ECでの「後払い決済額」は2022年に1兆3,500億円に[メルペイ調査]

ECのミカタ編集部

株式会社メルペイは、購入代金を後から支払うことができる後払い決済サービスの認知・利用状況について、後払い決済サービスの利用者・非利用者、総計800名を対象に「後払い決済サービスに関する実態調査」を実施し、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

調査概要

調査時期:2021年3月13日(土)~3月15日(月)
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国、10~50代、男女800名(後払い決済サービス利用者/非利用者)

後払い決済サービスは、約4人に1人が利用

後払い決済サービスは、約4人に1人が利用

商品の購入やサービスを利用する際に、普段使用している決済手段として23.3%が後払い決済サービスと回答し、約4人に1人が利用していることがわかった。

「コロナ禍で利用頻度が増えた」50%超、若年層で多く

「コロナ禍で利用頻度が増えた」50%超、若年層で多く

新型コロナウイルス感染症拡大の前(2020年1月頃)と現在を比べ、50.5%と過半数がキャッシュレス決済(電子マネーやQRコード等決済)や後払い決済などを利用する頻度が増えたと回答。

年代別に見ると10代男性が51.3%、10代女性が52.5%、20代男性が57.5%、20代女性が58.8%と特に10代、20代の変化が大きいことが判明した。

認知度・利用度率「NP後払い」が1位、「メルペイスマート払い」が続く

認知度・利用度率「NP後払い」が1位、「メルペイスマート払い」が続く

「NP後払い」が認知(32.4%)、利用(25.6%)とももっとも高いことがわかった。「メルペイスマート払い」は、これに次いで、認知(29.5%)、利用(17.0%)ともに2番目に高かった。

さらに、年代別の後払い決済サービスの認知・利用を比較すると、10代・20代の約36%が「メルペイスマート払い」を認知しており、若年層の利用や認知率がもっとも高いことがわかった。

「利用額の把握」利用者で意識のギャップ

「利用額の把握」利用者で意識のギャップ

非利用者のうち29.3%が「利用金額を把握しにくいから」という理由で後払い決済サービスを利用しないと回答する一方、利用者のうち23.3%が「利用金額を把握しやすい」ことがメリットだと考えていることがわかった。

非利用者の懸念点である使いすぎの不安に関して、利用者と認識のギャップが大きく、今後、実際に利用することで印象が変わっていく可能性があることが伺える。

各サービスの継続利用をする?しない?

各サービスの継続利用をする?しない?

後払い決済サービス利用者・非利用者に、商品購入をする際、今後も利用を継続したい(新たに利用してみたい)決済手段について質問したところ、後払い決済サービスに関して利用者の36.5%が継続利用意向がある一方、非利用者の新規利用意向は3.3%と最も低い結果となった。

今後利用者と非利用者の認識のギャップが解消されることにより、他の決済手段に比べて利用が拡大する余地が大きいと推測できるとしている。

「生活必需品購入など」の購入が上位に

「生活必需品購入など」の購入が上位に

後払い決済サービスを利用するタイミングについては、クレジットカード保有者(62.8%)、非保有者(60.2%)ともに「日常の生活必需品などの買い物」がもっとも多い回答になった。

一方で、クレジットカード非保有者は「英会話など学習系のサービス利用」や「旅行、映画やイベントやライブなど趣味体験のため利用」の項目でクレジットカード保有者より後払い決済サービスを利用する割合が高く、日常生活以外の体験消費での利用が多い傾向であることがうかがえる。

後払い決済は、少額決済で利用される傾向

後払い決済は、少額決済で利用される傾向

後払い決済サービス利用者のうち、クレジットカード保有者について、クレジットカードと後払い決済サービスの利用金額について質問したところ、クレジットカードの平均月間利用金額が1〜3万円未満という回答がもっとも多いのに対し、後払い決済サービスは3,000円未満との回答がもっとも多く、少額な決済において後払い決済サービスを併用していることがわかった。

情報感度の高い利用者が後払い決済を利用

情報感度の高い利用者が後払い決済を利用

後払い決済サービスの利用者が非利用者に比べて「流行に敏感である」が19.8%高く、情報感度の高い利用者が多いことがわかった。

EC市場の後払い決済額は、2022年に1兆3,500億円に

調査に際して同社では次のように述べている。

「昨今、国内でのコンビニ大手の参入発表など新たな動きもある後払い決済サービスですが、EC市場における後払い決済サービス決済額は、2022年には1兆3,500億円に拡大すると予想されております。また、海外での若年層を中心とした利用の拡大から、世界全体では2025年に後払い決済サービス市場の取引額が約72.8兆円に達するとの見込みが出ており、国内外で市場拡大の一途を辿っています。

メルペイにおいても、2019年4月に『メルペイスマート払い(翌月払い)』の提供を開始し、2020年7月からは翌月以降に分けて支払うことが可能な『メルペイスマート払い(定額払い)』に対応、20〜30代の利用者を中心に幅広く利用されています。今回、こういった利用の拡がりを受け、後払い決済サービスの利用実態や今後の可能性を明らかにすべく、調査を実施いたしました」

また、ニッセイ基礎研究所生活研究部 主任研究員 久我尚子氏は、次のように述べている。

「コロナ禍で非接触志向が高まり、旅行や外食などの“外出型消費”が大幅に減る一方、パソコンやゲーム、内食・中食などの“巣ごもり消費”が活発化するなど、消費行動が変容しています。決済手段への意識にも変化が見られ、調査では、過半数が『コロナ禍でキャッシュレス/後払い利用頻度が増えた』と回答していました。今回の調査で非常に興味深かったのは、後払い決済サービスに感じるメリットにも懸念事項の上位にも『利用金額を把握』もあがり、相反する認識となっていたことです。なお、積極的な利用者層では『アプリでの利用上限額の確認』や『利用額マネジメント』にメリットを感じている傾向もありました。よって、利用者と非利用者間の認識ギャップが大きいだけに、ギャップが解消されれば、伸びしろは大きいと言えるでしょう。

そして、EC化が進む中では、後払い決済サービスのメリットは、やはり『支払う前に商品を確認できること』にもあるでしょう。リアル店舗での買い物では、当然、目て見て触って確認してから支払いますが、ECサイトでは多くの場合、順序が逆です。一方で現状、消費者は、そういうものだと受け入れている状況もあるのではないでしょうか。後払い決済サービスは、そういった認識を変えられる可能性も秘めています。きちんとお金の使い道の見通しを持ちながら、商品・サービスの品質を確認し、賢く楽しく消費活動を楽しむ。後払い決済サービスは有意義な消費活動を行う上での1つの手段になり得るのではないでしょうか」

新型コロナウイルスによる感染拡大の影響によって、EC市場そのものが成長を加速させており、それに応じて各種の新たな決済サービスの浸透も進んでいる。オンラインでのエコシステムが、単にアイテムの販売・購入だけではなく、エンターテイメントをはじめとした、ソフトやコンテンツともシームレスにつながり、人々の生活と意識の劇的な変化が起こる中で、後払い決済の利用も進んでいくことになりそうだ。

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