スマートスピーカーから流れる広告は好印象?Adobeが音声アシスタントと広告の関係について調査を実施

ECのミカタ編集部

アドビの最新の調査によると、音声アシスタントの技術の普及により音声ベースの広告が新しい活用方法を生み出していることがわかった

個人向け音声広告は押し付けがましくない?

個人向け音声広告は押し付けがましくない?同社資料より(以下、同様)。

18歳以上の米国の消費者1,000人を対象に調査した「ボイスレポート(2019 Voice Report)」によると、25%の人はスマートスピーカーで音声広告を聞いたことがあると答え、その多くの人が「問題ない」と回答した。

実際に消費者の38%が音声広告はテレビ・刷物・オンライン・SNSの広告より押し付けがましくないと答えた。さらに39%の人は音声広告について他のチャネルの広告より興味を引くと回答している。

この調査を実施したAdobe Digital Insights(ADI)のアナリティクスおよびインサイト担当マネージャーであるヴィヴェック パンドゥヤ(Vivek Pandya)氏は次のように述べている。

「この結果を考察するにあたって、注目すべきことが2つあります。まず消費者は、無料コンテンツと引き換えに広告を消費するという概念に慣れてきたこと。次に、スマートスピーカー経由で聞くものはパーソナルでカスタマイズされたものであるため、パーソナライゼーションの度合いが高く、押し付けがましさが少なく、いっそう興味を引く広告にできるということです」

高まるスマートスピーカーの保有率

高まるスマートスピーカーの保有率

さらに全体的に米国ではスマートスピーカーの所有者が増加していることが明らかになった。消費者の36%はスマートスピーカーを所有しており、2018年1月の28%と比較すると上昇している。そして所有者の75%は、少なくとも1日一回スマートスピーカーを使用している(2018年8月の結果から6%上昇)。

パンドゥヤ氏はこの点について次のように述べている。

「毎日の利用が非常に多いことは、現在スマートスピーカーに勢いがあることを示しています。これは、広告主が音声技術を介した広告機会に興味を持っている理由の裏付けとなります。消費者の利用が増え続ける中で、このトレンドの重要性は増すばかりです」

特にミレニアル世代の男性は、他の世代や女性に比べてスマートスピーカーを所有する傾向が強いことがわかった。年齢層別にみると、35歳~54歳が最もスマートスピーカーを所有している。

ECでの利用はまだ発展途上

ECでの利用はまだ発展途上

音声デバイスの利用を牽引しているのはなんだろうか。調査対象者の54%が、単に使い勝手が良いと答えている。操作に支障がないと答えたのは41%で、使い物にならないと答えたのはわずか5%だった。

パンドゥヤ氏は、この点について次のように述べている。

「自然言語処理は、とりわけ過去数年間に飛躍的な進化を遂げました。それが、音声技術の利用にこれほど勢いがある理由です。消費者は、プラットフォームにかかわらずスムーズな体験を求めています」

音声技術を利用する理由として、スマートスピーカー所有者の74%が音楽再生と回答しており、依然として使用理由のトップだった。その一方、食品配達やショッピングなど、より複雑な用途ではそれほど急速に使われてはいない。

この点についてパンドゥヤは次のように述べている。

「音声技術はまだ初期段階ですが、消費者はすでに利用のトレンドを形成しつつあります。アラーム設定、音楽再生、基本的な検索などにおいて音声起動タスクは増加しています。しかし、金銭管理や旅行予約などのタスクにおける音声利用は、大幅に少ないのが現状です」

消費者の半数近く(47%)が、音声アシスタントの利用で最も多いのはスマートフォンだと回答し、スマートスピーカー(31%)は2位だった。次いで、車(8%)、タブレット(7%)、ノートパソコン(5%)、ウェアラブルデバイス(3%)と続く。さらに消費者の48%は所有するスマートフォンの音声アシスタントを少なくとも1日一回利用していることがわかった。

マーケターにチャンスをもたらす

マーケターにチャンスをもたらす

どの種類のデバイスに音声機能が必要かという質問に対し最も回答を集めたのは、テレビ・自動車・室温調節器だった。

実際に、回答者の32%が、音声操作はテレビを購入する際の重要な機能であると答えている。この割合は、音楽スピーカー(42%)と車(37%)ではさらに高くなっている。調査回答者の18%は、すでに音声アシスタント対応の自動車を所有していることも分かった。そのうち44%の人は、音声アシスタントを少なくとも1日一回あるいはそれ以上利用している。

音声技術の好みについては、38%の人が、タッチスクリーンの方がスマートスピーカーの体験が強化されるだろうと答えている。

この点についてパンドゥヤ氏は次のように述べている。

「音声分野は確実に成長しており、今では、面白く新しい方法で消費者にリーチする方法を模索しているマーケターにチャンスをもたらしています。この分野はまだ競争が少なく、顧客へのリーチも他のチャネルほど混雑していないため、試すなら今が絶好のタイミングです」

音声アシスタントと広告の未来は?

調査結果にあるように、スマートスピーカーに代表されるAI技術を駆使した音声アシスタントは、大いに浸透してきているようだ。そこにおいて、パーソナライズされた個人向けの音声広告については、嫌悪感が少ないことも分かった。今後、この分野で1to1マーケティングをする上でも多くのチャンスが眠っていると言えそうだ。

一方で、音声アシスタントを使ったEC利用はまだ進んでいない。実際の画面を見て商品を買えないので、いつも買っている商品の補充やリピート買いでの需要がまず考えられるが、今後スマートスピーカーなどデバイスの進化とあわせて、どう変化していくかも注目と言えるだろう。

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