継続収益の「定期購入」が、これから更に広がる理由とは

利根川 舞

「サブスクリプション・ビジネス」とは一体・・・?

 「サブスクリプション・ビジネス」という言葉をご存知だろうか?日本では日用品や食品・書籍などの消耗品を、契約期間中定額で定期的に届ける「定期購入」や「頒布会」として始まった。

 近年では、消費者ニーズの変化に伴ってサブスクリプション・ビジネスの範囲も拡大している。例えばコンテンツ業界では購入やダウンロードといった買い切り型の「所有」から、継続して利用料を支払い、好きなときにオンラインでコンテンツを見る・聴くという「利用」へとニーズが変化していることから、Amazonの「プライム・ビデオ 」や「プライム・ミュージック」などをはじめとする、継続課金制の音楽・動画配信サービスの利用が広がりつつある。

 一方、商品やサービスを販売する事業者においても、買い切り型からサブスクリプション型へシフトすることで、販売の都度収益を得る「フロー型」ではなく、継続的に収益を得られる「ストック型」となる。そのため、安定経営が実現できるほか、ユーザーのニーズに合致した商品やサービスを最適な価格で提案し続けることができるため、継続的な関係構築が可能となる。

 こうした背景から、最近では洋服の定期レンタルや、専門家が選んだコスメや雑貨を定期的に届けるなど、各種商品小売業をはじめ、IoT・クラウド・ヘルスケア・メディア・教育といった様々な分野の事業者にサブスクリプション・ビジネスの導入が広がっている。

 しかしながら、サブスクリプション・ビジネスは、ユーザーの課金毎に複数回の請求・決済が発生する仕組み上、請求データ・決済の管理業務や費用の負担がかかる。また、新しいサービス追加や価格の変更時にシステム開発が生じるため、自社で全てを行うのは難しく、サブスクリプション型へシフトできずにいる事業者も少なくないとうのが現状だ。

サブスクリプション・ビジネスを支えるサービスは?

 昨日、GMOペイメントゲートウェイ(以下「GMO-PG」)の発表したところによると、GMO-PGの決済サービスが、ZuoraR(日本法人:Zuora Japan株式会社 以下、Zuora)が提供する、サブスクリプション・ビジネス向けプラットフォームに決済パートナーとして、採用されたという。

 Zuoraは、商品・サービスの価格設定をはじめ、「リレーションシップ・ビジネス・マネージメント(RBM)(TM)」というプラットフォームを提供し、見積、Web販売、契約管理、決済(請求・回収)、売上計上、レポート・分析など、サブスクリプション・ビジネスに必要な機能を1つにまとめて、案内している。

 ただ、これまでにも国内事業者にも提供されていたものの、Zuoraの「リレーションシップ・ビジネス・マネージメント(RBM)(TM)」のサービスは、これまで日本国内の決済サービスを選択することができなかったため、このGMO-PGの決済サービスが採用された意味が大きいというわけだ。まさに、サブスクリプション型のビジネスモデルがいよいよ日本のECに浸透する転換期を迎えたと言ってよい。

新たな切り口としての「サブスクリプション・ビジネス」

 化粧品やサプリなどの定期購入はこれまでにも行われてきたが、近年では洋服の定期レンタルや、専門家が選んだコスメや食品、雑貨を定期的に届けるなど新たな切り口での定期購入が増えている。

 動画や音楽の定額サービスはすでに大手企業がシェアを広げているが、専門家が選んだ商品を定期的に届けるサービスなどは切り口次第で注目を浴びる可能性は高い。

 サブスクリプション・ビジネスを収益の改善のために利用するのも良いが、自慢の商品を思う存分アピールする機会として、または既存ユーザーのさらなる商品購入数アップを目指して、サブスクリプション・ビジネスの導入を検討することがあっても良いのかもしれない。今後新たな切り口として、サブスクリプション・ビジネスのにも注目していく必要がありそうだ。

そもそも「サブスクリプション」って何?


記者プロフィール

利根川 舞

メディア編集部
ロックを聴きつつ平安時代に思いを馳せる文学人間。タイムマシンができたら平安時代に行きたいです。
ライブハウスやフェス会場に出没しては、笑って、泣いて、叫ぶ姿が目撃されている。ACIDMANや10-FEET、ROTTENGRAFFTYが大好き。

サービスやその場の雰囲気がイメージしやすくなるような記事を書いていきたいと思います。

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