売上(全体)が昨年比41%増、アリババが2018年10-12月期の決算内容を公表

ECのミカタ編集部

アリババグループは2018年10-12月期の決算内容を公表した。グループ全体の売上が昨年比41%増の1,172.78億人民元となったほか、各事業分野でも好調な結果となっている。以下、その概要についてポイントを絞って見ていく。

月間アクティブユーザー数6.99億人(35%増)

公表された内容によると、アリババグループ全体の売上は、昨年比41%増の1,172.78億人民元となった。また中国小売事業における売上は、昨対比35%増の810.55億人民元だった。天猫における成立した取引のGMVは、業界水準を上回る昨対比29%増を記録している。

さらに2018年12月末までの中国小売プラットフォームにおける月間アクティブユーザー数は6.99億人となり、2018年9月時点より3,300万人増を実現した。加えて年間アクティブコンシューマーは3,500万人増加し、6.36億人となっている。

同社公表資料より。

ショッピングイベントも好調

ショッピングイベントも好調

Tモールは、B2C市場でのリーダーシップと消費財のシェアを拡大し続けた。未払いの注文を除くと、2018年12月31日に終了した四半期のTmall現物商品GMVは、前年同期比29%増と業界標準を上回り、長期にわたる長期消費動向を反映しているとしており、この堅調な成長は、動きの速い消費財(FMCG)、衣料品、および家庭用家具の各分野における力強さによるものだとしている。

また同プラットフォームのショッピングイベントである11.11グローバルショッピングフェスティバルも好調で、GMVで2,135億人民元がAlipayを通じて決済され、前年比で27%増加した。11.11の中国の消費者の40%以上が国際ブランドからの購入を行い、230の国と地域からの消費者がイベント中に越境ECで購入した。

また11.11に関連しては、イベントに際してCainiaoが、これまでにない10億以上の発注を処理し、複雑かつ大規模な物流エコシステムを運用する能力を実証したとしている。日本、アメリカ、韓国、オーストラリア、ドイツからの高品質の輸入品に対する中国の消費者需要の伸びが続いていており、イベント期間中の消費者への円滑でタイムリーな配達を確実にするために、Cainiaoとそのパートナーは中国の主要港で34の保税倉庫を運営しているそうだ。

オンラインとオフラインの融合でも成果

オンラインとオフラインの融合でも成果

同社の標榜するニュールテール戦略の面では、店舗ベースの小売事業のあらゆる面をデジタル化することによって、引き続き伝統的な小売業界を変革していくとしている。その中では、伝統的な消費者体験を基盤にしつつ、消費者インサイト技術、オンデマンド配信、在庫管理、サプライチェーン管理、モバイル決済ソリューションを通じて業務効率化を実現する計画だ。

同四半期末現在、約470のSun Artの店舗を同社の新小売ノウハウと技術でデジタル化しており、これらの店舗では小売システムの管理を改善する一方で、消費者はTaobao Appを通じて注文して安全に配達することができる。

また同社独自の食料品小売チェーンFreshippo(以前のHema)は、引き続きその設置面積を拡大し、店舗を最適化し、顧客体験を向上させる新たな取り組みを導入している。2018年12月31日現在、中国には109の店舗があり、同四半期中、Freshippoは引き続き堅調な既存店における売り上げで高い成長を達成したとしている。

クラウドとコンテンツ分野でも成長

クラウドとコンテンツ分野でも成長

クラウドコンピューティングの収益は、主に企業顧客からの支出の増加により、前年同期比84%増の6,611百万人民元(962百万米ドル)となった。2018年12月四半期、Alibaba Cloudは、コアクラウド製品、データインテリジェンス、AIアプリケーション、セキュリティ、およびエンタープライズソリューションに関連するものを含む、678の新製品と機能を発表している。

またデジタルメディアとエンターテイメントの面では、同社のコマース事業とエンターテインメント事業の間の相乗効果が発揮され、Youkuオンラインビデオプラットフォームの有料サービスのユーザーを増やすために、優れたユーザー体験を提供し続けているとしている。それらの結果、同四半期中、Youkuの1日の平均加入者数は前年同期比で64%増加した。

「素晴らしい四半期を迎えることが出来た」

今回の公表に際して、アリババグループCEO ダニエル・チャン氏は次のようなコメントを出している。

「アリババは、また素晴らしい四半期を迎えることが出来ました。我々は小売業界、デジタルエンタテイメント及びローカルサービスなどの領域で7億近くの消費者にサービスを提供することに専念してきました。

その努力は運営及び財務状況におけるパフォーマンスにも反映されています。アリババグループのクラウドコンピューティングとデータテクノロジーも成長を牽引しており、これらの技術は数百万の企業のデジタルトランスフォーメーションをサポートしています」

中国の国内経済自体は、成長の鈍化が伝えられているが、中国発の巨大ECプラットフォームでありエコシステムであるアリババは、そうした状況をもろともしないかのごとく、今回も大幅な成長を遂げたことになる。今後、日本をのぞく主要国で金利の上昇や金融緩和後の出口戦略が進行し、さらに米中の貿易摩擦が顕在化する中で、同社の成長と快進撃が続くのかにも視線が集まるところだろう。


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