楽天、2016年度 第3四半期決算発表

ECのミカタ編集部

2016年度第3四半期決算、業績ハイライト

 楽天株式会社(以下、楽天)は楽天のクリムゾンハウスにて、副社長執行役員 山田善久氏らにより、2016年度第3四半期決算を発表した。

 為替調整後、証券事業を除いた売上は前年同期比+10.6%と伸びている。また、連結売上収益も前年同期比+4.2%と好調だ。一方で、Non-GAAP営業利益(ノンキャッシュアイテムを除いた、過去との連続性を重視した営業利益)は-12.1%と減少。

 楽天カードの営業利益は、前年同期比+45.3%と大きく成長し、FinTechセグメント売上収益も前年同期比+28.2%と伸びている。国内EC流通総額においても前年同期比+10.0%と成長。楽天モバイルにおいては、格安SIMサービスシェアNo.1になっている。

 楽天は自社が持つビックデータを活用し、EC・FinTech・広告・投資などといったサービスを総合的に提供する“楽天経済圏”の成長に力を入れている。そんな中でFinTechや楽天カード、楽天モバイルの伸びは、今後楽天経済圏を拡大するうえで重要な鍵になるだろう。

楽天市場の伸び、そして今後の課題

楽天市場の伸び、そして今後の課題

 国内EC流通総額は7,554億円、前年同期比+10.0%と伸びを見せている。また、売上収益は前年同期比+6.7%。営業利益は前年同期比-17.3%だ。2016年度第2四半期決算では、営業利益が-24.6%だったことを考えると、徐々に改善してきている。

 国内EC流通総額が+10.0%と成長した要因としては、SPU(スーパーポイントアップ)プログラムが挙げられる。今年1月から始まったこのプログラムは、楽天が提供する様々なサービスを利用するごとに、楽天市場で買い物をする際に獲得できるポイントが「4倍、5倍、6倍、7倍」と増えていく仕組みだ。楽天はこれにより国内EC流通総額が伸びたとしており、あわせてユーザー数と注文件数も増加している。(購入者数 前年同期比+10.9%、新規購入者数 前年同期比+5.6%、注文件数 前年同期比+17.0%)

 山田氏は「方向性は予想通り。EC事業に対して今年は投資しているため、マイナスの数字が出ている部分がある。しかし流通総額などは伸びているため、順を追って売上利益も伸びていくだろう。」とコメント。今後の課題としては、1回の注文あたりの金額が落ちているため、ここを向上させていきたいとしている。

爽快ドラッグ・フリル買収の影響はどう出るか

 楽天といえば、10月後半に株式会社爽快ドラッグ(以下、爽快ドラッグ)を約89億円で買収したことが印象的だ。(https://www.ecnomikata.com/ecnews/11847/

 そして2016年12月を目処に爽快ドラッグは楽天の子会社となる。これについてはユーザーの訪問頻度を上げマーケットプレイス全体に貢献、生活用品及び日用品の直販モデルを強化していくとしている。楽天では楽天経済圏を拡大するとともに、楽天市場での商品ジャンルの強化にも力を入れている。今回の買収は、楽天市場の事業基盤をより強堅にするきっかけになったのではないだろうか。

 また、9月の始めにはCtoCフリマアプリのフリルを運営する株式会社Fablic(以下、Fablic)を買収し、CtoC事業においても拡大する動きを見せた。(https://www.ecnomikata.com/ecnews/10887/)フリマアプリでNo.1のシェアを占めているメルカリに追いついていきたいとしており、フリルは手数料無料化へ動き出した。

 今回の決算は、FinTechや楽天カード、楽天モバイルの大きな成長を実感、楽天経済圏の更なる拡大の可能性を感じた。またECにおいても成長を取り戻してきており、楽天が仕掛けたSPUプログラムの結果が堅実に現れている。爽快ドラッグとフリルが楽天の子会社になることで、さらなるECの伸びが期待できそうだ。楽天は次のステージへ着実に歩み始めている。楽天市場の戦略によって、今後のEC業界がさらに躍進していくことを願いたい。


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