【第五回】「突拍子もないけれど、成果をあげている採用方法」について〜さくらフォレストが説く[接客の極意]
前回までのコラム
【第三回】お届けするのは「商品」だけだと思っていませんか?〜さくらフォレストが説く[接客の極意]
https://www.ecnomikata.com/column/10963/
【第四回】お客様が喜ぶなら何をやってもいいんだよ〜さくらフォレストが説く[接客の極意]
https://www.ecnomikata.com/column/11712/
「さくらフォレスト=選挙をする会社」というイメージがついてきているくらい、社内選挙について知ってくださっている方が多いのですが、実は選挙までのステップがいくつもあります。
2016年度入社の新卒の場合は、一次面接・二次面接(グループワーク)・採用合宿・採用選挙・採用キャンプ・内定式・入社式という段階を踏んでさくらフォレストに入社してくれました。
採用キャンプ以降は親睦会の目的なので、手を変え品を変え4回の面接を受けてくれたということになります。お客様へのおもてなしを追求するなかで、少人数でできることと、仲間が増えて広がる世界があることを日々感じています。
今回と次回の2回を通して、さくらフォレスト流の「一緒におもてなしを追求する仲間を探す方法」についてお話させていただきます。
一緒におもてなしを追求する仲間を探す方法
さくらフォレストでは、日々の通販事業でのしごと(コールセンター、企画、制作、CRM、システム)の他に、会社の運営に関わるチームに入ることになっています。
個人の成長を考える「研修チーム」、働きがいを考える「スコアボード」、社外内への発信を考える「広報チーム」、新しい仲間を見つける「採用チーム」など、たくさんのチームから自分の興味があるチームに入ります。
学校で例えるなら委員会のような組織と考えるとわかりやすいかもしれません。
採用については、採用チームが主体となって進めていきます。採用のやり方を決めて、リードしていくのが採用チームの大きいシゴトの一つです。
毎年採用シーズンの前に、チームで話し合いを重ねて前年の方法を踏まえた上で採用方法に改良を加えていきます。
なので、毎年全く同じ採用の方法を行っているわけではありません。
採用チームだけの特別な採用決定権があるわけではなく、社内のみんなで一緒に働く人を選ぶという方法をとっています。
素の学生さんと向き合う姿勢
お客様がほっこりするような世界観を作りたいと、会報誌などの制作に携わっているデザイナーの御手洗は、採用チームで新卒採用に関わってくれています。
御手洗の人を安心させる独特の空気感と、右脳全開のアイデアから2017年度の新卒採用から新しく取り入れた面接の仕組みを紹介したいと思います。
それは、私服で面接を受けに来てもらうことです。
「みんな同じ格好、同じ髪型をしてかしこまっていたら、個性が見えにくい!!」
社内評価制度についても採用についても言えることですが、さくらフォレストでは減点方式の仕組みはありません。
そして何より「個性=人それぞれに必ずあるもの」という考えが根付いているため、私服のチョイスが採用に影響することはありません。
学生さんに「二次面接は私服で来てね」とお願いをすると、髪型もバックも、雰囲気までもが変わりリラックスした表情で面接を受けてくれるのが印象的でした。
このアイデアの素は、入社後や面接を受けたあとにさくらフォレストの印象などを尋ねていた時の気づきでした。
色々な話を聴かせてもらうなかで「社会に出るなら個性はつぶされる」と感じている学生さんが多いようだということに気づきました。
商売においてお客様のお声に耳を傾け、改善していくことはとても大切なことです。
通信販売においては商品のこと、お届け方法のこと、会報誌やホームページのことなど、お客様に気づかせていただくことはとても多いのです。
どんないいものでも、お客様に伝わらなければ意味がありません。
そこで制作・企画希望で入社をしてきたスタッフでも、はじめは全員コールセンターに籍をおいてお客様の声を聴くことからはじめます。
もちろん、先ほど紹介した御手洗も、コールセンターでお客様のお声をすくいあげたり、関係性を築いたりしてくれていました。
そして、さくらフォレストに興味をもってくれた学生さんに対しても同じように、お声を大切にすくいあげたりと、関係性を築いてくれています。
選考を通じて自分に自信がつく?!
二次面接の後に行うのは「採用合宿」です。
さくらフォレストに興味をもつということは、少なからず同じ価値観をもった人が集まっているという考えから「採用不採用に関係なく、横のつながりを作って欲しい」ということを伝えています。
合宿ですることは毎年変えています。
去年は出会ったばかりの学生さん同士でチームを組み、リーダーを決め、1泊2日で新商品を企画してもらいました。
商品企画について、点数をつけたり順位をつけたりはしません。目的はチームワーク、仲間作り、自分の制限をはずすことです。
たとえば、商品開発をしようという話をすると、さくらフォレストで一緒に働いている人の中でも「いやいや私にはできない」という声を聞くことがあります。
ただ、この採用合宿では学生さんが「たった2日間」で商品開発をします。「自分にはできない」という思い込みがなければ、やろうと思えばちょっと難しそうに見えることもできる。学生さんが身を持って示してくれます。
そして、自分の制限を超えた学生さんたちは自分に自信をつけて帰ります。
お祈りメールはしません
「採用の合否に関わらず、何か一つでもいいので今後の人生に役立てるものを身につけて帰って欲しい」
採用合宿を推進した取締役の西尾はそう話していました。
面接では引き出せなかった個性が見える瞬間を共有することで、学生さんと合意が取れやすくなりました。大学や学部を超えて、採用合宿で一緒になった学生さん同士で横のつながりを作って欲しい。
そんな想いもあってはじめた採用合宿ですが、一緒に困難を乗り越えた友人として、合宿が終わっても連絡をとりあったり食事に行ったりするという話を聞くにつけ、非常に嬉しくあたたかい気持ちになります。
採用では、お互いの合意のうえで採用が決まることもあれば、縁がつながらないこともあります。合否の連絡を御手洗は電話でひとりずつ伝えていました。
留守番電話に吹き込むでもなく、繋がるまで時間帯を変えて電話をかけ、折り返しの電話を待ちながらデザイナー業務をこなしていました。
ただ合否を伝えるだけではありません。
面接や合宿のたびに、一人ひとりの学生さんをみて、手帳に一人ひとりの良いところと改善点をびっしりとメモしていた御手洗は、次の面接などで活かすことができるように、その内容を電話で伝えていました。
あるときは笑いながら、あるときは涙ぐみながらさくらフォレストに興味をもってくれた一人ひとりと向き合う姿は、企業の採用担当者を超えて、まるでお姉ちゃんが妹や弟の就活の相談にのっているようでした。
採用活動については、様々な方法を行っている企業があると思います。さくらフォレストの採用活動についても改良を重ねている途中でまだまだ完成ではありません。
いい方法があればぜひ教えて下さい。
このコラムは次回でおしまいです。最終回は、さくらフォレストといえばというくらい有名になった「選挙での採用活動」とお客様へのおもてなしの共通点についてお話させていただきたいと思っています。
今回もお読みいただきありがとうございます。