EC業界News1週間まとめ〜再配達問題の呼びかけで、世の中が変わる?ヤマト運輸、日本郵便など。

石郷“145”マナブ

こんにちは。
メディア編集部石郷です。
今週、注目された記事はこちら。

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再配達問題で、ヤマト運輸、日本郵便などが動きだす

 宅配の問題に関して、色々なところが動き始めています。23日には千葉市で、宅配型ロッカーを区役所、コミュニティセンター、千葉都市モノレールの駅などに設置すると発表しています。公共施設は24時間、駅においては始発から終電まで受け取れる環境を作るというわけです。

 この宅配ロッカーは、昨年、ヤマト運輸とフランスのネオポストショッピング社の共同出資によって設立されたパックシティジャパンによって、提供されているサービスで、「PUDOステーション」といいます。ポイントは、ヤマト運輸に限らず、提携する宅配事業者が全て共同で利用することができるというところにあって、ヤマト運輸固有の問題ではなく、再配達問題全体に応えようとしているところに価値があります。

 例えば、再配達時に、PUDOを受け取り場所に指定したら、宅配業者はPUDOロッカーに荷物を配達すれば、パスワードで受け取れるわけです。

再配達は当たり前のサービスじゃないはずだ。

 また、日本郵便では、これまで郵便局などが中心であった「はこぽす」を、ファミリーマートに設置する発表を先週にしました。「はこぽす」も、注文時に受取を希望するロッカーを指定した後、パスワードが支給されるので、そのパスワードを通して、そのロッカーで荷物を受け取ることができるわけです。

 今の動きは、受け取り場所の拠点を増やしていくことで、再配達の軽減をしていこうというわけです。配達物は配達業社が持って来て、家で受け取るのが当たり前という固定概念がありますが、それを覆して、徐々に、こういう拠点で受け取ることのほうが当たり前の世の中になっていってもいいと思います。いかに配達してもらえる、その特別感をお客様に持っていただくだけでも、この再配達の問題は違った局面に向かうように思います。それであれば、例えばですが、再配達の場合は、別途お金がかかるといったことを促してもいいように思います。

 ただ、まだまだその拠点は多くないのは、まだ、そういう送り届けて当たり前の概念に囚われているからのようにも思います。地方公共団体しかり、コンビニなど、多くの人の生活拠点に関わるところは、もっと協力的であるべきでしょう。

 特に、地方公共団体においては、ネットショップ開業支援などには興味を示していますが、配達業社に対しては何ができるかなど、ちゃんと考えているでしょうか。自分たちだからこそ協力できる受け皿として役割を、お客様目線で考える。全体が円滑に進むための整備をせずして、積極的に、ネットショップの開業などで発破をかけるのは、ちょっと無責任だし、少し全体が見えていないのではないかな、と思います。それはモールだって同じのような気がしています。

店舗の意識も大事か。

そして、もう一つ。このヤマトの問題を見ると、店の意識も大事なのではと思っています。一部の店舗が競合との戦いの中で、送料無料にこだわるあまり、すると、彼らに対してもっと安くならないか、という視点に頼っていなかっただろうか。とはいえ、大事なのは、その辺を考慮した上での店舗運営であって、早く届けることに意識を取られることなく、また、配送料金を下げる手段に走ることなく、自分たちの商品が送料なども加味して、適切な価格とはいくらなのかをしっかり考えてみることから始まるのではないかと思います。

話はそれるが、店舗と話していて、売り上げばかりを追いかけていて、痛い思いをして、そこを乗り切って、今があるという話が心に響きました。全てにかかるコストにとことん向き合うことの大事さがその中で物語っているように思えたので、ここで話してみたいと思います。

とある店舗いわく、自分たちの主力商品が売れるタイミングというのがあって、そのタイミングで、売れる時にもっと売ろうという心理が働いて、積極的に広告費をかけて、勝負をかけていたという。だが、それが店舗の足を引っ張っていたのかもしれない。そのことを、同じ店舗仲間から指摘を受けて初めて、気付き始めたというのだ。

全てのサービスを俯瞰的に見てみる

受注が過剰に殺到し、結果、出荷のスピードが遅くなり、そこでサービスの品質を取り返そうと、安売りをして、そこで、高い売り上げを出すわけだが、結果的には、出荷のスピードが遅くなっている段階で、競争力を失っていて、店舗のプラスになっていないのです。その上、出荷のスピードをカバーしようとすれば、余分に人件費などでかさむこともあって、結果的に店にとっては、マイナスとなってしまうというわけです。

利益が落ちて、本来力を発揮すべきところで、力を発揮できなくなって、自滅するくらいなら、広告を思い切って、押さえてみたというわけだが、結果、出荷のペースがスムーズになって、価格競争に巻き込まれない、自分たちのカラーが生まれて、経営が安定したといいます。送料は決しておまけではないし、また、自分たちの利益に大きく関わる要因であり、ここに対しての意識を高めて、結果的にサービスを見渡して、俯瞰的にみて、向上をさせることがいかに大事か、ということじゃないかと思う。

 ここでは広告の話から、利益って何?という話になって、一個一個のサービスの重要さと、それを踏まえた全体感を捉えることの大事さを話している。ただ、そこでもわかるように、ちゃんとしたスキーム、売って売れて儲かるスキームの上で、販売することがまず大事でなんですよね。きっと。売り上げを追うために、そこには自分の身を削ることでも、宅配業者の身を削る事でもない。そもそもの売り方の構造を見直してみることにあるのではないかと思います。ヤマトの動きに期待する以前に、自分の宅配の価値を見直してみる。

この辺の意識を持つことが、ECサイトにとっても、モールにとっても、宅配業者にとっても大事なことなのではないかなと思うのだ。

 というわけで今日はこの辺で。
笑顔あふれる素敵な一週間でありますように。
また来週、お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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