ヘッドレスコマースでのECサイトの進化と、WMSとの連動による物流の効率化を一気通貫に支援する強力タッグが誕生
ECビジネスにおいては、顧客接点の多様化などによる受注件数の増加や、取扱い商材の拡張といった事業の成長に伴って、さまざまな外部パートナーに対する業務委託の効率性が求められるようになる。例えば、ECサイトの改修やシステムなどを担当する外部パートナーと、出荷業務などを委託する外部パートナーが別々である場合、各パートナーが担当分野の専門集団であるから、高度なレベルでの支援を受けられることは間違いない。しかし、各パートナーに対して、個別に対応しなければならないし、システムとデータの連携を図る上でも、EC事業者側の担当者自身が各パートナーとの調整役を務めなければならないので、業務負荷は並大抵ではない。
そうした中規模で成長途上にあるEC事業者に対して、一気通貫でのソリューション提供を盤石にするために、このほど、トーテックアメニティ株式会社(以下、トーテックアメニティ)と、株式会社イー・ロジット(以下、イー・ロジット)との連携が成立した。
トーテックアメニティのテクニカルサービス事業部 WEBバリューソリューション部 ソリューショングループの伊田 昌弘氏、イー・ロジットのオムニチャネル事業部 戦略営業グループ 営業課の土橋 恵司課長、同課 営業第2チームの増田 真菜氏にお話を伺った。
システムベンダーの雄と、物流の雄が連携することにより、ECソリューションはより強くなる
――両社が連携するに至った経緯についてお聞かせください
伊田氏:当社はエンジニアリングソリューション事業やITソリューション事業を中心に事業展開しています。ITソリューションについては、自治体様などを対象とした様なシステムの開発・導入・運用・サポートを手がけ、自治体様や医療機関、様々な民間企業など多種多様な業種のお客様で数多くの実績があります。
ECに関しても、『EC-Connect+』という中規模ECサイト向けのオーダーメイド型ECソリューションを提供しています。『EC-Connect+』は、ヘッドレスコマースに強いソリューションであることから、中規模のEC事業者のみならず、大手のEC事業者様からも多くのお問合せをいただいています。この『EC-Connect+』をコアとして、多くのEC・通販事業者様を支援していますが、昨今では、「物流部分についても、改善したいのだが」というご相談をいただくことが増えてきています。コロナ禍を背景に、受注件数が増え、当然に出荷などの物流業務にも負荷がかかり、現有の物流体制では十分な対応が難しくなっている事業者様が増えているようです。
当社の立場はシステムベンダーではありますが、クライアントが抱えている課題に対して、なんらかのご支援ができないかと考え、物流の専門会社様との連携を模索していました。そして、いくつかの物流会社様を比較検討させていただき、この度、イー・ロジットさんとの連携が成立したのです。
土橋氏:当社は、BtoCの通販・EC事業者様向けの物流代行をメインとした事業展開をしています。また、通販・ECのフルフィルメントサービスを提供しており、たとえばネット通販であれば、お客様がお使いのシステムでの受注処理代行や、エンドユーザーの方からのお問合せに対応するカスタマーサポート業務の代行などにも対応しています。また、お客様の商品をお預かりしているので、ご要望があれば、当社に常駐しているカメラマンによる商品撮影なども可能です。
取扱い商材は多様で、化粧品や健康食品をはじめアニメグッズなどの小物商品なども扱っています。今後は冷凍・冷蔵の食品・飲料などにも対応できるように準備を進めています。
増田氏:当社が、この度、トーテックアメニティさんと連携するに至ったのは、当社が出展していた展示会で、ご興味をいただいたことがきっかけでした。当社のブースをご覧いただいていたので、私がお声がけさせていただきました。その後、何度かの打合せを経て、当社の物流センターなどもご見学いただき、連携を進めようということになりました。
この連携によって、お互いの既存クライアントに対して、幅広いソリューションが提供できるようになったことはもちろん、新しいお客様に対してのより強いソリューション提供が可能になりました。
競争が激化するEC市場では、ワンストップでのソリューション対応が、事業成長のキー・ファクターとなる
――両社の連携によって、どんな利点が生まれたのですか。またEC事業者等にどんなメリット提供が可能になったのでしょうか。
伊田氏:当社は『EC-Connect+』などを活用しながら、ECサイトの構築やシステムを担うなどECのフロントエンド部分を中心にサービス提供をしているのですが、たとえば、受注に伴う出荷情報は、バックエンドの物流システム側に渡す必要があります。通常は当社のお客様が委託している物流会社と、お客様を介してデータ連携しなければなりませんが、イー・ロジットさんなら、直接に連携できる体制なので、作業がスムーズですし、お客様の業務軽減にもつながります。
土橋氏:おかげさまで、当社は昨年、上場を果たしたのですが、今後のさらなる成長のためにも、より多くのお客様に物流ソリューションを提供していかなければならないと考えています。昨今では中規模や大規模のEC・通販事業者様からの引き合いが増えており、多くの案件が、「事業成長に伴って、出荷業務などの物流が、現状では対応しきれない」というご相談なんです。さきほど、伊田さんがシステムの商談の中で、物流の課題を相談される案件が増えたとおっしゃっていましたが、EC・通販事業が成長するということは、受注が増加することであり、それに伴って出荷件数も当然に増えているわけです。
ですから、成長基調にあるEC・通販事業者様は、システムから入るか、物流から入るかは別にしても、往々にして、受注増に伴うシステム対応と、出荷増に伴う物流対応に課題を抱えることになります。幸いなことに、トーテックアメニティさんと当社のターゲット顧客の規模感がほぼ同じなので、お互いの既存顧客に、お互いのサービスを紹介することはもちろん、新規顧客への提案においても、両社の連携はとても親和性が高く、お客様に対して提供できるサービスの幅としても極めて有益なんです。
伊田氏:お客様にしてみれば、ECのフロント部分から、物流部分まで、ワンストップでソリューション提供を受けられるわけですから、業務効率の面でも大きなメリットを享受できるのです。
――実際に、トーテックアメニティさんを通じてECフロント部分と物流をお任せするとか、逆にイー・ロジットさんを通じて、ECフロントのシステムなどをリプレイスする、という場合に、開発や物流体制の構築に、通常以上に時間がかかったりはしないのですか。
土橋氏:物流のリプレイスということでいえば、お客様の規模にもよりますが、ある程度の大手様でも1.5カ月くらいで移管作業を完了できる機動力が当社にはあります。受注データから出荷データを当社のWMSと連携するについても、トーテックアメニティさんとの連携ができているので、作業もスムーズで、期間的に時間がかかるということもありません。
物流のリプレイス案件では、つい最近も、5000坪の倉庫スペースを活用して、月間10万件を超える出荷量のあるお客様のリプレイスを1カ月でやりきった実績もあります。
伊田氏:当社を通じて、システム部分と物流をワンストップでお任せいただく、という場合も、今ほど土橋さんがお話くださったように、物流のリプレイスに関しては極めてスピーディなので、システム開発にかかる期間以上に、物流を含む全体の移管に余分な時間がかかるということはありません。
増田氏:また、冒頭で申し上げたように、当社は商品撮影業務や、カスタマーサポートなどを含むフルフィルメントサービスを展開していますので、お客様の必要に応じて、必要な業務をワンストップで提供できますので、現場のオペレーション業務はもとより、管理業務の面でも効率化が可能になります。これもお客様にとっては大きなメリットになると自負しています。
両社ともに、それぞれのサービスを強化しつつ、連携のメリットを生かして、より多くのEC・通販事業者を強力に支援
――両社の今後の展開についてお聞かせください。
伊田氏:EC市場はとても変化のスピードが速いという印象があります。ECシステムもそうした変化に迅速に対応しなければなりません。その点において、『EC-Connect+』の柔軟性の高さによって、お客様に事業に貢献できると考えています。しかし、システム部分だけ担当していればいいということではなく、お客様のニーズにどれだけ幅広く対応できるかが、今後は重要になると考えてます。物流については、イー・ロジットさんとの連携で強化できましたが、今後発生するであろう、その他のニーズ・課題についてもソリューション提供できる体制を強化したいと考えています。
土橋氏:ECや通販の市場は、伸び率こそ若干の鈍化がありますが、それでも流通額は年々増加しています。そうした中では、出荷処理などの物流が課題になっていくこと間違いありません。そうした物流についての課題解決を提供していくことはもちろんですが、当社としては、より高い満足を提供できる物流サービスを構築していきたいと考えています。物流業務は、「ミスなく処理して当たり前」と考えられており、ちょっとしたミスでマイナス評価になります。そんな中で、当社は「ここまでやってくれてありがとう」と加点評価いただけるようなサービス提供体制の強化をしていきたいと考えています。
優位性のある、システムベンターと物流会社の連携は、まさに“鬼に金棒”といえるだろう。もし今、成長基調にあって、現在はともかくも、将来的にはシステムや物流のリプレイスが課題になりそうだという予測があるのなら、トーテックアメニティ、イー・ロジットに相談してみるのが“転ばぬ先の杖”になることだろう。