Facebook公式が無料でECショップが作れる『Facebookショップ』の提供を開始
Facebook公式は「Facebookショップ」の展開をすることを公表した。Facebookショップは、カスタマイズ可能なオンラインショップを無料で作成することができ、Facebook社が提供する様々なアプリで公開できる機能となっている。
FacebookショップでスムーズにEC展開可能に
Facebookショップは、カスタマイズ可能なオンラインショップを無料で作成することができ、Facebook社が提供する様々なアプリで公開できる機能だ。自社のカタログからおすすめの商品を選んでコレクションを作成したり、画面の色を変更してショップの雰囲気をブランドイメージに合わせて表現したりできるという。自社の規模や予算に関係なくオンライン事業を始めることが可能で、同社では、いつでもどこでも顧客とつながることができるとしている。
利用者は、ビジネスのFacebookページやInstagramのビジネスプロフィール、またストーリーズや広告からFacebookショップにアクセスできる。コレクションを見て興味のある商品を保存したり、注文することが可能だ。日本では、注文すると各事業者が保有するアプリ外のWebサイトに遷移して商品を購入できる。
また実店舗にいるときに店員に声をかけるのと同様に、Facebookショップでも、質問をしたり、サポートを受けたり、配達を追跡したりするためにWhatsAppやMessenger、Instagramダイレクトを活用してメッセージのやりとりをすることが可能だ。将来的には、WhatsAppやMessenger、Instagramダイレクトのチャット内でビジネスのショップを見て、購入できるようになるとしている。
今後、数カ月で本格提供開始か
Facebookショップはすでに日本国内で提供を開始し、今後数か月をかけてより多くのビジネスや利用者が利用できるようになる見込みだ。 すでにFacebookページショップやInstagramのショッピング機能を利用している事業体は自動的にショップに移行し、メールやアプリ内の通知を受け取り次第、コマースマネージャを通じてショップの外観をカスタマイズしたり、商品を整理してコレクションを作成できるとしている。使用にあたっての各種条件を満たしており、Facebook社による審査で承認されれば、無料でショップを作成することができる。
さらに顧客が、お気に入りの商品を発見し、より簡単に購入できるようにするためにFacebookショップと統合し、Instagram ショップやライブショッピングなどFacebook社が提供するアプリ全体において機能に投資していく方針とのことだ。今年の夏、まずは米国からInstagramの発見タブに「Instagramショップ」という機能を導入し、新しい方法でお気に入りの商品を見つけて購入することができるようになるという。
実現すれば、ショッピング機能を活用している様々なブランドを紹介する公式アカウント、@shopのコレクションからインスピレーションを得たり、お気に入りのブランドやクリエイターが選んだ商品を見たり、美容やインテリアなどカテゴリ別にアイテムを探したり、気に入った商品を購入したりという体験を、すべてInstagramショップの一ヶ所で楽しむことが可能だ。今年後半には、発見タブの上部にあるナビゲーションバーに新しいタブを追加し、ワンタップでInstagramショップにアクセスできるようになるとしている。
ライブコマース機能も提供予定
新作を発表するスニーカーショップから、口紅を試しながら色の違いを説明する美容インフルエンサーまで、長年、利用者は商品を効果的に紹介するためにFacebook社のアプリのライブ動画を活用してきた。
同社では、このような流れを受けて、より簡単にリアルタイムで商品を購入できるよう、ライブショッピング機能の導入に取り組んでいくとしている。まもなく、ビジネスやブランド、クリエイターは、ライブ配信前にFacebookショップ上のカタログから商品をタグ付けすることができるようになるという。
タグ付けされた商品はライブ動画の画面下部に表示され、タップして簡単に詳細を確認したり、購入することができる。この機能は現在、一部のビジネスとFacebookおよびInstagram上でテストをしており、今後数か月以内に広く展開していく予定とのことだ。
様々なパートナーとの協業
また地元のカフェのポイント券のようなロイヤリティプログラムをFacebookアカウントと連携する方法をテストしているそうだ。この機能を通じて、利用者は自分が獲得したポイントや特典を簡単に確認できるようになる。さらに中小事業体がFacebookショップでロイヤリティプログラムを作成したり、管理したり、公開したりできる方法も検討しているとしている。
またパートナーとの協業の面では、オンラインで商品を販売するために中小事業体が必要とするサポートを提供すべく、Shopify、BigCommerceなどのパートナー企業とより密接に連携していくとしている。このようなプラットフォームは、ビジネスの起業や経営、事業をオンラインへ移行するときに役立つ強力なツールを提供しており、中小事業体がFacebookショップを作成し、Facebook社が提供するその他のEC関連のツールを活用して事業を成長させる上でも重要な役割を担うと述べている。
シームレスなショッピング体験を提供
サービス提供の背景として同社では次のように述べている。
「Facebook社は、FacebookやInstagramなどのファミリーアプリを通じて、利用者の皆様が大切な人々やお気に入りのものとつながる場所を提供してきました。これには友人や家族だけでなく、製品やブランド、ビジネスとのつながりも含まれます。初期の『売ります』というキャプションをつけて自転車の写真を投稿していた時代から、Instagram上のお気に入りのブランドやインフルエンサーから購入するようになった現在にいたるまで、商品の売買のためにFacebook社のアプリは多くの人に利用されてきました。このように、ソーシャルコマースは利用者の皆様が思い描き、実践してきたものです。私たちは、そのようなショッピング体験が実現できるようサポートしています。
物を購入するという作業ではなく、ショッピングの楽しさを体験できる場を提供したいと考えています。また、中小ビジネスがそのようなショッピング体験に適応できるよう支援し、利用者が簡単にお気に入りのアイテムを見つけ、購入することができるような環境を構築していきます。
現在、多くの中小ビジネスが困難に直面しており、店舗の営業時間の短縮や自粛に伴い、さらに多くのビジネスが事業の軸足をオンラインへシフトしようとしています。Facebook社は、シームレスなショッピング体験を提供し、中小ビジネスの事業主から世界的なブランドまで、あらゆる規模のビジネスがファミリーアプリを使って顧客とつながることを目標にしています。このような背景から、新たにFacebookショップを提供開始するとともに、より簡単にオンラインでショッピングをしたり、売買したりできるよう、提供するアプリ全体に投資し、機能の拡充を行なっていきます」
このように同社の今回の施策は、端に「Facebookショップ」の展開に留まらず、同社のSNSと連携する各種のアプリを含めたシームレスなECプラットフォーム戦略の一環と見ることができる。SNS上でのEC展開はすでにライバルとなるプラットフォームでも意欲的に進められ、また既存のECプラットフォーム間の競争も、し烈さを増しており、こうしたECプラットフォームとの連携と取り込みを図ることを重視しているとも取れる内容となっている。さらに新型コロナウイルスによる感染拡大によるECそのものへのニーズの高まりといった要素も加わり、同社の生き残りをかけたEC関連施策はさらに加速することになりそうだ。