物流業界の人手不足が72%! 2024年問題に関わる業界で最多に~TDB企業の人手不足の状況調査

ECのミカタ編集部

正社員の人手不足は52.6%「2024年問題」の建設/物流/医療業では約7割

株式会社帝国データバンク(以下:帝国データバンク)は、企業の人手不足の状況について調査を実施した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

調査概要

◆調査期間:2024年1月18日~1月31日
◆調査対象:全国2万7308社
◆有効回答企業数:1万143社(回答率:41.9%)

なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月から毎月実施しており、今回は2024年1月の結果をもとに取りまとめられている。

◆出典:人手不足に対する企業の動向調査(2024年1月)

正社員の人手不足割合は年々上昇

2024年1月時点における全業種の従業員の過不足状況について、正社員が「不足」していると感じている企業は52.6%。前年同月比で0.9ポイント上昇しており、1月としてはこれまで最も高かった2019年(53.0%)に次ぐ高水準となった。

また、非正社員では29.9%と前年同月から1.1ポイント減少したが、引き続き約3割の水準で推移している。

正社員の人手不足割合を業種別にみると、主にIT企業を指す「情報サービス」が77.0%でトップ。15カ月連続で7割以上と高水準が続いているなか、過去最高を更新する結果となった。

「運輸・倉庫」は65.3%と7番目に位置する。「旅館・ホテル」「メンテンナンス・警備・検査」「自動車・同部品小売」「飲食店」など前年を下回る業種も存在する中、物流業界は3年連続の上昇となった。

2024年問題の対象では物流業がトップに

また目前に迫る「2024年問題」の主な対象である「建設業」「物流業」「医療業」の3業種に絞った人手不足の現状では、正社員不足は物流業(道路貨物運送業)が72.0%とトップ。医療業は71.0%、建設業は69.2%の企業が人手不足を感じていた。

2024年4月以降は一層の深刻化が予想される中、すでに7割の企業が人手不足に陥っている状況が浮き彫りになった形だ。

2023年は「賃上げ」を実施する傾向が例年より色濃く表れており、今後もトレンドは継続されると予想される。賃上げは人材の確保・定着の観点でも大きな要素であり、その動向が注目されるだろう。

2024年度における正社員の賃上げ実施見込みについて尋ねたところ、人手不足を感じている企業においては65.9%となり「適正」(55.7%)と「過剰」(51.6%)を大きく上回り、賃上げに積極的である傾向が見られた。

企業からは「労働力不足は顕著であり、賃金を上げないと人員の確保は厳しい」といった意見だけでなく「大手を中心にベースアップが相次いでいるが、中小企業には逆風」など、賃上げの実施に難しさを感じている声も多く聞かれた。

今後も人手不足は深刻になる可能性

新型コロナウイルス感染症の「5類移行」により、経済の正常化が進んだことで2023年は人手不足の高止まりが続いた。正社員・非正社員ともに2024年も同様の傾向で推移することが見込まれる。

人手不足を感じている企業ほど、2024年度の賃上げを実施見込みであるという傾向が表れた。一方、各種コスト高騰も重くのしかかる状況から、賃上げが難航しているという声も寄せられている。

また「2024年問題」が懸念される業界では物流がトップに。年々増加の一途を辿っていることから、今後さらに深刻化する可能性が考えられるだろう。

各企業は人手不足へ向けた重要な局面を迎えている。安定した物流環境の維持には一人ひとりの配慮、協力が必要となる。2024年4月を目前に控えた現在、改めてそれぞれができる対応を考え、行動する必要があるだろう。


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