新参者「.shop」ドメインが巻き起こす。ECへの旋風

ECのミカタ編集部

「.shop」の登録件数が2,000件近くに

 ECサイト向けの新ドメイン「.shop」の登録件数が、優先登録期間が半分を経過した2016年9月16日9時の時点で、ついに1,990件を突破した。また、取扱高は2億円を超え、過去最大級の勢いを見せている。

 なぜ「.shop」はこんなにも人気を集めているのだろうか。それは、ドメインを見ると、ECサイトだということが一瞬でわかるからだろう。また、覚えやすいことも相俟って、2,000件ほど申請された新gTLDの中で、最も高い評価を受けているTLDの1つになっている。それは、北米・欧州を中心としたドメイン名のアフターマーケット業界の大手企業であるSedo GmbH社が実施した、全ての新gTLDを対象に下記の5つの観点で潜在価値の評価において、「.shop」が最も潜在価値の高いドメインという結果が出ていることからも明らかだ。

新gTLDとは。末尾部に配置される「com」や「net」、 「jp」などの文字列のことをTLD(トップレベルドメイン)という。そして 2008年6月にICANNの理事会において、 TLD導入のルールを大幅に自由化する案が承認され、 2012年1月よりICANNの適切な審査プロセスのもと自由な文字列によるTLDの申請が開始されることが決定した。このことを新gTLDという。)

 登録には2段階の期間を設けている。

 2016年9月2日~26日は「優先登録」の期間だ。この優先登録では、ダッチオークションという各ドメインのオークション開始初日が最も高額で、日が経つにつれて価格が下がっていく方式を採用している。そのため金額は見えやすいが、希望ドメインが先に入札されたら、そのドメインは入札者のものになってしまう。

 また、2016年9月27日からは「一般登録」の期間。こちらは優先登録で取得されなかったドメインを、先願制、つまり早い者勝ちで登録できる。

まだまだ勢いは止まらない

 EC向けの「.shop」ドメイン登録申請状況としては、日本以外にも、ドイツやアメリカ、中国など、30カ国以上から登録申請がされている。また、2016年7月1日~8月30日にかけて実施した商標権者向け優先登録においては、申請件数が一般向けの新gTLDで過去最高の1,182件に達したと発表されている。

 そして現在、一般登録前に行っている優先登録では、人気の高い文字列やECサイト運営での活用とした申請が集まっている。優先登録期間は残り10日間あるため、期間終了に向けて件数はさらに増加していくだろう。

AmazonやGoogleに勝利。熊谷氏、想いを語る

 GMOインターネットグループでレジストリ事業を展開するGMOドメインレジストリ株式会社(以下、GMOドメインレジストリ)が「.shop」を提供するまでには、大きなドラマがあった。

 それは、2016年1月28日に実施されたICANN主催のオークションにおいて、AmazonやGoogleを始めとした世界8社の企業で「.shop」ドメインの権利獲得を争ったからだ。落札額は、当時の世界最高額である4,150.1万USドル。日本円にして約49.2億円だ。(現在の世界最高額は「.web」。1億3,500万USドル(日本円にして約142.3億円))そしてその努力は6年間にも及ぶ。

 2016年1月28日、GMOインターネット株式会社 代表取締役会長兼社長 グループ代表の熊谷 正寿氏は、自身のブログにてその時の喜びをこう語っている。

 「関係者の皆さんおめでとう。大変にお疲れ様でした。

この新ドメインは、世界中のイーコマース市場の拡大に大きく貢献し、Amazon一強のコマース市場に一石を投じる可能性を持っています。(だからAmazonもこのドメインが欲しかったのでしょうね。)

そして、「.shop」は私たちが誇るナンバー1のインフラ商材(サーバー、クラウド、SSL、カート、決済など)を世界中のイーコマース事業者様にアップセルするための入り口になります。

このドメインをきっかけに「日本を代表する総合インターネットグループ」から「日本発のグローバルなインターネットグループ」へ成長いたします。今後にご期待ください。」

 GMOドメインレジストリが決死の想いで勝ち取ったECサイト向けドメイン「.shop」。EC業界へ、EC事業者へ、新たな可能性という旋風を巻き起こすに違いない。


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