特別企画:ECを支える配送業界の進化【ヤマト運輸編】

ECのミカタ編集部

ヤマト運輸 ヤマト運輸株式会社 営業推進部 プロジェクトマネージャー 中西優氏

 ECとは切っても切れない関係にある「宅配」業界。そのサービスの誕生から発展、EC業界との関わり、さらに今後の展開について迫る特別企画。今回は「ヤマト運輸編」。なぜヤマト運輸は多くの人に支持されるのでしょうか。その理由を考えると、ヤマト運輸とECの親和性の高さが見えてきます。ヤマト運輸株式会社 営業推進部 プロジェクトマネージャー 中西優さんにお話を伺いました。

【概論編】https://www.ecnomikata.com/ecnews/10741/

(企画/ECのミカタ メディア編集部 文/だて まいこ)

“いつでも買える”の次は“いつでも受け取れる”

 今や、インターネットで注文した商品が希望の時間に届くことは当たり前、それだけではなく、翌日、即日、さらに1時間以内に届いてしまうサービスも登場している。そうした“スピードを重視した配送”は消費者のニーズに応えるべくして誕生したものではあるが、掘り下げていくと、消費者にとってニーズが高いのはスピード配送ではなく、“受け取とりたいときに荷物が届く配送”だ。

 日ごろから配達先の消費者を第一に事業を展開するヤマト運輸も、商品を受け取れる日時選択の自由の提供や、宅配ロッカー・コンビニなど商品を受け取れる場所を拡大している動きからもわかるように、消費者のニーズに応えられる配送を重視している。

 消費者にとってメリットの大きいサービスを導入できることは、EC店舗の質を上げることにも繋がってくるだろう。特に2016年7月、EC店舗が自社のECサイトにヤマト運輸のコンビニ受取サービスを導入する際の利用料を無料化したことは、EC店舗からも大きな反響があった。(https://ecnomikata.com/ecnews/10329/)ヤマト運輸には、このような“ECサイトのレベルを上げるサービス”が用意されているのだ。

LINEを活用したサービス

 その他、“ECサイトのレベルを上げるサービス”の一例として、荷物追跡の詳細や受取の日時・場所の変更に、LINEを活用したサービスの提供が開始されたことは記憶に新しい。それまでは「お届け予定 eメール」が提供されていたが、スマートフォンやアプリの普及により消費者がメールを見る機会が減少し、メールを送っても見られていないことが増えたことが、このサービスを開始するきっかけとなったそうだ。

 どんなに配送が早くとも、消費者が荷物を受け取れなければ意味がない。ヤマト運輸が大切にしているのは、“ヤマト運輸が提供する全てのサービスにおいて、どうすればお客様が気持ちよく荷物を受け取れるか”ということなのだ。

 “配送とはお客様が気持ちよく荷物を受け取れる環境を整えること”、ヤマト運輸のそうした考え方は、EC店舗の在り方にも大きく影響してくる。

ユーザー目線の配送で顧客に選ばれるのはヤマト運輸

 “54%” これが何の数字かご存知だろうか。これは日本通信販売協会(JADMA)発行の情報誌「JADMANEWS(ジャドマニュース)」2013年6月号に掲載された「2013配送満足度調査」内、「もし配送会社を選べるとしたらどの配送会社を選びますか?」という設問に対し「ヤマト運輸」と回答した人の割合だ。
 
 当たり前のことではあるが、実店舗と違いEC店舗では、店員から商品を直接購入するわけではない。結局のところ、EC店舗において消費者と対面するのは配送会社の配達員なわけで、消費者からすると「配達員=EC店舗のイメージ」となることも多い。だからこそ、ヤマト運輸が徹底するユーザー目線の配送は、「また利用したい」と思ってもらえるようなEC店舗づくりに適しているのだ。

 「配送がEC店舗様やお客様の期待を裏切ってはいけません。お客様の中では、“荷物がいつ届くかわからないから商品を購入しない”という人もいるかと思います。配送がEC店舗での商品購入におけるハードルになってしまっては、非常にもったいない。お客様に荷物の動きを知らせる、お客様から意思表示できる場を作ってあげる、そうしたコミュニケーションを怠らないことが、お客様の配送に対するストレスを減らせるのだと思います。」と中西さんは語る。

 配送がEC店舗の売上に影響を与えかねないことを考えると、中小のEC店舗にとってはどの配送会社に自社の商品を任せるか、慎重に選びたいところだろう。

 また、大手EC店舗が実施しているような配送サービスは中小には難しいと、諦めているEC店舗も多いのではないだろうか。ヤマト運輸はそうした大手EC店舗のみならず、中小EC店舗が安心して業務に取り組めるような配送サービスを提供している。

EC店舗の黒子。ヤマトが顧客と店舗に笑顔を届ける

EC店舗の黒子。ヤマトが顧客と店舗に笑顔を届ける「YES(Yamato Ec Solutions)」サービス機能の紹介流れ

 ヤマト運輸の配送サービスは、配送だけにとどまらない。特に少人数でECサイトを運営している中小EC店舗は、人手が足りずバックヤード業務に時間を取られることで、本来専念すべき業務に集中できないということも多いのではないだろうか。

 そこで注目したいのが、ヤマト運輸の「YES(Yamato Ec Solutions)」というサービスだ。「YES」は、複数モールの一元管理・決済・伝票出力・顧客管理・スピード配送等をすべて一括で行うことができる。その他にも最近では、請求業務支援サービス「請求業務クラウドサポート」(https://ecnomikata.com/ecnews/10839/)の提供が開始されるなど、ヤマト運輸は配送以外でも様々な角度からEC店舗の事業拡大をサポートしている。

 またヤマト運輸は全国4000箇所に営業所をもっているため、全国に点在する中小EC店舗の商品も巨大なネットワークを利用して素早く荷物を配送することができる。不在再配達に対しても柔軟に対応できるのは、ヤマト運輸のこうした仕組みがあってのことだ。

 「不在再配達によって配達先のお客様がストレスを感じるようなことがあってはならない」、サービスが充実しているというだけではなく、そのサービスの根底にある考え方にある。多くの配送会社が運賃を申し受けるの荷主の意向に沿ってビジネスを行う傾向にある中、ヤマト運輸が常に大切にしているのは、配送先のお客様なのだ。

 「あくまでもヤマト運輸の配送は、配達先のお客様目線です。不在再配達に関しても不在再配達自体が問題なのではなく、むしろお客様が荷物を受け取れずにストレスを感じていることの方が問題だと考えています。なので、ヤマト運輸はこれからもお客様へと荷物を受け取る自由を提供し、他社にはないネットワークを活かすことで様々な規模のEC店舗様を支援していきます。」

 ヤマト運輸が“約54%”もの一般消費者に選ばれる理由が、おわかりいただけただろうか。消費者に対して、EC店舗の最終的な印象付けともなる“配送”。だからこそ、ただ安い、早いというだけで選んではいけない。今回の取材でも終始出てきたように、最初に考えるべきは「お客様がどう感じるか」だ。その結果、安さや早さが必要なのであれば、それは取り入れるに値するだろう。そう考えた時に、EC店舗、消費者の双方に笑顔を届ける仕組みが、ヤマト運輸にはあるのだ。


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