世界標準はEmailではなくSMS【越境ECセミナーレポート(下)】

CM.com Japan株式会社

4/23、渋谷ヒカリエにてCM.com Japan株式会社(シーエムドットコムジャパン、以下CM.com)によって開かれた越境EC向けセミナー。前半では、海外では現在でもSMSが主なコミュンケーションツールであることを時代背景とともに解説したが、後半では実際にSMSを使用したマーケティング事例を紹介したい。

誕生日クーポンを送信/フランス女性服メーカー

誕生日クーポンを送信/フランス女性服メーカー

フランスのビクトリアズシークレットとも言われるイータム。1370以上の店舗を世界中に展開している大手衣料品メーカーだ。この企業で最も費用対効果が高い販促は、SMSで送られる「誕生日クーポン」だという。

ユーザーに登録してもらった誕生日に以下のようなメッセージが届く。「お誕生日おめでとうございます。ナタリー、60€ごとに10€のディスカウントをします。コード213312をウェブサイト××.comに入力してご利用ください」。

リンクが貼られたWebサイトに飛び、購入する際にクーポンコードを入力すればディスカウントがされる。その他、セール情報の配信も定期的に行なっているが、オンラインだけでなくオフラインの情報配信もしており、実来店の促進にも活用している。

写真付きで友達紹介クーポンを送る/Booking.com

グローバルで最も知られる、ホテルのオンライン予約サービスBooking.com。日本でも海外旅行に行く際、こちらのサイトでホテルを探す人も多いのではないだろうか。この企業が現在中国で展開しているのが「友達紹介クーポン」。SMSに貼られた限定リンクにアクセスして友達を招待するとボーナスが得られる。

SMSは文字数が限られているため、基本的にはリンクを貼りwebサイトに飛んでもらう仕組みだが、メインHPだけではなく、このように限定LP(ランディングページ)を作成してそこに誘導する事例も多くある。CM.comではこのLPを簡単に作れるサービスも提供している。
 
またこのSMSには写真が添付されている。これはグーグルが開発したRCS(リッチコンテンツサービス)を使用しているためだ。現在対象はアンドロイドのみだが、RCSを利用すれば、SMSを画像や動画付きで送ることができるだけでなく、送信者のアイコンもオリジナルにカスタマイズでき、なりすましを防げるのも最大の魅力だ。残念ながら日本ではまだこのサービスは利用できないが、可能になれば一気にSMSマーケティングが広がるだろう。
 
Booking.comではこのような販促の他にも、予約の確認・変更・キャンセル、支払いなどもSMSを使用して行なっており、ユーザーとのコミュニケーションのメインツールとなっている。

メルマガからの移行で売上150%UP/日本企業の活用事例

企業名は残念ながら伏せられたが、国内企業の越境ECマーケティング成功事例も紹介された。海外に食品を販売している小売業者では、「お得感」が大好きな香港の顧客に対して、クーポンやBuy1,Get1 freeなどのプロモーションをSMSで行なった。

メルマガでは全く売上が上がらなかったが、このSMSを配信してから越境ECサイトからの売上が150%になったという。
 
また台湾向けにマンションを販売する不動産会社では、全く閲覧数が伸びなかったメール配信からSMS配信に切り替えたところ、URLクリック率が0.005%から9%に改善したという。まずは1000通から配信したが、効果が見えたため、現在ではコンスタントに利用しているという。

CM.comのメール配信は簡単に開始することができるため(初回登録料など一切なし)、このようにまずはお試しで始めることができるのが嬉しい。またまずはざっくりと配信し、アクションがあった顧客だけに配信を絞っていくこともできる。

電話番号収集からLP作成まで/CM.com社とは?

電話番号収集からLP作成まで/CM.com社とは?

今回のセミナーを開催したCM.com株式会社は、SMSだけでなく、FacebookやLINE、What’sUp?などメッセージングツールを使用したマーケティングサービスを提供している。

本社はオランダにあるが、事例にあげたようなグローバル企業から中小企業までを顧客に持ち、ヨーロッパだけでなく、アジア、そして最近ではUAEにもオフィスを構え、世界中に展開中だ(代表は「オランダで最も稼ぐビジネルパーソン10人」にも選ばれている)。
 
メッセージの配信だけでなく、遷移先であるLP簡易作成ツールや、電話番号を取得するためのサービスなども提供している。さらに先日、メールアドレス形式でSMS配信が可能なサービスを国内初として開始したことで話題となった。初回登録料や年間利用料などもかからず、ユーザー管理画面からすぐに配信を開始することができる手軽さも魅力だ。
 
最後の質問コーナーでは、「ユーザーの信頼を得るためにはどうしたらよいか」「国ごとに異なるSMSの規制と確認方法は?」など、参加者から多くの質問が挙げられたが、CM.comのこれまでの経験と実例に基づいて回答がなされた。
 
また今回のセミナーは越境EC向けの内容であったが、「国内ユーザーに向けた事例はありますか?」という問も寄せられた。国内では現在、マーケティングより支払い督促などのために利用されることが多いという。次回のセミナーでは、SMSを活用した督促について紹介をする予定だ。
 
国内・国外に関わらず、メルマガに代わる手段を模索している企業はぜひ注目をしたい。


著者

CM.com Japan株式会社 (CM.com Japan K.K.)

1999年オランダで設立し、SMS配信・SIPトランク、コミュニケーションアプリへのメッセージ配信などマルチチャネルメッセージングツールを単一プラットフォームで提供。RCSではGoogleとのオフィシャルメッセージングパートナーとして実装開始。WhatsAppをはじめ、Telegram、Takeaway.com、 ラボバンク、KLMオランダ航空等30,000社以上の顧客にサービスを提供。

https://www.cmtelecom.jp/