18日間で約2.7兆円。ECサイトを加速させた中国のAI技術

ECのミカタ編集部

中国のECサイト「京東商城(ジンドンしょうじょう)(JD.com)」を運営する京東集団(ジンドンしゅうだん)(代表:劉強東、本社:中華人民共和国)は、2018年6月1日から6月18日まで行われた「618セール」において、累計注文額1,592億元、日本円にして約2.7兆円を達成した。

結果を押し上げたのは、セール期間中の90%の直販オーダーを、当日ないし翌日に配達できたという実績。その背景には、ECサイトを加速させる中国がもつAI技術の存在があった。

京東誕生祭「618セール」

京東集団は、1998年に設立、創立20周年を迎える今、中国で最大と言われる小売業者である。

光磁気ディスクの卸売販売からはじまり、デジタル製品を中心に市場を拡大し、現在ではさまざまな商品を扱う総合ECプラットフォームとして重宝され、約70か国を対象に約2万ブランド、1万品目を販売するグローバルな企業である。

618セールとは2003年6月18日からスタートした、京東が誕生したことを祝う「誕生祭」。今や中国全土を巻き込むビッグセールイベントとして注目を浴びている。

自動化設備の活躍

6月1日~6月18日のわずか18日間で、日本円にして約2.7兆円の累計注文額という驚異的な数字を記録。デジタル製品を主力にしていることを差し置いても、おいそれと達成できる金額ではないことは明白だ。その背景には、京東の自社物流「JD物流」が誇る自動化設備の活躍があった。

JD物流では無人宅配技術を導入しており、遠くの顧客にも速く確実に届けることを実現している。無人配達車は最大で30個の荷物を最速15㎞/hで宅配可能となっている。その効果は、冷凍食品や生鮮食品の売り上げが昨年比で3倍以上アップしている点に如実に表れている。

顧客も納得

京東が導入しているAIサポートサービスは、24時間顧客の問い合わせに対応しており、セール期間中の問い合わせの87%を、AIが独自に解決するという快挙を成し遂げている。

それほどの成果をつくった要因は、京東のAIプラットフォーム「NeuHub」がもつ感情分析システムだ。消費者の感情をくみ取り、AIとは思えないほど親切で心の行き届いたサービスの提供を可能としている。このAIサポートシステムの導入により、顧客の満足度は57%アップしたという。

「独身の日」に次ぐビッグイベント

中国で11月11日「独身の日」といえば、中国最大のセールイベントの日として認知されている。2009年に中国のECサイトアリババが仕掛けたセールで、2017年は1日に約2兆円を売り上げるほどの一大イベントで、世界中の投資家が注目しているビッグセールだ。

京東の618セールは、今回の驚異的な達成により、この「独身の日」に次ぐビッグセールとして認知された。この結果をつくる要因となった京東のAI技術は、間違いなく2018年の「独身の日」をさらに盛り上げることが予測される。そこで京東のAI技術が認知されれば、来年の618セールも今年以上の売り上げを記録することが予測される。

無人配達の技術に、AIが行う心の行き届いたサポート。日本も見習う側面があるのではないだろうか。今後もAI技術がEC業界を押し上げていくことは、想像にかたくない。

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