EC運営企業の資金繰り
当社で運営していた業務用清掃用品サイト Monet! の2年間の売上推移(万円)
ポイント
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① まずは “売上主義” で。投資しまくる。赤字でも売上を伸ばすことで資金繰りは回り、融資も受けやすくなる。
② 次に “営業利益主義” に。伸びが鈍化する直前に方向転換。ここで初めて経費削減を。
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資金繰りの苦労はどの産業でもありますが、小売業であるECでは特に響きます。B向け商材だと代引き・振込が多いので入金も比較的早いですが、C向け商材だとカード決済が多いので入金は1~2か月後になることも多いですね。
当社で運営していた業務用清掃用品サイト Monet! での経験を話したいと思います。
サイトオープンは10年1月で、その際に300万円の運転資金を用意していました。最悪の事態として “3カ月間売上ゼロ” を想定していたので、それに耐えられるようにするためです。
“まずは利益より資金繰り、そのためには売上が伸び続けることが重要”とし、1年目は徹底した売上主義としました。売上が伸び続けていれば赤字でも資金繰りは回るので、客単価2万円で粗利が1000円しかない商品を、広告費1500円で売ったりもしました。
伸びる時期には細かいことは考えず、経費削減などは後回しにし、お金・時間といった資源をどんどん投入すべきです。日本経済も高度成長期にリストラなどはなかったでしょう?投資の方が圧倒的に多かったはずです。
また、売上が上がっていれば銀行から運転資金の融資を受けやすくなります。オープン前にはECの経験や実績が無いということで全ての融資を断られましたが、売上が出ていれば問題ないでしょう。事実、9ヶ月目に月商が600万を超えていたので、融資を受けることが出来ました。
運転資金も確保し、10年12月に1200万円を達成し、同時に “市場規模からこれ以上の伸び率は期待しにくい” と判断したので、2年目から営業利益主義にシフトしました。11年1~2月の売上が12・3月に比べて極端に低いのはそのためでもあります。
赤字でも売っていた広告は全て停止し、商品価格を見直し、競合が扱っていないマニアックな商品を増やし始めました。11年12月の売上は前年よりかなり低いですが、利益額は5倍ほどありました。
ECは小売業で、リアル店舗と比べても現金決済はないので、資金繰りの苦労が発生しやすくなります。売上が上がるほど資金繰りは苦しくなります。
大口客には“銀行振り込みなら10%引き”などの施策があってもいいかもしれませんね。