消費者庁が「特定商取引法の通販分野における執行状況」を公表 注意喚起は9カ月間で約1200件発出

ECのミカタ編集部

特定商取引法の通信販売分野における執行状況について

消費者庁は2025年1月16日、「特定商取引法の通信販売分野における執行状況」を発表。通販サイトのモニタリング調査に基づく事業者への注意喚起通知が、9カ月間(2024年4月~12月末)で約1200件発出されていることなどが公表された。

9カ月で約1200件の注意喚起通知を発出

この発表は、消費者への注意喚起と事業者に対する法令遵守意識の啓発を図るために定期的に行われているものだ。消費者庁はインターネット通信販売等適正化事業において、インターネット通販・ネットオークション・テレビ通販等の通販サイトのモニタリング調査を実施。事業者の法令遵守状況を調べるとともに、その結果に基づき、事業者に対して注意喚起通知を2024年(令和6年)4月から同年12月末までの9カ月で約1200件発出したという。

◆注意喚起発出件数(2024年12月末時点まで)

※画像元:特定商取引法の通信販売分野における執行状況について(消費者庁)

最終確認画面での表示義務違反が目立つ

また、通販について2024年5月~12月末までの8カ月で行政指導を6案件実施しており、このうち電話で解約を受け付けているにもかかわらず、広告に確実に連絡がとれる電話番号を表示していなかった事業者に対する指導が3案件だった。

同じく、行政処分(指示、業務停止命令及び業務禁止命令)は4案件実施。当該案件のうち、3案件については、2021年(令和3年)の法改正で追加された、いわゆる最終確認画面(※1)における表示義務違反を含む事案となっている。最終確認画面については2022年に、画面の表題に「注文内容の最終確認」と記載することが望ましいとしたガイドラインの改正が行われているため、各事業者は改めて内容を確認しておきたいところだ。

※1:特定商取引法第12条の6で規定する「特定申込みに係る手続が表示される映像面」を指す。インターネットを利用した通販において、その画面内に設けられている申込みボタン等をクリックすることにより契約の申込みが完了することとなる画面が原則として該当する。

※画像元:特定商取引法の通信販売分野における執行状況について(消費者庁)

詐欺的な定期購入商法へは法執行を積極的に行う

同庁では引き続き、詐欺的な定期購入商法を行う事業者に対する法執行を積極的に行っていくとともに、チラシによる消費者への注意喚起や認知度向上の取り組み、商品の購入時の最終確認画面のスクリーンショット保存の呼び掛け等の取組を進めるとしている。

今回の発表で示された「詐欺的な定期購入商法」の例は以下の通り。

◆定期購入契約の2回目を受け取らない場合、高額な手数料がかかるにもかかわらず、広告及び最終確認画面にその旨の表示がないもの。
◆最終確認画面にて、容易に解約ができるように示しておきながら、実際には煩雑な手続を要するもの。
◆広告及び最終確認画面にて、当該ページからは単品のお試し購入を申し込むことになるかのように示しておきながら、実際には定期購入契約を申し込むことになるもの。


消費者庁では「行政処分等の法執行とあわせて、消費者被害の未然防止および適正かつ円滑な取引の実現を図る」ことも示している。事業者は消費者へのわかりやすい説明・誤解のない表示を心がけると同時に、法令遵守を徹底したい。


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