越境ライブコマース型「Farm to Home」の実証に成功 長野産シャインマスカットを最短5日でシンガポール顧客に配送

ECのミカタ編集部

農園から最短5日でシンガポールの家庭に配送するFarm to Homeの実証に成功。越境型ライブコーマスを活用した新物流モデルを構築

シンガポールを拠点にアジア全域を対象としたマーケティング×クリエイティブ会社DOU Creations Pte Ltd(以下:DOU Creations)は、長野県の農園(JA中野市)からシンガポールの家庭まで最短5日で生鮮食品を配送する「Farm to Home」の実証を実施、成功したことを公表した。

鮮度を保った状態での宅配が実現する

DOU Creationsは海外展開を狙う日本の企業に対し、シンガポール8万人のフォロワーをもつライブコマース「Singapore Home Cooks」のFacebookグループ上での越境ライブ販売サービスを展開している。

「Farm to Home」の配送は2023年11月12日に長野県を出発し、成田空港を経て15日早朝にシンガポールチャンギ空港に到着、通関を経て15日午前中には市内の倉庫へ。翌16日より家庭への配送(チルド便)を行った。

農園出荷から最短5日間でシンガポールに到着すること、農園から家庭までの中間放置時間を最小にした物流管理を行うことで品質ダメージの少ない、鮮度の高い状態での宅配が実現する。

今回実施されたシャインマスカットの配送は房単位で実施され、利用者から品質ダメージに関するクレームは無かったという。

商品、産地の魅力を消費者にダイレクトに伝える

大手小売店での販売は市場を経由するため、高級果物は日本の価格と比べて高価になってしまう。また、配送ルートや保管期間も長くなることで品質面での不安も少なくない。

こういった課題を越境ライブコマース型「Farm to Home」で乗り越えることが、本取り組みの主な目的となる。

また、ライブ配信を通じて獲れたてのシャインマスカットを試食。また生産者からの話を通して、産地と商品の魅力をシンガポールに住む消費者にダイレクトに伝える。さらに、ライブで注文を受けた数のみを輸送することで、中間マージンを最小限に抑えることに成功した。

ライブコマースでの購入がプロパー商品の需要に繋がる

「Farm to Home」について、DOU Creationsは以下のようにコメントしている。

「『高い鮮度と適正価格で提供できる越境ライブコマース』という販売方法は、これまでのデパートやフルーツ専門店などで販売されている1パック1万円以上の商品で気軽に試すこともできない価格帯の商品を30−50%程度、価格をおさえて提供することにより日本のハイエンド商品の需要促進にも貢献できると考えます。ライブコマースで購入体験したカスタマーが商品のストーリーと味に裏付けされる価値を知ったことでデパートなど常時販売されているプロパー商品の需要につながることも期待されます」。

第2弾としてイチゴの配送を計画する

現在、日本の食文化は海外で高く評価されており、果物も例外ではない。特に近年人気が高まっているシャインマスカットは、さまざまな種類が店頭に並んでいることからシンガポール人にも認知されているという。

シンガポールは国土が狭く、ラストワンマイルへの時間とコストのハードルが低いため、ライブコマースが効果的に機能する。海外顧客に対して、産地直送と同等の品質での輸送が実現したことは、生産者と消費者の双方にとって喜ばしいことだ。

DOU Creationsは今回の成功を受け、第2弾としてイチゴの直送を計画しているという。シャインマスカットと同じく、イチゴもシンガポールでニーズの高い商品だが配送品質面では一層難易度が上がるという。

「Farm to Home」は日本産の果物を世界中に鮮度を保った状態で提供し、その品質の高さを低価格で楽しんでもらうきっかけになるだろう。越境ECとライブコマースを活用した、新しい物流モデルの今後に期待したい。


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