アリババが新たなデジタルソリューション戦略『A100』を発表

ECのミカタ編集部

アリババグループは2019年1月11日、中国杭州にて、企業のデジタル変革を加速させるための総合的なワンストップソリューションを提供する戦略的パートナーシッププログラム「A100」を発表した。

「A100」のメンバーは、デジタル時代において、効率的、効果的、持続可能な最良の価値を共創するために、複数の機能やプラットフォームで、アリババの企業と長期的な協力関係を築くとしている。

多くの企業にデジタルソリューションを提供

「A100」戦略は、中国杭州で開催された「阿里巴巴ONE商業大会(Alibaba ONE Business Conference)」で発表された。「A100」という名称は、多くの企業にデジタルソリューションを提供するというアリババの目標を示しているという。

A100プログラムは、カンファレンスで展示された「アリババ・オペレーティング・システム」上に構築されている。アリババ・オペレーティング・システムの創設は、まさにEコマースプロバイダーからグローバルテクノロジー企業への進歩の一つだ。

アリババがEコマース単体からデジタルエンターテインメントおよびローカルサービスに事業を拡大するにつれて、販売、物流、サプライチェーンの最適化、決済、マーケティング、クラウドを基盤とする幅広いサポートサービスといった、クラウドベースの技術を基盤とする全てをアリババのインフラストラクチャがカバーするようになった。

これらのクラウドコンピューティング技術により、インフラストラクチャは大量のデータフローを処理し、顧客のニーズに対応しビジネスの成長に役立つインサイトや分析結果を提供することが可能となった。

パートナー企業へのA100プログラム導入を拡大していく

パートナー企業へのA100プログラム導入を拡大していく

ニューリテールは、企業がアリババ・オペレーティング・システムを活用するための重要なインターフェースだ。「Alibaba ONE Business Conference」では、ニューリテールの成功も強調されている。

店舗ベースの業務をデジタル化することでオンラインとオフラインの小売を統合するという、アリババによって開発されたモデルとなっている。過去2年間で力強い成長を遂げ、1,200以上のブランドが20万以上のオフライン店舗をデジタル化して「スマートストア」へと進化させた。

アリババは現在、A100プログラムを通じて、あらゆる規模の企業にアリババ・オペレーティング・システムの提供を進めていく方針だ。企業は包括的なメニューからサービスを選択し、業務オペレーションを強化させることが可能だ。

アリババはA100プログラムの導入を推進するため、アカウント提供チームに統合された横断型プラットフォームを設立し、すでにアリババのエコシステムに参加しているパ-トナーからA100プログラムを導入していくとしている。さらにA100プログラムは、デジタルオペレーションを最適化しようとしている他のブランドへ徐々に拡大させていく計画だ。

スタバとネスレでの成功

スタバとネスレでの成功スターバックスとアリババのオンデマンド配信サービス(同社資料より)。

ネスレは、アリババの横断型プラットフォームパートナーシップの初期の成功例の一つだ。天猫(Tmall、以下「天猫」)の旗艦店である天猫超市(Tmall Supermarket、以下「天猫超市」)および農村淘宝(Rural Taobao:農村タオバオ)を通じて、中核となるBtoCビジネスを強化しながら、近年、零售通(Lingshoutong、以下「LST」)、盒馬鮮生(FRESHIPPO supermarket。以前の名称はHema supermarket。以下「盒馬鮮生」)、大潤発(RT-Mart)などの新しいアリババのチャネルにも拡大している。

さらに、アリババのエコシステムで利用可能な様々なプラットフォームから生成された、市場、カテゴリーインサイト、消費者理解に基づく多数のプロジェクトにおいて、強力なデジタル化を重視したアリババとのコラボレーションを確立した。

2018年には、アリババグループの物流部門である菜鳥(Cainiao:ツァイニャオ、
以下「菜鳥」)と戦略的パートナーシップを締結して、アリババ関連事業を担当する4つの販売業者を1つに統合し、オンライン注文を処理する「1セット」在庫システムを導入している。その結果、菜鳥の情報を最大限に活用して、地域ごとの消費者の好みに応じて製品の分類や在庫管理を行い、地域間の小荷物の割合縮小や配達のスピードアップを実現したのだ。

スターバックスは2018年8月、アリババと戦略的なニューリテール・パートナーシップを締結して、シームレスなスターバックス体験を実現し、中国のコーヒー業界を変革している。中国を代表するオンデマンド食品配達プラットフォームの餓了麼(Ele.me:ウーラマ、以下「ウーラマ」)や、盒馬鮮生、天猫、淘宝(Taobao:タオバオ)、支付宝(Alipay:アリペイ)など、アリババのエコシステムの主要事業と協力。スターバックスの配達プログラムは現在、ウーラマと提携している、中国30都市の2,000店舗で利用可能だ。

また、盒馬鮮生と協力して、配達注文処理のために特別にデザインされた「Star Kitchens」を創設し、配達機能をさらに向上させている。2018年12月には、アリババグループの技術を駆使して中国に初のバーチャル店舗を立ち上げ、スターバックスアプリおよびアリババエコシステム内のモバイルアプリを通じて、一元化されたワンストップなデジタル体験を提供している。

「A100戦略」がもたらすイノベーション

今回の発表に際して、アリババグループ CEO ダニエル・チャン氏は次のようなコメントを出している。

「6億人を超える月間アクティブユーザーと、デジタル小売やモバイル決済、デジタルマーケティング、ITインフラストラクチャなどの企業サービスを専門とする約30のビジネスユニットを擁するアリババは、中国の中間層消費の成長に投資する中国および世界中の企業の主要パートナーです。

アリババ・オペレーティング・システムを活用するA100戦略は、デジタル時代において、企業が包括的な企業サービスにアクセスするためのワンストップ店舗となることを目指します。

多くのパートナーは、アリババとの深いパートナーシップを通じて、業務効率を向上しビジネスを成長させてきました。アリババのエコシステムによって生み出される相乗効果は、販売と流通に新たな道を切り拓き、中国全土のライフスタイル向上の機会を活かす製品イノベーションを引き起こします」

すでにEC先進国の中国市場、そして世界市場において絶大な存在感を発揮しているアリババ。その存在感の原動力は、オフラインとオンライン双方に張り巡らされた巨大なエコシステムであることは自明だ。

世界でもトップクラスのエコシステムに参加する企業に導入される新たなデジタルソリューションは、そのエコシステムをさらに強化しつつ同社の価値を一層高めることになりそうだ。

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