「売る+ひと工夫」で心を掴め、人気店舗への近道

福島 れい

商品の魅力・楽しみ方を伝える

 季節の変わり目などに、すでに持っている”このジャケット”に合うシャツがほしい。と買い物に出かけた経験はないだろうか?そんな時、私はそのジャケットをいかにもその日のファッションかのように着用して買い物に出かけ、鏡でコーディネートを確認することにしている。しかし、EC店舗での買い物となるとそうもいかず、コーディネートに不安が残る商品の購入は避けることになってしまうのだ。そんな不安を解決し、安心して楽しく買い物をしてもらおうと、フレックスジャパン株式会社(以下、フレックスジャパン)が、Web画面上で自在にコーディネートを試すことのできるアプリ「スタイル・コーディネーター」を開発、軽井沢シャツ・オンラインショップで運用を開始した。

 軽井沢シャツ・オンラインショップでは、すでにWeb上でシャツのデザインが手軽にでき、オーダーできる「シャツビルダー」を展開している。これにより、「仕上がりのイメージが分からない」という不安を軽減し、デザインをする楽しみを味わいながらの買い物を実現していた。今回はここに「スタイル・コーディネーター」を加えることで、「手持ちのスーツ(ジャケット)と合わせられるか、不安」や「オーダーしたのはいいけど、着合わせが分からない」という不安を解消。よりリアルなイメージを持って楽しむことができる買い物を目指すという。

 これらのアプリは、フレックスジャパンの自社開発によって生まれたものだ。担当者によれば「シャツビルダーで仕上がりのイメージを確認し、スタイルコーディネーターで着こなしのイメージも確認していただくことで、不安を軽減しWebでのオーダー商品購入を躊躇される方の「背中を押す」ことが、弊社の目的であり、その結果、お客様に『安心して、楽しく』お買い物していただくことが目標となっております。」とのこと。

 つまり、今回のフレックスジャパンの取り組みは、オーダーメイドシャツという自社の商品を最大限楽しんでもらうための環境を整えるものなのだ。最近、ECサイトのメディア化や動画を使った商品プロモーションなどが注目されているが、これらも近しいものと言えるのではないだろうか。これまで求められていた「質の高い商品」に加え「買い物の楽しみ」を提供し、ファンになってもらうことが、成功への道の1つとなってきている。

 商品の特性や顧客層によって、楽しみの提供方法は違うだろう。フレックスジャパンで言えば、オリジナルをより楽しむため着合わせ等を楽しむ環境を提供している。若い女性がターゲットであれば、Instagramを使ったコミュニケーション、高級品を取り扱う店舗では、商品のお手入れ情報を提供する等も、買い物に楽しみを添えることができるのではないだろうか。

 EC店舗を取材すると、どの店舗でも商品のことをよく知っていて、熱っぽく語ってくれる。自社の商品だからこそ、その魅力も、楽しみ方もよく知っているのだ。その楽しみ方をお客様にも伝え、一緒に商品の魅力を味わう。一見、売上には遠い行為のようにも思うが、実は、人気店舗への近道となるように思う。


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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