アリババ創業者のマー氏が会長職を退任へ、後任は現CEOのダニエル・チャン氏

ECプラットフォームを運営するアリババグループは9月10日、CEOのダニエル・チャン氏が2019年9月10日付けで、アリババグループ会長 ジャック・マー氏の後任になることを発表した。マー氏は今後12ヶ月間、会長職をチャン氏にスムーズに移行させるため、同社の会長を務める。

アリババグループ取締役会メンバーとしての任期終了へ

中国発巨大ECプラットフォームを展開するアリババの創業者の一人であり、同グループの顔として表舞台に立ってきたマー氏が正式にその舞台から降りることを表明した。マー氏は、2020年の株主総会にて、アリババグループ取締役会メンバーとしての任期を終了する予定だという。

同氏は、アリババパートナーシップの生涯パートナーであり、その委員会メンバーでもある。アリババパートナーシップは現在、アリババグループまたは関連会社の経営幹部のメンバーである36名のパートナーから構成されており、アリババグループの定款に従い、取締役会の過半数を指名する権利を有している。

マー氏はアリババを世界屈指の企業グループへ押し上げた

マー氏はアリババを世界屈指の企業グループへ押し上げた

マー氏は、1999年に17人のメンバーとともにアリババを創業した。現在同社の運営するサイトは、ありとあらゆるアイテムを扱うECプラットフォームとしてEC先進国の中国市場のみならず、世界中のユーザーの視線を集め続けている。

アリババの中国国内のマーケットプレイスだけでも、5億人を超えるユーザーを抱え、時価総額は46兆6000億円をくだらないとも言われている。まさにEC市場そのものを象徴する存在のひとつであり世界屈指の企業グループともいえるアリババだが、ついに創業者であり長年その顔として活躍してきたマー氏が後任に道を譲ることになったようだ。

盤石な経営基盤の継続に向けた先手か

マー氏は、今回の退任と後継者への移行に際し、コメントを発している。その中で今回のキーマンの交代について、約10年前から準備を行ってきたことを明らかにしている。また創業当初から、アリババを100年以上続く事業体にする目標を掲げてきたことを述べ、そのために持続可能な、健全なガバナンス、文化中心の哲学、および才能の開発における一貫性の上に構築される必要があることに言及している。

一方で、当然にして人間の物理的限界として同氏がその年月の間、会長に留まることはできないという現実の上に立ち、今回の会長の交代に踏み切ったその想いについても語られている。会長の交代は、勢いを増すアリババを前に、同氏が盤石な経験基盤の継続に向けて先手を打ったともいえるだろう。

同氏は、会長を退いた後はパートナーシップを通した役割に従事し、グループの教育を含めた支援を継続して行うものとみられ、今後のアリババにおいても一定の影響力を発揮することになりそうだ。今後、具体的にどのようにマー氏が同グループに関わっていくのかとともに、世界屈指の企業グループに成長しているアリババのこれからにもぜひ注目したい。

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