東南アジア№2「タイ」にLINEが注目、その内容は?

ECのミカタ編集部

LINE PayはタイのSuica?ECへの影響は?

 越境ECへの注目が集まる中、東南アジア諸国の成長が無視できないものとなってきている。昨年11月に Bain & Company, Inc. が発表したデータによると、特に、2014年のタイ王国(以下、タイ)のEC市場規模は1200億円、EC化率は2.7%と、東南アジア諸国の中ではシンガポールに次いで大きな成長を見せている。

 そんな成長著しいタイへと、LINE株式会社(以下、LINE)が積極的に進出している。今年3月31日には、タイでモバイル送金・決済サービス「LINE Pay」を展開する連結子会社の LINE Biz Plus Limited を通じて、タイの公共交通システム及びオンライン店舗の電子決済用スマートカード「Rabbit」を提供する BSS Holdings Co., Ltd との資本提携を行った。

 今回の資本提携に伴って、「LINE Pay」のサービス名称が、タイ国内においては「Rabbit LINE Pay」となる。

 「Rabbit」については、日本でいう「Suica」や「PASMO」をイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれない。すでに「Rabbit」は、500万人以上の利用者によって、鉄道乗車券の購入や「Rabbit」加盟店での買い物に利用されている。

 「Rabbit LINE Pay」が誕生した背景には、タイがキャッシュレス社会へと進化を遂げていることにある。「Rabbit」は、オフラインで有名な加盟店網を有する決済サービスの大手であり、また「LINE Pay」は、タイ全土で300以上のオンライン加盟店基盤を有している。今回提携を行うことによって、「Rabbit」はタイ国内の LINEユーザー3,300万人へのリーチができ、タイの内陸部への進出が可能となるのだ。

 タイ国内にてオフライン・オンライン決済の基盤が構築されることは、日本のEC事業者がタイへと進出しやすい環境が整うことに繋がるのではないだろうか。

人だけではない、世界もつなぐLINE

 そして今年の5月16日には、LINEはコミュニケーションアプリ「LINE」の周辺サービスとして、24時間いつでも日常生活をサポートしてくれるオンデマンド型アシスタントアプリ「LINE MAN」をタイにて提供開始した。

 この「LINE MAN」は、「配送サービス」「フードデリバリー」「コンビニ商品お届け」の3つのサービスを主軸に、荷物の配送やフードデリバリーなど、日常生活においてちょっとした手伝いやサポートが欲しいときに利用することができるサービスだ。

 こうした「Rabbit LINE Pay」や「LINE MAN」からもわかるように、タイではモバイルインターネットユーザーの増加とユーザー動向の変化により、O2O(Online to Offline)サービスの人気が非常に高まっているのだ。

 LINEは人と人とをつなぐコミュニケーションツールだけにとどまらず、世界と世界をつなぐツールへと進化している。今回のようにLINEが提供する決済サービスは、ネット通販において欠かせないものであり、外貨の必要ない「キャッシュレス」な仕組みが世界をつなぐことになる。

 そうして、LINEが決済で世界をつなげることで、日本の企業にとってもまた、タイでのビジネスの可能性が広がっているわけで、ここへの越境ECを今から模索しておくべきではないだろうか。LINEが今後もタイにてどのようなサービスを展開するのか注目し、よりシームレスな越境ECの実現を期待していきたい。


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