DHLがB2B ECの成長に関するホワイトペーパーを公表 ミレニアル世代がB2Bにおける意思決定権者に

ECのミカタ編集部

国際エクスプレスサービスのリーディングカンパニー、DHLエクスプレスは、新たに「The Ultimate B2B E-Commerce Guide: Tradition is out. Digital is in.」と題する研究報告書(ホワイトペーパー)を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

ミレニアル世代がB2Bにおける意思決定権者に

同調査では、今後数年でB2B Eコマース市場が大幅に成長し、2025年までにサプライヤーとプロフェッショナルのバイヤー間のB2B取引の80%がデジタルチャネルで行われるとの調査結果が示されている。同社によれば、新型コロナウイルスの蔓延によるデジタル化の加速、そしてテクノロジーに精通したミレニアル世代が今やB2Bにおける意思決定権者となっていることが、グローバルEコマース市場の成長の主な推進力となっているとしている。

DHLエクスプレスのジョン・ピアソンCEOは次のように述べている。

「世界的なシャットダウンの時でさえ、グローバリゼーションは、デジタル化と国際貿易に支えられ、回復力を示しています。
(中略)
このトレンドが、今まで以上に多くの消費者をオンラインショッピングへシフトさせています。新型コロナウイルスは、これまでにないほどオンライン化を加速し、グローバルマーケットプレイスで商品を販売する企業が急増しています。Eコマースとグローバルロジスティクスは、国境を超えて経済を支え、私たちのお客様の多くが直面している新型コロナウイルスの影響を軽減する役割を果たしています」。

さらにホワイトペーパーでは、グローバリゼーションやデジタル化などの一般的なトレンドの他に、新しいテクノロジーに慣れ親しんだミレニアル世代の台頭が、グローバルB2B Eコマース市場の成長をけん引する要因を明らかにしている。

すでにミレニアル世代は、B2B取引における購買決定の73%を占めている。デジタルネイティブとして、B2C分野で培った経験により、B2B取引においてもデジタル化に強い期待を抱いており、新たなECプラットフォームなどのデジタルソリューションに対する企業の投資を促し、大きな成長の可能性を示している。

コロナ禍でEC市場の成長が加速

コロナ禍でEC市場の成長が加速

DHLエクスプレスアジアパシフィックのCEOケン・リー氏は次のように述べている。

「特に中国を除くアジアパシフィックにおける2020年の11月と12月のピーク月の貨物ボリュームは、昨年比で17.3%の伸びがありました。この伸びはより活動的なシッパーと顧客あたりの支出が21%増加したことによるものです。この2か月だけでもB2C貨物は65%増加しており、特にコンシューマーテクノロジー製品やファッションアパレルが最も貢献しました。
(中略)
この衰えを見せないボリュームの急増は、オンラインショッピングと国境を越えた配送需要の伸びを明確に示しており、ロジスティクスサービス企業は、消費者ニーズを満たし対応するために敏捷であり続けることが重要であることを意味します」。

デジタル化と消費者の購買行動の変化により成長したのは、B2C Eコマースだけではない。パンデミック前の2019年には、B2B Eコマースサイトやマーケットプレイスにおける世界の売上高はすでに18.2%の増加を見せ、12.2兆ドルに達しており、B2Cセクターの市場規模を上回った。新型コロナウイルスによるデジタル化の加速を受け、このグローバルB2B Eコマース市場は2027年までに20.9兆ドルに達すると見られている。

B2Bセクターの今後の予測は、ここ数年のB2C Eコマースの大幅な増加にすでに表れているようだ。DHLエクスプレスは、特にホリデーピークシーズン(イースターやクリスマスなど)や、メガショッピングデー(ブラックフライデー、サイバーマンデーなど)に高い成長率を実現しました。DHLエクスプレスのネットワークにおける2020年のB2C Eコマースの合計貨物量は、前年比で約40%増加した。

このポジティブなビジネスの進展は、同社の2020年通期の業績にも表れている。売上高191億ユーロ(昨年対比+11.9%)と、営業利益27億ユーロ(同+34.9%)で、ドイツポストDHLグループのエクスプレス部門としては過去50年で最高の業績だった。ワールドワイドなネットワークと幅広い産業に広がるサービスでDHLエクスプレスは急速に発展する流通に対応することができたとしている。さらに、220以上の国と地域で展開していることで、消費者や企業を繋ぎ、新型コロナウイルス禍でも世界中で貿易の実現を果たしてきた。

激変するEC市場とトレンドに対応

激変するEC市場とトレンドに対応

同社はまた次のように述べている。

「2020年、DHLエクスプレスは4億8,400万件の貨物を地球上で配達しました。貨物量としては1日あたり前年比で約9%増えています。このネットワークの急増を吸収するために、DHLエクスプレスは、最新鋭施設や仕分け能力の増強(2013年比+65%)、新たな従業員の雇用(昨年対比1万人増)、そして新たな貨物機の追加(昨年比+20機)などのために、年間10億ユーロ以上の投資を続けています。これに関連して、DHLエクスプレスはボーイング社のB777ワイドボディの貨物機を8機購入し、スマートリンクス・マルタ航空とのパートナーシップにより2機のエアバスA321を追加しています。これらの対応で、DHLエクスプレスは、世界中のお客様のグローバルEコマースのブームによるベネフィットを確かなものにしています」

新型コロナウイルスによる感染拡大の影響によって、一気にEC市場の拡大と構造変化の速度が加速している。それは物流量の拡大と質的変化のみならず、ミレニアル世代がビジネスにおける意思決定権者になるといったプレーヤーや消費動向のシフトにも表れていると言えそうだ。

ECのミカタ通信21号はこちらから


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事