ヤフー、2016年度第3四半期決算発表〜ECの重要性、宮坂氏が強調

石郷“145”マナブ

売上高は2213億円。ヤフー本体は四半期で過去最高の売上高

 ヤフー株式会社(以下、ヤフー)は、先ほど、代表取締役宮坂学氏らにより、2016年度第3四半期決算説明会を開催した。

 決算をまとめてみる。売上高は2213億円(前年比+12.7%)で四半期としては過去最高の売上高となった。営業利益は517億円(前年比+20.0%)で四半期利益は356億円(前年比+24.0%)と大きく伸長した。また、スマートフォン広告売上高は、373億円で前年同四半期比36.4%増と大きく成長しており、ここで注目すべきは、スマートフォン広告の売上高の比率が今回、初めて51.2%、つまり5割越えとなった点にある。また、検索連動型広告の売上高が、継続的な、機能改善と一部広告出稿主の需要増に伴い、前年同四半期比5.9%増で、2014年第4四半期ぶり(ちなみに、2016年第1四半期-10.9%、第2四半期での-3.4%だった)プラス成長をしている。

ヤフーにとってのショッピング事業の重要性を宮坂氏、語る

 オークション関連の売上高は2421億円で、過去最高となっている。また、月額有料会員のID数は1755万にも上り、その中において、「Yahoo!プレミアム」会員は前年同月比8.4%増となっている。Yahoo!ショッピングの取扱高で、Yahoo!プレミアム会員による取扱高の比率が62%であることからすれば、会員の増加がショッピングに与える影響も少なくないだろうと思われる。また同時に、Yahoo!ショッピング経由で「Yahoo!プレミアム会員」になるお客様の数も多く、その数も3年前の49倍となっているというわけで、相互に左右している。

 ショッピング事業に関しては、先行投資事業と位置付けられており、ショッピング商品数は2.5億で国内最多、ショッピングの事業取扱い高も1407億円過去最高で、特に、ヤフーにおいては出店料を取っていない関係上、ショッピング広告の売り上げ高が重要になるが、これも58億円と過去最高となっている。2015年の第3四半期が30億円だったことからすれば、大きな成長だと言える。

 いかに、ヤフーがショッピング事業に力を入れているのか、は決算の中でも、強調された。それに関連づけて、出てくるのは、eコマース革命だ。そもそもこの戦略はいまさらいうまでもないが、出店料無料、売上ロイヤリティ(システム手数料)を無料にするところから始まっており、上の写真の通り、これが、毎月のストア数増加から、商品数増加へ、そして、競争激化に伴い、売り場の魅力増加と、それに伴い購買率があがれば、購入者数の増加となって、取扱い高が増えて、最終的に広告出稿が成り立つ、というものだった。

 あわせて、Yahoo!ショッピングのeコマース革命における3年間の成果に言及し、上記の数字は、ストア数が3年前の16倍に、商品数は同じく3倍に、取扱い高も2倍に増えて、広告売上高も5倍となっていることから、実績に胸を張って、次の施策を「第二章」ということで示唆した。

eコマース革命の第二章とは

 具体的には、いまある商品数に甘んじることなく、国内最多の商品数のレベルを強化し、ないものはないと言えるサイトを目指し、優位性を強化する。また、Yahoo!自体の会員もそうだが、先日のソフトバンクのユーザーであるだけでポイントが優遇される施策に見られるように、SoftBankグループのシナジーを生かして、新規購入者の拡大を目指すということ。この辺は、以前、執行役員 小澤隆生氏が言っていたが、巨大な会員でも組織SoftBankユーザーが感じるメリットの一つの受け皿として、Yahoo!ショッピングがそれを担える存在になったということでもあるし、SUPER studentなどの施策との相乗効果で、結果的には、ヤフー単体では取り立てまだ施策を打っていない、若年層の取り込みにつながって、功を奏すだろうという話もあった。

 さらに、検索を中心に、ヤフーニュースなどトップページだけ使っているというユーザーが多いので、そこでショッピングを使ってもらうために、ターゲットをきちんとセッティングして、送客を行なっていくとしている。そこでマルチビッグデータが必要になるとしており、ここで決済などのデータも活きてくるとしている。

 印象的だったのは、今までメディアの印象が強かったヤフーをビッグデータカンパニーとして強く位置付けている点だった。宮坂氏は、「流通総額で1番になる、決済と金融でも1番に、三本の矢で集まってくるマルチデータを、我々にしかできない広告の提案や技術の提案をしたいと考えています。その意味で、ここのビッグデータとAIの活用は今後の最終的なイメージ」と話しており、ある種、メディアとしての強みを、Eコマースの成長に合わせる形で、金融や決済での主役にも躍り出て、それらのデータを最大限活用化するところに、ヤフーとしての未来を見ているようだ。ヤフーの未来にとって、ECは根幹部分をなす重要な要素であるといえよう。

ECノウハウ


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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