ヤマト/JTB/パナソニック「手ぶら観光支援サービス」開始

ECのミカタ編集部

 以前、掲載した【旅×EC】(https://ecnomikata.com/ecnews/10078/)では日本国内での旅行に注目し、、ECが提供する新しい旅の選び方を紹介してきたが、今回は、訪日外国人客に注目し、旅行の手荷物の負担を軽減する方法を紹介する。

 旅行をする際に、「手荷物が邪魔!」と思うことはないだろうか。美しい景色を写真に撮ろうとしても、荷物で手がふさがっており、写真を撮ることができない。また、買い物をする際も荷物が多いと、荷物が商品に当たることが心配でゆっくりと買い物をすることもできない。

 そのような現状を変えるために、株式会社ジェイティービーとパナソニック株式会社、ヤマトホールディングス株式会社が訪日外国人客に向けて「手ぶら観光支援サービス」を開始する。

 なお、9月5日に羽田空港にて、「手ぶら観光支援サービス」の実証実験開始に伴うデモンストレーションに参加したため、それを基に紹介していく。

訪日外国人客が増加すると共に、発生する問題

 現代、訪日外国人客の数は2015年時点で1,974万人に上っている。これを受け、政府の観光ビジョン構想会議では、2020年の訪日外国人客の数の目標を「4,000万人」と設定した。しかし、この訪日外国人客の増加により、観光施設や公共交通機関では、外国人客の大型手荷物を携えた国内移動や滞在先での保管の問題が発生している。また、訪日外国人客が宅配便サービスを利用する際、日本語で送り状を手書きする必要があるため、多言語対応可能なスタッフのサポートが必要になるが、対応できる場所が限られているのも現状だ。


 このような言葉の壁や受付場所の制約を解消し、訪日外国人客に手ぶら観光による、日本ならではの利便性や安心感を広く体験してもらうため、株式会社ジェイティービー(以下、JTB)とパナソニック株式会社(以下、パナソニック)、ヤマトホールディングス株式会社(以下、ヤマトグループ)の3社で「LUGGAGE-FREE TRAVEL」の実証実験を開始する。これにより、訪日外国人客を送り状の手書きの手間から解放し、空港や宿泊施設でのスムーズなサービスで、ストレスなく快適な環境を提供すると共に、公共交通機関の混雑緩和や安全性の向上にも貢献する。

大型手荷物を宿泊施設や空港まで輸送

大型手荷物を宿泊施設や空港まで輸送「手ぶら観光支援サービス」のデモンストレーションの様子

 「LUGGAGE-FREE TRAVEL」は、訪日外国人客の日本到着・周遊移動・帰国の際、日本語で送り状を手書きすることなく、大型手荷物を宿泊施設や空港まで輸送することで、国内における手ぶらでの観光を支援するサービスだ。訪日外国人客は、国内外の訪日旅行業者向け予約管理システム「GENESIS」を介して旅前に旅程計画に応じたサービス申込を行い、日本で多言語対応のICT端末で手続きをする。これにより、送り状を手書きすることなく、簡単にサービスを利用することができる。

 今後、日本国内の宿泊・観光施設に配備する「JAPAN FITTER」で必要情報を登録することで、滞在中にJTBの訪日外国人向けパッケージツアーブランド「サンライズツアー」など着地型商品と組み合わせてサービス申込ができる仕組みを構築していく。さらに、訪日外国人客の空の玄関口となる羽田空港からサービスをはじめ、順次、全国の空港へサービスの拡大を図っていく。

「LUGGAGE-FREE TRAVEL」の実証実験を開始

「LUGGAGE-FREE TRAVEL」の実証実験を開始「LUGGAGE-FREE TRAVEL」のサービス概略図

 2016年9月からは東京都心エリアを基点にした「LUGGAGE-FREE TRAVEL」の実証実験が実施される。JTBの予約管理システム「GENESIS」で実証実験対象ホテルの宿泊を訪日前に購入する訪日外国人客を対象とし、手ぶら観光支援サービスを告知、提供する。

 サービス申込者には受付用番号とバーコード付きバウチャーが発行される。旅行先の日本では、専用端末に受付番号もしくはバーコードを認証させることで、宿泊先などサービス提供に必要な情報が、パナソニックが運営・管理するサーバー「Traveler Relationship Management」を経由し、ヤマトグループの宅急便送り状発行システムに送信される。受付した大型手荷物の集荷および配送のオペレーションは、ヤマト運輸が行う。また、羽田空港国際線ターミナルにおいても、京浜急行電鉄株式会社が運営する京急ツーリストインフォメーションセンター内にて、大型手荷物の預けが可能となる。

 なお、実際の「LUGGAGE-FREE TRAVEL」の流れは以下の通りだ。

【タビマエ(海外)】
・海外旅行と共に手荷物配送サービスも申込。

【タビナカ(日本到着~滞在中~出国)】
・空港、ホテル等のカウンターで送り状の手書きなしで受付。

【荷物受取】
・チェックイン時にホテル・旅館で荷物を受取る。
・出国日は空港で荷物を受取る。

今まで以上に日本を満喫してもらうために

 「LUGGAGE-FREE TRAVEL」の利用により、観光の仕方が変わる。例えば、荷物無しで長距離移動をすることができる。大型手荷物と共に移動するのは、労力を使うし、周りの目も気になる。それが、「LUGGAGE-FREE TRAVEL」を利用して荷物を預けることによって、身軽に、負担なく、日本の風景を楽しんでもらえるようになるだろう。目的地に着いたらそのまま観光することができ、ショッピングも快適、ほしいものを躊躇わずに買ってもらえるのではないだろうか。

 大型手荷物は、旅の楽しさを軽減してしまうものだ。せっかく日本を選んで来てくれた外国人客が、荷物が原因で存分に楽しめないということはもったいない。「LUGGAGE-FREE TRAVEL」は、それを解消するサービスなのだ。

 「LUGGAGE-FREE TRAVEL」は、さらなる訪日外国人客を呼び、日本の人気が上昇することにつながるかもしれない。日本の魅力を伝えるためにも、今後、このような訪日外国人客向けのサービスが必要になってくるだろう。日本滞在中だけでなく、日本で楽しい旅をしてもらえれば、帰国してからも日本に注目してもらえる可能性もある。それは、ECにとっての可能性にもつながるだろう。「LUGGAGE-FREE TRAVEL」を皮切りに、より楽しく日本を旅することができるサービスが開設されることを期待したい。


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