に難しい仕事です。だからこそ従業員満足度は大事にしています」と語る。

また冨永氏も「日本のコンタクトセンターも、多いところで半数がトレーニングを終える前に辞めてしまうと聞いています。人口の減少もあり人を採用することが難しい中、従業員定着に関しては非常に重要な課題だと思っています」とコンタクトセンターの厳しい現状を語った。

現状に対し、同社は従業員の対応状況や業務効率をリアルタイムで追跡できる「Tymeshift」や会話の要約、通話文字起こし、顧客の持つ印象の特定を可能にする「音声通話向けZendesk AI」の機能を新たに発表している。Tymeshiftに関しては2024年第1四半期から利用可能になるという。

AIを活用したZendeskの未来について、冨永氏は「AIは人の代わりではなく、従業員の生産性を上げる手段として活用いただきたいと思っています。またお客様からの質問に対して簡単な質問はボットで回答し、人間にしか答えられない質問を従業員に回るようにしていきたいです。質問に対する助言については、人だけでなく、AIも答える状態を作れたら従業員満足度も上がっていくし、離職率も減っていくのではないかと思っています」と締めた。


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