ZOZOが2020年3月期通期決算を公表・増収増益もこれまでの高成長が鈍化・売上高は1,255億1,700万円(同6.0%増)

ECのミカタ編集部

株式会社ZOZOは、2020年4月28日に2020年3月期通期決算をとりまとめ、その内容を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

営業利益8.7%増・経常利益7.5%増

営業利益8.7%増・経常利益7.5%増

株式会社ZOZO(以下「ZOZO」)は、2020年4月28日に2020年3月期通期決算をとりまとめ、その内容を公表した。それによれば、商品取扱高は3,450億8,500万円(前年同期比6.6%増)、売上高は1,255億1,700万円(同6.0%増)、営業利益は278億8,800万円(同8.7%増)、経常利益は276億4,400万円(同7.5%増)、親会社に帰属する当期利益は188億400万円(同17.6%増)だった。

事業別内訳は次の通りだ。

◆ZOZOTOWN事業 商品取扱高

3,248.4億円(前期比4.1%増)
受託ショップ/3,088.8億円(同4.7%増) 
買取ショップ/2.0億円(同36.4%増)ZOZOUSED/157.5億円(同7.2%減)

◆PayPayモール 商品取扱高

61.9億円

◆PB事業 商品取扱高

12.5億円(同54.6%減)

◆MSP事業 商品取扱高

7.5億円

◆BtoB事業 商品取扱高

120.3億円(前期比33.5%増)
平均出荷単価 8,304円(前年同期比12.5%減)
平均商品単価 3,909円(同10.7%減)

PayPayモールが好調・2モール体制へ

PayPayモールが好調・2モール体制へ

概況によれば、同社ZOZOTOWNにおいては多様化するユーザーニーズに対応できるよう積極的に幅広いジャンルの新規ブランドの出店を進め、あわせて既存会員の活性化を目的に、会員毎の購買履歴等の情報をもとにパーソナライズされた値引・ポイント施策を継続して実施してきた。

また2019年12月17日より、ヤフーが運営するオンラインショッピングモール「PayPayモール」へZOZOTOWNを出店した。ZOZOTOWNに出店している約9割のショップがPayPayモールでも販売をしており、売上も好調だとしている。

MSP(マルチサイズプラットフォーム)事業については、2019年9月6日からZOZOTOWN上にて受注予約を開始した。体型計測デバイスとして、足型の3Dデータ化を行い靴選びに必要な複数部位の計測を可能とする「ZOZOMAT」の配布を実施している。

BtoB事業においては、第3四半期連結会計期間より、ZOZOTOWNの出店ブランドを対象にZOZOTOWNと自社ECの在庫一元化を図ることで機会損失の最小化を目指す、フルフィルメント支援に特化したサービス「Fulfillment byZOZO」を開始した。

高成長を再び取り戻せるか

高成長を再び取り戻せるか

翌期の見通しについては次の通りだ。昨今の新型コロナウイルス感染拡大による影響で2021年3月期の連結業績予想は未定としている。なお同影響がなければ、日本国内のファッションEC市場は、欧米諸国や中国のファッションEC化率と比較して未だ低位にあり、ブランドの自社EC事業強化の動きも相まって、今後も全体では拡大基調が持続していくと分析。

そのような環境下において「PayPayモール」へZOZOTOWNを出店し、翌連結会計年度からは、ZOZOTOWN本店、ZOZOTOWN PayPayモール店の2つのモールを柱に、売場を使い分けながら、2モール合算の商品取扱高を目指す方針だ。

一方で混乱のあったZOZOUSEDについては、ZOZOTOWNユーザーへ新品購入を促す付加価値サービスとしてユーザビリティの改善を重ねているとしている。PB事業については順次事業を終了する方針とのことだ。今後はPB事業で培ったノウハウを活かし、ZOZOTOWN出店ショップが企画する商品をユーザーの体型に応じてマルチサイズ展開するMSP事業にシフトする。さらにBtoB事業については、引き続き既存受託サイトの運営支援に取り組むと共に「Fulfillment by ZOZO」の新規受託営業を一層強化するとのことだ。

消費税増税、前澤氏の退任、その後の新型コロナウイルスによる感染拡大とファッションECの旗手とも言える同社は、次々に波乱に見舞われた。そのような波乱にもかかわらず当期においても増収増益を達成した。一方でこれまでの破竹の勢いとも言える高成長には陰りが見えており、これが一過性のものではなく、同社におけるさらなる構造的な変革を迫るものなのか、今後の動向からも目が離せそうにない。


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