楽天が位置情報技術の先進企業である米カープサイド社を買収。オムニ化推進への一手か?

ECのミカタ編集部

楽天株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史、以下「楽天」)は、Rakuten USA, Inc.(本社:カリフォルニア州サンマテオ、プレジデント:飯田 恭久、以下「Rakuten USA」)を通じて、位置情報技術を活用したモバイルコマースプラットフォーム・ソリューションを提供するカーブサイド社(本社:カリフォルニア州パルアルト、共同創業者兼CEO:ジャロン・ウォルドマン、以下「カーブサイド」)を買収したことを公表した。

数百万人が活用するカーブサイド社の技術

カーブサイド社は2013年に創業された米国企業で、主に位置情報技術を活用したモバイルコマースプラットフォーム・ソリューションを提供している企業だ。同社のサービスは、「Fortune 100」(グローバル企業の総収入ランキングトップ100)に掲載されている小売業者や大型チェーン飲食店に導入されている。

導入企業は、ユーザーの位置情報から到着時刻を予測して、到着時間に合わせて商品を準備・提供することが可能になるため、店舗運営を効率化することができる。またユーザーは、店舗において必要な商品を探す手間や支払いに時間をかけることなく、スムーズな買い物が可能となる。

カーブサイドの技術はすでに多くの米国内実店舗で導入されており、何百万人もの消費者が同サービスを利用しているとのことだ。

より利便性の高い買い物体験のために

楽天株式会社の執行役員であり、Rakuten USAのプレジデントである飯田恭氏は、次のように述べている。

「カーブサイド社による最新の位置情報技術により、従来型の実店舗や飲食店において、来店前にオーダーし、店舗で待ち時間無く商品を受け取るという新しい購買行動を生み出しています。カーブサイド社を楽天グループに迎え入れることにより、お客様の満足度をさらに高めていけると確信しています。今後、これまで以上に米国のお客様の買物体験をより楽しく、便利なものにしていけることを楽しみにしています」

また、カーブサイド社の共同創業者兼CEOであるジャロン・ウォルドマン氏は、次のように述べている。

「カーブサイド社は『モバイルデバイスでの買物をより便利で気軽にし、既存の買物体験を変革させたい』というビジョンのもと創業しました。楽天グループに参加することでさらなる技術革新が可能になり、お客様にはより便利な買物体験をしてもらうことができるようになります。今後ビジネスを成長させるために、楽天以上に素晴らしいパートナーはいないと考えています」

オムニ化推進への一手?

オムニ化推進への一手?

現在、スマートフォンアプリを用いた、事前注文システムは注目を集めている。特に出来上がりに時間のかかるテイクアウトメニューやレストランなどでは、有効性が高い。

今回の買収劇で楽天は、この分野でのサービス拡充で大きな技術的アドバンテージ獲得へ扉を開いたとも言える。現在提供されている楽天ポイント関連アプリのように、ポイントが使える店舗を位置情報から地図上に表示するような仕組みが、より進化する可能性を感じさせる。

これは予想の域を出ないが、仮にオムニチャンネル化推進の文脈からも、楽天市場に出店している事業者が安価に利用できる位置情報と連携したサービスといったようなものが提供されれば、ネットショッピングモールとしての価値もさらに高まるだろう。いずれにしろ、ますます競争が激しくなるECプラットフォームの世界で、日本発の楽天が、次の展開を見越した施策を繰り出している、それをはっきりと感じさせるニュースと言えそうだ。

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