EC業界News1週間まとめ〜メルカリが受け入れられる理由/ハヤカワ五味さんと話して気づく買い物で大切な事

石郷“145”マナブ

こんにちは
編集長の石郷です。
今週読まれたのはこちらの記事です。

■ペット用品のDeLoreans。リピーターを育むサイト運営とは
https://ecnomikata.com/ecnews/18268/
■【第5弾】ミレニアル世代のSNS利用方法から、プロモーションを考える
https://ecnomikata.com/column/18558/
■【第5回】拝啓 山寺宏一様。30年かけて届けた手紙。
https://ecnomikata.com/column/18570/
■ECだからこそ商品撮影にこだわるべきとプロカメラマン達は語る
https://ecnomikata.com/original_news/17269/
■「アジア10都市オンラインショッピング利用調査」
https://ecnomikata.com/ecnews/18542/

メルカリセミナーで気づく「一億総セラー&バイヤー時代」

先日、メルカリのセミナーにお伺いして、色々な方が登壇されていたのですが、セミナーで直感したのは、これからは「一億総セラー&バイヤー時代」だなと。

売り場がどんどんフラットになっていくんだろうなと。
消費者にとってはネットショップで買おうがフリマアプリで買おうがあまり関係がない。
それはここで出ているデータでもそうなんですが、特に若い世代においては、新品と古着とがほぼ同じ立ち位置に来ている。

SNSによって自分を演出できるようになって、自分を表現できる場がある中で、ある意味、新品かどうかは関心から薄れていて、どうやって日々の自分をコーディネイトしていくかが大事な時代になって来ているように思います。自分の価値観を大事にしていく中で、より多くの選択肢から選ぼうとするのは自然な流れであって、垣根が取り外されていくのだろうと。

では、ネットショップにとって、フリマアプリ憎し!となるかというと、僕はそうは思わないんです。なぜなら、例えば、特にファッションブランドなどはシーズンごとに新作が出ていくわけですが、フリマを通して、実は過去の商品にクローズアップされることだってあります。そして、過去そのブランドがやって来たことを通して、そのブランドの良さを知るということもあります。

メルカリ発展で買い物の多様化へ。新品も古着も同じ土俵

 つまり、フリマアプリが出て来たことで、横一列ブランド間での比較であったものが、今度はブランドの歴史までを吟味できる縦軸が出て来たと言えるでしょうか。これこそが多様性に満ちたショッピングであり、冒頭話した自分を個性的に表現する土壌と親和性が高く、それが今受け入れられているというところに本質があるような気がします。

 その中で、ちょっと個人的な話をすると、今回のセミナーに行きたいと思った主たる目的は、一度、ここの登壇者である「ハヤカワ五味」という人の考え方を聞いてみたかったということにありました。登壇後も話をさせてもらったのですが、非常に魅力的な考え方をお持ちで、ついつい盛り上がってしまいました。
 
ハヤカワ五味さんとは、feastというランジェリーブランドを自ら提供しており、デザイナーとしての側面を持ちながら、株式会社ウツワという会社の代表取締役でもあります。ランジェリーブランドも秀逸で、胸がない人に向けたもので、着眼点が独特です。

ハヤカワ五味さんの感性に触れ、今を知る

 彼女は、自らブランドをやっていく中で、一番は芯を持ってそこはブラさないことを強調していて、そこの部分は自ら手がけるものなどは自分が似合うものしかやらないという徹底ぶりです。

 先ほど、一億総セラー&バイヤーと言いましたが、登壇後に、そこで買ってもらうために必要なのは何かという文脈で、「想定を超える行動をしてしまうというような顧客体験」と言っていました。ハヤカワ五味さんは「眼鏡が似合わないんですけど、実際に接客を受けると眼鏡が似合うと言われて、勧めてもらううちに買ってしまっていた」というようなことがあったそうで、彼女に言わせれば、「それって想定を超える行動をしてしまう顧客体験だ」というんです。

 これは、ECでもそういうのはあると思っている。「ECって基本、検索だと思うんですが検索を超えるような体験などがどう演出できるかな」ということを最近よく考えていると話していました。

 深いなと思ったんです。そこで、それを本質的に考える上で、彼女が他の人との差別化要因をどう作って支持を集めてきたのかが気になりました。色々話をきくうちに、とあるキーワードが出てきたんです。それは「読解力」という言葉です。

 これ、ちなみに、セミナーへ行った人でも僕との話の中で出て来たキーワードなので、仮に、セミナーへ行かれた人も読んでいただければと思うのですが、この読解力というのは、彼女の話すことを聞いているところでは、お客様をどれだけ理解できているかの指標で語られています。

ハヤカワ五味さんの「読解力」に商売の本質がある

 例えば、彼女は自らのブランドで英語で表現していたのを、カタカナに置き換えたとセミナーで話していたのですが、まさにこれも今話した「読解力」に通じるところで、自分にとっては知っている英語でも自分のブランドをいいと思ってくれている人の中にはそうではいない人がいるのであれば、そこに合わせていく必要があります。

 だからこそ、例えば、よくECでは生地の良さを伝えることがあったとしても、それを洗濯したらどうなるのかということまで大きく語られていることはなかったりするわけです。つまりは、ブランドによってはそれは強調するべきところだったりするということなのです。

 つまり、それは発信する側が買ってくれる人を理解しているということがすごく大事で、そこが自分のブランドの確たる部分を主張するのと同じくらいに大事なことなんだということで、すごく僕の心には響きました。

 つまり、ネット通販もフリマアプリも同じ土俵にあって、それぞれのユーザーが自分の読解力でその商品を理解し、買うわけです。だからこそ、最初話した通り、新品の商品を各ブランドで並べるだけの軸ではなく、ブランドが出してきている時の軸もなくなって、もっと言えば、ブランドという軸すらもなくなって、自分たちの個性の表現をする上で、理解できる読解力で描いてくれているセラー&バイヤーのもとでごく当たり前に買っていく時代なんです。

 例えば、10年前に勢いのあったブランドが今は勢いを失っていたとしたら、もしかしたら、無理に10年前の「読解力」をお客様に求めていないだろうか、とハヤカワ五味さんに聞いてみたら、正に「そうだと思います」と話をしていました。

  ある意味、これはネットやスマホがもたらした革命だなと思いました。買い物という概念が多様化している中で、ネットショップが今一度、大事なのはやはり買ってくれる方の理解なんだと思いました。

 というわけで今日はこの辺で。
笑顔溢れる1週間でありますように。
23日に福岡で開催の『ECNexus』で僕の登壇を聞かれる方は、そこで。
東京にいる方は、また来週、お会いしましょう!


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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