ECと実店舗の垣根が消える?2人に1人が使うTカードが鍵
スマホサイフにより、ECの実店舗の統合?
7月20日、スマホ決済において消費者の購買行動が変わるような予感がした。ECと実店舗の垣根がなくなっていくことを想像させる、スマホ決済サービスがリリースしたのだ。それが、「スマホサイフ」である。
Tカードを提供しているカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、CCC)の子会社であるCCCマーケティング株式会社(以下、CCCマーケティング)が提供している「スマホサイフ」。
財布の中に入っているポイントカードやスタンプカード、クレジットカード、電子マネー、キャッシュカードなどを1つのアプリに集約し、アプリ経由で利用することができる共通のプラットフォームだ。このスマホサイフが、ECと実店舗の境界線をなくしていくとされている理由は2つある。
【1つめのポイント】スマホサイフでスマホ決済をシームレスに
その理由の1つとは、ECと実店舗の両方で、決済までシームレスに行えるということだ。これまでスマホ決済と言えば、ECで行うイメージが強かっただろう。
しかしスマホサイフがあることで、実店舗においても現金やカードを使うことなく、スマホのみで決済が完結する。手軽に行えるため、実店舗においてもスマホサイフが浸透していくだろう。 EC店舗も実店舗もスマホがあればシームレスに、スマホ決済を利用することができる。
スマホサイフによって、ECや実店舗において“スマホで決済が完結する”という感覚を持つようになる。消費者の決済方法が統合されることで、ECと実店舗との垣根を小さくしていくのだ。
【2つめのポイント】2人に1人が利用するTカード
また、スマホサイフがECと実店舗の垣根を小さくするもう1つの理由として、CCCマーケティングの親会社であるCCCが提供している「Tカード」も管理できるということが挙げられる。様々なポイントカードやクレジットカード、電子マネー、キャッシュカードを集約できる、その中でもTカードこそ注目するべきポイントなのだ。
ではなぜTポイントカードなのだろうか。それは、日本人の2人に1人が利用している国民的ポイントカードだからだ。
CCCによると、2016年9月末にTカードの利用者数が6,000万人を突破。(直近1年間にTカードを利用したアクティブな会員、かつTカードを複数所持している人は1人とカウントしたユニークな会員である「アクティブ・ユニーク」なT会員数)日本の総人口数が1億2,708万人であることを考えると、日本の半数がTカードを利用していると言えるのだ。また、15歳から64歳までの7636万人のうち、T会員が占める割合は約8割だという。
そして、月に一度利用している会員は全体の約7割の4,300万人、週に一度利用している会員は全体の約4割の2,700万人と、国民の生活に深く根付いたポイントカードなのだ。これほどまで利用数が多いのは、リアルとネットを横断する56万店舗が参加しているということが要因だろう。そして今もなお、参加店舗は増え続けている。
最近ファミリーマートとユニーの経営統合に伴い、ユニー・ファミリーマートホールディングスが設立されるというニュースが話題になった。この統合によってユニーの傘下であるサークルKサンクスが、徐々にファミリーマートになっていく。ファミリーマートはTポイントが利用できるため、今よりもさらにTカードの活躍の幅が広がっていく。そしてこのニュースを受けて、Tポイントを活用できる代表的ECサービスであるYahoo!ショッピングにとって追い風になっていくと言われている。
このようにECにおいても実店舗においても、多くの店舗でTポイントが利用できる。そのため、「ECか実店舗か」という買い物の判断基準はなくなり、「Tカードが使えるか、Tポイントが貯められるか」という視点での買い物が増えていく気がしてならないのだ。そして現時点で、日本人の約半数が、そのような購買行動を起こす可能性を秘めている。
ECと実店舗との垣根がない未来
スマホサイフによって、スマホ決済がシームレスに行えるようになった事実。
そして、スマホサイフの中でTポイントが管理できるようになった事実。
これらが作り出す時代の流れにより、ECと実店舗の垣根は徐々に小さくなっていくだろう。単にOtoOやオムニチャネルといった言葉では表せない、ECと実店舗が統合される未来は近づいてきているのだ。