【第2回】初回経営プレゼンは玉砕。そこから学んだ新規事業成功のカギとは・・・

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近藤 真由香

ヒラ営業の私が東証一部上場企業で事業部を作った夢みたいな話。第2回です。 ヒラ営業の私が東証一部上場企業で事業部を作った夢みたいな話。第2回です。

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2013年・・・Eコマース関連の業務経験ゼロ。PLも分からない。

ヒラの広告営業だった29歳の私が、東証一部上場企業で新規事業を立ち上げ、現在、事業部になるまで事業拡大することができた。夢みたいな話。
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こんにちは、近藤です。
ご縁あってコラムを連載させて頂くことになり、第2回です。

本当にゼロからのスタートだった事業も、今では、売上12億超え、メンバー20名超えの組織となりました。事業計画、戦略策定、PL管理、人材採用、組織マネジメントなど、、、、事業の運営に必要なことを、たくさんゼロから経験しました。

今に至るまでに、私が経験した、数々の失敗や苦悩、一握りの成功や喜びや、学んだことを、このコラムで共有させて頂くことで、日々忙しく業務に追われている皆さまにとって、ひと時の気分転換になったり、時には共感頂いたり、少しくらい参考になったりすると嬉しいです。

今回は、事業運営の基盤となった、初回プレゼンのお話です。

【第1回】「自分のやりたいことを、人任せにするな」 …転職した矢先、プロジェクトが中止になった時にかけられた言葉がすべての始まり。
https://ecnomikata.com/column/19289/

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5/24にECのミカタカレッジさんでセミナーを開催させて頂くことになりました。

『後発参入でも成功する通販事業の始め方。やり直し方。』(仮)

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前回までのお話・・・

やりたいことが中止になった矢先、「自分のやりたいことは、自分で実現しろ!」と助言を受けた私は、<若年女性向けEコマースを作って「カワイイ」の地域格差を無くす>という野望を掲げ、それを実現するために、経営プレゼンに挑むのでした。

まずは、自社会員の実態調査から

自社会員をうまく使ったEコマースですから、自社会員の実態を知る必要があると考え、まずは、自社会員の実態調査から始めました。

フリューの自社会員は、中学生、高校生、大学生がメインです。まずは、彼女たちが、Eコマースで何を買っているのかを調べるべく、自社会員へ向けた定量調査を実施しました。

自社会員へのアンケート調査。2012年実施。回答数1,725件。
Eコマースで買ったことがあるものを選んでチェックする方式で実施しています。

やはり1位は洋服ですよね。 2位にカラコン、3位にスマホケース・・・という結果です。

第一回のコラムでお伝えしたとおり、「カワイイ」の地域格差を無くしたい!と思っている私ですので、ファッションECをやるための理由を探しています。実際、2位にカラコンとあったのが意外な事実でしたが、当時の私は、着目しませんでした。

データは、見方によって得られることが変わりますよね。ですので、「1位が洋服」という結果を受けて、これで、「女性向けファッションECをやります!」と言える裏付けが出来た!と思ったのです。

ファッションECがやりたいです!・・・玉砕

ファッションECがやりたいです!・・・玉砕初回経営プレゼンの内容抜粋です。

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① プリ機で女の子を可愛くしてきたフリューが、今度はリアルでも女の子を可愛くしましょう
② この事業のターゲットはフリュー会員である若年女性です。
③ 自社会員を送客出来るので、集客面では、他社に比べ自社に優位性があります。
④ 調査をしたところ、若年女性はネットで服を買っているようです。
⑤ 雰囲気のある写真を使った販売ページで、コーディネート押しのファッション通販にします。
⑥ 私は「カワイイ」の地域格差を無くしたいんです!
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私は、上記のようなストーリーの、プレゼン資料を作成し、経営プレゼンに臨みました。

当時の私は20代後半のヒラの営業ですから、経営会議の雰囲気も知りませんし、その次元(経営の)の議論にも触れたことはありません。そして広告代理店の営業出身ですので、プレゼンは得意なほうでした。・・・今考えると恐ろしすぎるのですが、意気揚々と、プレゼンに挑みました。

経営会議室に入り、すぐに感じたのは、空気の違いです・・・。役員全員と人事部長と監査役(全員50歳前後の男性)がずらっと座って、こちらを怖い顔で見てくるんです・・・(怖い顔かどうかは主観ですけどw)一瞬で、雰囲気に飲まれ、緊張がMAXになりました。そもそも内容もダメダメだったのですが、プレゼン自体も全然うまく出来ませんでした。

経営陣は、一応、一通りプレゼンを聞いてはくださったのですが、実現性が全く考えられていない机上の空論に対し、質問(というか指摘)の嵐で、うまく回答できずギブアップ。。。人前で何も返答できずフリーズしたのは初めてでした。

結局、自分の無能さを突き付けられた形になり、すっかり自信を喪失して、猛烈に凹みます。。。

わざわざ経営陣に、自分の無能さを晒したのです。どん底でした。

もちろん、前職の頃から、挫折は何度もありました。その時の挫折は、同じ悩みを抱えた同期や、上司のアドバイスに助けられて、乗り越えてきました。

ですが、今回の挫折は、ハードルが高すぎて、どうひっくり返っても乗り越えられる気がせず、どう頑張ったら良いかも分からない状態で、また、同じ状況の人が社内にも居ないので相談もできず、ただ途方に暮れました。

そして、冷静に考えると、転職して2年目で、経営陣に顔を覚えてもらうチャンスだったのに、「わざわざ自分の無能さを晒した」という結果に、絶望しました。また、自分のスキルとしても、自信があったプレゼンで大失敗したことで、今までの営業としてのキャリアにも自信がなくなり、まさにどん底でした。

まだ期待してくれていたんだ・・・・

プレゼン後の私は、逃げ出したい気持ちで、会社で小さくなっていました。役員に恥を晒しましたし、挽回する方法も思いつかず、無心で「プリアドメール」の営業をするしかありませんでした。

そんなある日、席で仕事をしていると、現社長が私のオフィスフロアにいらっしゃいました。私としては、会いたくないので、気が付かないフリをして仕事していたのですが、どんどん私の席に近づいてくるんです。ますます近づいてきたので「あ~ダメだ何か話さなきゃ・・・」と思った時、ただニコニコしながら、3C分析の資料や、市場規模の資料、その他事業計画に参考になりそうな書類を、「参考にどうぞ」とだけ言ってそっと置いていかれました。

私にとっては、特に、プレッシャーをかけるわけでもなく、ただニッコリ笑って、そっと置いていってくださったことに、とても救われました。

「え・・・? 応援してくれるのかしら?」

経営陣に「無能だと思われた・・・」と凹んでいた私でしたが、そうではなく、まだ期待してくれているのだと分かり、前向きな気持ちになりました。担当役員も、「1回失敗しただけ、気にすんな。良い失敗にするかどうかは自分次第。次で挽回すれば帳消しやん?」と励ましてくれました。

「あれ・・・?まだチャンスがあるの!? 凹んでる場合じゃない!!!」

負けず嫌いな性格が戻ってきて、私はなんとか気持ちを持ち直すことができました。あの、さりげないサポートがなければ、このまま諦めてしまう(会社も辞めてしまう)ところでした。

出来ないことを認めて、出来るようになれば良い

現社長からのさりげないフォロー以降、復活した私は、むしろ開き直ります。

実際、私はタダの広告営業で、事業計画なんてしたことないし、PLだって「粗利」しか考えたことなかったし、Eコマースなんて分からないし!・・・そりゃ事業計画なんて出来なくても当然で、仕方ない!じゃあ、出来るようになれば良いというシンプルな話だ!

・・・・出来るようになってやる。諦めない。自分の想いを実現するんだ!ということで、プレゼンの再チャレンジに向けて、再び動き出します。

今、振り返ってみると、私は、このプレゼン失敗を、「良い失敗」に出来たので、今があるのだと思っています。

一度は凹んで過去を悔やんでしまったのですが、現社長のフォローのおかげで、なんとか気持ちを、「挽回しよう!」という未来志向にもっていくことが出来たのが第一歩でした。そして、失敗によって無能だと思われていないということが分かったので、自分が「出来ない」ことを素直に認めることが出来、「じゃあ学ぶしかない!」と思えたので、前向きに進むことが出来たのです。

新規事業は、日々、出来ないことやトラブルが降りかかってくる連続で、むしろ失敗ばかりです。それをいかに自己責任として受け止め、克服し、前に進むかが肝です。

この失敗によって得た、教訓
「出来ない自分を受け入れる強さ」 と 「出来るようになるために積極的に吸収する」
は、新規事業の運営において、私の根本となりました。

失敗→出来ないことを認める→出来るように努力する→出来る
という、この良いループに、いかにもっていけるか、ということは事業の成長においても、自己成長においても、人材育成においても大事だと思っています。

失敗から学べとよく言われますが、一番難しいのは、失敗を認めることではないでしょうか。自分が出来ない・失敗したと認めることは、意外と勇気が必要で出来ないことだと思います。言い訳したり、人のせいにしたり、曖昧にしたりすることも多いですよね。

特に、褒めて伸ばそうという風潮ですから、怒られたことがない人も多く、アドバイスとして伝えただけでも、当人は自己否定されたように感じて、素直に聞けないという人も多いです。

ですが、出来ない・失敗だと認識しないと、その後で、その知識や経験を吸収することが出来ませんので、学びを得られない=成長機会を逃します。

実際、本人が失敗だと思っていない段階では、先述のアドバイスも「言いがかり」になってしまいます。そして、本人はまた同じ失敗をするでしょう。さらに、評価もされませんので、ますます良くないループに陥ってしまいます。

今だから思えることですが、私が、プレゼンで大失敗しておらず、この思考になっていなければ、事業の成功は無かったと思います。おそらく、この5年間の途中で、自分の無力さを受け止めきれず、挫折し、自己防衛のために会社を辞めているでしょう。

失敗を未来に活かすことができるかが肝です。

ということで、私は、<失敗をいかに未来に活かすことが出来るか>が、新規事業成功のカギだと思っています。

さて・・・ここから、どうやって、起死回生して再プレゼンにこぎつけ、事業計画の承認を勝ち取るのか??
第3回に続きます。

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★1つ目★

私がカラコン通販をゼロから立ち上げた時に、どのように事業計画を立てたのか、セミナーを開催させて頂くことになりました。

5/24です。ご興味のある方は、是非お越しいただければと思います。

詳しくはコチラをご参照ください。
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★2つ目★

フリューカラコン事業部では、一緒にカラコンECを拡大してくれる仲間を募集しています!

詳細は、フリュー株式会社コーポレートサイトまで。


ECのミカタ Conference 2025

著者

近藤 真由香 (MAYUKA KONDO)

香川県高松市出身  趣味はバレエ
早稲田大学 人間科学部卒

2007年 株式会社サイバード 入社
    モバイル広告代理店事業のスタートアップ部門に配属
    モバイル広告黎明期より、営業・メディアプランナーとして従事
2011年 フリュー株式会社 入社
    自社メディアの営業として従事
2012年 新規事業計画を経営会議でプレゼン
2013年 カラーコンタクト通販の部署を作る(ECプロジェクト始動)
2015年 カラーコンタクト事業が部に昇格
2018年 カラーコンタクト事業が事業部に昇格

【通販サイト】
カラコン通販 Mew contact(ミューコンタクト)
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近藤 真由香 の執筆記事