ファンケル・QVC・PLAZAのアプリ運用を大公開!「アプリの虎Vol.4」潜入レポート

利根川 舞

Repro株式会社、株式会社FROSK、株式会社ロケーションバリュー、株式会社モンスター・ラボは有名企業のアプリ活用最前線を知ることができる「アプリの虎」を開催。4回目となる今回は『有名企業のアプリ活用術!』と題し、ファンケル、PLAZA、QVCが開発背景から開発体制、運用などを実際の事例とともに語った。本記事ではイベントの一部をお伝えする。

「ECアプリはメディアではない」ファンケルのアプリ活用

株式会社ファンケル 通販営業本部 販売企画部 サイト管理G 萩山智也氏

「FANCLお買い物アプリ」を提供している株式会社ファンケル(以下、ファンケル)からは通販営業本部 販売企画部 サイト管理G 萩山智也氏が登壇。ファンケルではLTVアップを目的にした「FANCL お買い物アプリ」とオムニチャネルを目的にした「FANCL メンバーズアプリ」を提供しているが、今回は萩山氏がメインで運用している「FANCL お買い物アプリ」について語られた。

「FANCL お買い物アプリ」では、企業のアプリを使用するユーザーはロイヤリティが高いという推測の元、ターゲットを”ヘビーユーザー×30代×インリスト”と定めて展開。アプリの機能を絞り込み、商品の購入にかかる時間を当時のスマートフォンサイトの半分にすることで、ユーザーが簡単に商品を購入できるようにした。

推測は当たり、実際の利用者層にはヘビーユーザーが多く、LTVはアプリ利用前と比較すると10%以上増加したという。

印象的だったのは「ECアプリはあくまでも買う場であり、メディアではない。」という言葉だ。毎日利用してもらえるアプリを目指すという話はよく聞く話であるが、メディア化してしまうと更新の負荷が大きすぎるのだと萩山氏は言う。

そして、最後には「今後はReproとMAツールを連携し、アプリ・Webだけでのデータだけではなく、全社購買データを活用したコミュニケーションにしていきたい」と意気込みを語った。

機能追加なし!マーケの力でセッション数を増加

株式会社QVCジャパン
左:eコマース&カスタマーマーケティング マーケティングプランナー 平瀬真子氏
右:アシスタントマーケティングプランナー 奥原真理子氏

そして2社目の株式会社QVCジャパン(以下、QVC)からはeコマース&カスタマーマーケティング マーケティングプランナーの平瀬真子氏、アシスタントマーケティングプランナーの奥原真理子氏が登壇。提供している「QVCアプリ」の事例をもとにマーケターがアプリをどのように”育てていく”のかが語られた。

講演資料より一部抜粋

24時間テレビショッピングを放送しているQVCでは電話注文がメインだが、電話注文よりも手軽に買いたいというニーズに応えるため、2011年にアプリをリリース。米国に本社を置き、イギリス、ドイツ、イタリア、中国でも番組を放送している同社では、各国の足並みを揃えるため、その後はなかなか大規模な開発ができなかったと奥原氏は語る。

しかし、2016年頃にECシフトが加速し、アプリの売上増加およびユーザー数の増加がミッションとなり、3つの課題が浮き彫りになった。まずはプッシュ通知でのユーザー活発化。2つ目にアプリストアに届くレビューに向けた改善。そして3つ目にQVCアプリの認知度の向上だ。

同社ではこれらの課題をマーケの力で解決し、セッション数を上げていった。まずは安定的なアプリを提供するべく、FROSK株式会社が提供するスマホアプリのクラッシュ解析ツール「SmartBeat」を導入。ユーザー体験を向上させるとともに、社内コミュニケーションに変化が生まれたと平瀬氏は言う。また、ユーザーに有益な情報提供するためにRepro株式会社が提供するマーケティングプラットフォーム「Repro」を導入することで、プッシュ通知周りを強化。セッション数に改善が見られた。

また、電話で購入しているユーザーはオンエア以外の商品購入がされにくく、コミュニケーションに即時性がないということで、優先的にアプリへと誘導。アプリユーザーの方が年間購入金額が約2.1倍高いそうだ。

運用で大事なのは「情報共有」と「サポート」

株式会社スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイルカンパニー マーケティング本部 テクノロジー推進室 担当課長 佐々木透氏

続いては株式会社スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイルカンパニー マーケティング本部 テクノロジー推進室 担当課長 佐々木透氏が登壇。昨年全面リニューアルを行った「PLAZAアプリ」のリニューアル背景と運用のコツが語られた。

PLAZAは2013年にアプリをリリース。当初は会員証機能をメインにキャンペーン情報の配信やクーポン配信など、機能を絞っており、アクティブユーザー数は多くなかったのだという。

そこで、2018年の全面リニューアルの際に集客・販促施策の情報をアプリにまとめ、「ONE PLATFORM SHIFT」を実現。ユーザーがPLAZAの情報を収集したい場合はアプリを使用することになり、顧客接触時間の最大化が可能となった。

また、運用フェーズで気をつけていることとして佐々木氏は「情報共有」と「サポート」の2点を挙げる。お客様と一番距離の近いストアスタッフへアプリの目的や使い方を理解してもらわなければ、お客様へオススメしづらい。そこでPLAZAではそれらをわかりやすく丁寧に伝え、お客様に勧めてもらうことに注力したのだという。また、リリース直後の問い合わせ増加に備え、事前にマニュアルを全社へ配信するなどの準備を行ったという。

今後はオンラインストアの商品情報連携をネイティブ化しオンラインストア機能を拡充。アプリをプラットフォームとして、さらにリアル店舗との連携を強めていくそうだ。

モバイルアプリ運用に関する最新情報や事例が盛りだくさんなイベント「アプリの虎」

先日発表された経済産業省の「平成 29 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)」によれば、物販分野におけるスマートフォン経由のBtoC-ECの市場規模を推計したところ、物販のBtoC-EC市場規模8兆6,008億円の35.0%に相当する3兆 90億円という推計結果となったという。

しかし、個人がダウンロードするアプリ数にも限りがあるため、いかにダウンロードされ、アンインストールされないアプリであり続けるかを課題としている企業は多く、課題を解決するにはやはり情報収集は必須だ。すでにアプリを運用している企業の具体的な事例を元に語られる「アプリの虎」は半年に1回の頻度で定期開催されているため、次回の開催にも注目したい。


記者プロフィール

利根川 舞

ECのミカタ 副編集長

ロックが好きで週末はライブハウスやフェス会場に出現します。
一番好きなバンドはACIDMAN、一番好きなフェスは京都大作戦。

ECを活用した地方創生に注目しています!
EC業界を発展させることをミッションに、様々な情報を発信していきます。

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