越境EC「SD export」が1年突破、販売動向が明らかに

ECのミカタ編集部

 株式会社ラクーンが運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」の越境ECサイト、BtoBの輸出販売サービス「SD export」は、2015年8月のサービス開始から1年となる、現在までの利用状況や商品の動きをまとめたデータを公開した。今回は、このデータを基に、越境EC市場について考えていく。

世界143ヶ国の海外の小売店や企業とリスクない決済を

 まず、「SD export」とは、ファッション&雑貨の卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」の輸出販売サービスであり、日本国内のメーカーと海外の企業・小売店が取引できるBtoBの越境ECサイトだ。メーカーは、日本国内にあるスーパーデリバリー倉庫に商品を発送するだけで、世界134ヶ国の海外の小売店や企業と手軽に決済リスクのない取引をすることが可能だ。

 2015年8月からサービスを開始し、商品掲載数は約15万点に上る。約600社のメーカーが国境を超えた世界8,000店舗への販路拡大ツールとして活用、効果を発揮している。(数字は全て2016年8月現在)

国別流通額の第1位は台湾!

国別流通額の第1位は台湾!海外会員の国別構成比(ラクーン調べ)

 SD exportの利用登録を行っている海外小売店の数は増加し続けており、サービス開始時は約1,000件だった登録数が現在では8,000件を突破している。国別では、台湾が最も多く、次いで香港、アメリカの順で続く。比率に関しては、台湾が28%、香港が25%、アメリカが17%となっている。

 なお、海外会員は台湾・香港のアジア2ヵ国で50%以上を占めているが、近頃では欧米からの会員登録も増加傾向にある。北米では、サービス開始時の108件から約5倍の1,627件に、ヨーロッパでは86件から約5倍の426件に増加しているなど、アジア以外の地域にも広がりが見られる。

国別流通額の割合(ラクーン調べ)

 国別の流通額に関しては、台湾が1位を占めた。台湾での利用が多い理由として、ドラマに始まり、バラエティー、料理番組、旅番組、アニメなど様々な日本の番組が台湾で字幕付きで放送されていることが関係している。また、日本の雑誌なども販売されていることから、日本のカルチャーにも親しみのある人が多いことが挙げられる。

 さらに、台湾では日本と衣服のサイズ感が同じであることや、日本との距離が近いため配送に関しても安く、短時間で納品まで行えるということから台湾での利用が広がっていると考えられる。

 2位の香港に関しても、日本製品を好む人が多い上に台湾と同じく、アパレルに関しては日本とサイズ感が同じであることや、給与水準の高さ、またインターネットインフラの環境の良さから利用が増えているものと考えられる。

日本の商品を海外のユーザーに届けるために

日本の商品を海外のユーザーに届けるためにジャンル別の流通額比率(ラクーン調べ)

 SD exportで商品を販売しているのは、現在日本国内メーカーのみである。そのため、日本製や日本企画の商品、伝統工芸品なども数多く出品されている。そういった日本的な商品の人気は高く、ジャンル別でみると「食器・キッチン」ジャンルの流通額が最も多い。特に美濃焼や波佐見焼などの和食器や、日本の伝統的なデザインが施された製品が好まれ、特に台湾で人気がある。

 その次に流通額の多いジャンルは「ステーショナリー・クラフト」で、特にアメリカでの人気が高く、日本メーカーのボールペンや筆ペン、万年筆、また和紙を使ったマスキングテープなどが好まれている。

 中国からの来日旅行者による爆買いの話が話題になって久しいが、今回の調査からは、中国以外でも、日本の商品は海外から人気を得ていることが分かる。「SD export」が、サービス開始から1年でここまで成長してきていることからも、それだけ日本の商品が求められているということが感じれる。この「SD export」のように、越境ECに挑戦できる場は、増えてきている。参入を検討している方は、ぜひ、自社の商品とターゲットに最適な場所を見つけて、挑戦してみてほしい。


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