マネーフォワードが本日、東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場

石郷“145”マナブ

 株式会社マネーフォワード(本社:東京都港区、代表取締役社長CEO:辻庸介)は、2017年9月29日、東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場した。同社は、今後も『お金を前へ。人生をもっと前へ。』というミッションのもと、個人や企業のお金の課題解決を目指し、「マネーフォワード」及び「MFクラウドシリーズ」等のサービス拡大並びに企業価値の向上に努めていくとした。

 実は、ECとも関わりがあって、ヤマト運輸株式会社(以下、ヤマト運輸)の記事を見ていたら、株式会社マネーフォワード(以下、マネーフォワード)という社名が挙がっていて、業務連携まで果たしていた。マネーフォワードはECサイトの運営者にはまだ、おそらく馴染みのない会社であるが、ヤマト運輸は自らの事業の価値向上のため、その会社に着目したのだ。この会社は、今後、特に中小企業で必要となるであろうツールを提供している。



 マネーフォワードが提供するツールとは「MFクラウドサービス」と言う。この着想の原点はマネーフォワード社というBtoC向けアプリ、その名も「マネーフォワード」にあって、要は、銀行口座と同期して、アプリ上で常に通帳の金額が更新される仕組みだ。貯金をおろせば、アプリ上の口座の金額も自動的に連携して減るのだから、セキュリティの部分も考えれば、画期的なアプリだとして脚光を浴びた。アプリ上の金額を活用し、アプリで自分のお金の管理をしていく家計簿として使えるようにしたものだ。

「MFクラウドサービス」はマネーフォワードの知見をBtoBに生かしたもの

 「MFクラウドサービス」は、それをBtoB向けにアレンジしたもので、アプリ「マネーフォワード」と同様に、3600以上の口座から取引データを自動で取得することができ、それも家計簿と同じ要領で、会計・確定申告、経費、消込、請求書、マイナンバー、給与の処理ができるようになっている。



 項目や機能にあたっては、実際に、会計事務所と組んで、より良い形に更新をしていくことで、利便性はこの何年かで格段にアップした。経理の際、面倒な仕分けルールすらも、人工知能を取り入れ、学習させ、使うほどに使い勝手がよくなる仕組みだ。



 つまり、ヤマト運輸はこの「MFクラウドサービス」にある「MFクラウド請求書」の機能を、ヤマトビジネスパートナーズという会員向けに「請求業務クラウドサポート」として、提供を始めたというわけだ。ヤマトには、自社グループにヤマトシステム開発がありながら、この企業と連携していることからも、マネーフォワードの機能に対しての高い評価と、信用を置いているということがうかがえる。

ヤマト運輸も業務提携に乗り出した、その背景は?

 ヤマト運輸によれば「請求書の関連業務は紙への手書きや表計算ソフトへの手入力が多く、ITの力を生かし切れておらず、多くが請求書を表計算ソフトで作成している」としており、一方で、マネーフォワードは「MFクラウド請求書を活用した企業では1枚の請求書作成にかかる時間が6割に軽減されるというデータもあり、実際の業務効率化を実現している」とある。ヤマトビジネスメンバーズは75万を超える法人や個人事業主がいて、このメンバーであることのメリットをこのサービスによって享受できるというわけだ。



 ヤマト運輸の会員サービスの中でこれらを実感してもいいし、完璧にいろいろ使いこなしたいということであれば、マネーフォワードと直接、その装備をフル活用するのもいいだろう。いずれにせよ、EC業界は中小零細企業や個人事業主が少人数で店舗を運営していることが多く見られる。MFクラウドサービスのようなものは、売上に直結するものではないが、本当に、手間がかかる確定申告などで、その作業効率が軽減されることは、必ずや歓迎される向きは強いと考えている。


 その意味で、彼らが今後、上場することで、ECとの関わりを持ってくる可能性も含めて、この会社の動向を見ていきたいと思う。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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