商品マスタ登録とは?MDMの必要性やおすすめのERPシステムを解説

ECのミカタ編集部

商品マスタ登録とは?MDMの必要性やおすすめのERPシステムを解説

商品マスタ登録は、データを適切に取り扱ううえで必要な業務です。データの一元管理、システム間のデータ連携に際して、商品マスタを用いて管理することは重要な意味をもっています。また、商品マスタによってデータを管理する際は、承認や決裁のルール、事前・事後の確認を徹底することが大切です。適切な管理体制を整えておくことで、あらゆるデータを正しく管理できるでしょう。

商品マスタ登録とは

商品マスタ登録とは、システム上に商品マスタを登録することです。商品マスタには一つひとつの商品に関するデータが登録されており、仕入れや販売を管理するうえで用いられます。商品マスタはシステムによって管理されるようになってから普及しましたが、同様の項目をまとめた台帳は以前から用いられていました。

商品マスタとは


商品マスタとは、仕分けや計上のもととなるデータです。商品に関するデータがまとめられており、主に以下のような情報が含まれます。
●商品コード
●JANコード
●商品名
●型番
●サイズ
●カラー
●仕入れ先
●仕入れ価格
●店舗コード
●課税区分

GTIN(JANコード)とは


GTINコードとは、Global Trade Item Numberの頭文字をとったものです。「JANコード」とも呼ばれており、商品バーコードとともに記載されている数字を指します。GTINは流通システム開発センターが管理しており、メーカーは自社で製造した商品について規則の範囲内で自由にGTINを設定可能です。GTINは「GS1事業者コード+アイテムコード+チェックデジット」から構成されています。

マスタデータ管理(MDM)はなぜ必要?

近年では、ほとんどの企業が商品をはじめ、顧客、仕入れ先などをマスタによって管理しています。マスタデータ管理は事業活動において必須ともいえるでしょう。しかし、マスタデータ管理はなぜ必要なのでしょうか。以下では、マスタデータ管理が求められる理由について解説します。

システム間のデータ連携


企業において運用しているシステムが一種類ということはほとんどありません。販売管理や在庫管理、会計、物流のように、それぞれの業務ごとに特化したシステムが導入されています。しかし、システムごとにデータの管理方法が異なると、システムをまたいだデータ連携が不可能です。

たとえば、棚卸の際に在庫数のずれが生じていたとしても、仕入れシステムと販売管理システムの間で整合性を確認することができなくなります。一方、すべてのシステムにおいて同一のマスタデータを利用していれば、それぞれのシステム内で商品マスタで検索をかけられるため、データが一致しない原因を究明できます。

正確なデータ分析


マスタデータは、正確にデータを分析するうえでも重要な意味をもっています。あらゆる情報をデータ化できる現代において、データ分析は事業を成長させる要素の一つです。販売管理データから季節ごとの人気商品を調べたり、顧客管理データから新規顧客の開拓先を発見したりと、データからはさまざまな情報が得られます。しかし、正確にデータを分析するには徹底した管理体制が必須です。
一つのシステム内で分析が完結するケースは少ないため、統一したマスタデータで一元管理することが大切です。

商品マスタ登録の業務フロー

前述のとおり、商品マスタ登録やマスタデータ管理は、データを正しく保管して分析するうえで非常に重要です。商品マスタ登録に際して、適切な業務フローが整理されていないと、システムで管理していても意味がありません。以下では、商品マスタ登録に関する業務フローについて解説します。

業務とシステムの整理


はじめに業務とシステムの関係性を整理します。メーカーの場合、原材料の仕入れから製造、卸売業者への販売、物流などの一連の業務を書き出します。その際、担当部門や担当者、利用するシステム、マスタデータの資料などもあわせて記載すべきです。また、個々の業務についても細かく分類しておきます。直接業務に携わっていない人にもわかるよう、具体的に書き出すことが大切です。

入力ルールやフォーマットの統一


次に、各システムにおいて入力ルールやフォーマットを統一します。それぞれのシステムを個別に運用している場合、データ上の商品名や区分が全社で統一されていないケースも考えられます。たとえば、一つの商品について「ポテトスナックコンソメ」と「ポテトスナックコンソメ味」の二つの表記が存在するのは典型的な例です。

また、入力ルールやフォーマットを統一する前には、必ず正となるデータを特定しておきましょう。正となるデータとは、システム間でデータの齟齬が生じた際にもっとも正しいと考えられるデータです。

ERPツールの導入


ERPとは、Enterprise Resources Planningの頭文字をとったものです。「企業資源計画」とも呼ばれており、ヒト・モノ・カネなどのリソースを有効に活用することを指します。ERPツールは、あらゆる情報を一元管理して、企業資源を適切に運用するための基幹システムの総称です。ERPツールの導入によって、業務ごとに分かれていたシステムを統合して管理できるようになります。なお、ERPツールの導入時には、マスタ登録の担当者、業務フローを決めておくことが重要です。担当者やフローを明確にしておかないと、責任の所在がわからないミスなどが発生しかねません。

商品マスタ登録における内部統制のポイント

商品マスタ登録は、ERPツールを導入して終わりではありません。導入後の運用や管理こそ、重要なポイントです。とくに内部の体制をしっかり整えておかないと、一元管理していてもデータの重複や乖離が生じるおそれがあります。以下では、商品マスタ登録における内部統制のポイントについて解説します。

承認・決裁ルールを確定する


マスタデータを用いて社内の情報を管理する際、もととなるマスタデータの新規登録や編集が自由にできてしまうと混乱につながりかねません。そのため、承認や決裁に関するルールを設定しておくことが大切です。社内の稟議フロー、決裁フローを整備することはもちろん、事前承認を得ないとデータを変更できないように、システム上で権限を設定しておくとよいでしょう。

事前・事後の確認を徹底する


マスタデータの変更がある場合、承認や決裁だけではなく、事前・事後の確認を徹底することも重要です。承認や決裁によってマスタデータの変更について全社で共有できますが、その後の変更作業を担当者のみで対応すると、入力や更新の際にミスが発生するおそれもあります。そのため、変更の前後にはダブルチェックをするようにしましょう。

商品マスタ登録におすすめの支援ツール・システム

取り扱う商品数が多くなると、商品マスタを登録するだけでも多くの時間や人員が必要です。さらに、一つひとつについて稟議や承認、整合性のチェックを含めると、大幅に業務負担が増加します。そのため、手軽に商品マスタを管理できる支援ツールやシステムを導入するのも一つの手です。以下では、商品マスタ登録におすすめのツールやシステムについて紹介します。

eBASE


eBASEは、商品やコンテンツの情報を一元管理できるデータベースソフトウェアです。商品、顧客、社員のマスタデータを管理できるほか、それぞれのシステムを連携できるため、基幹システムとしても活躍します。eBASEの特徴は、業界ごとに商品情報のデータベースを構築している点です。そのため、サプライヤーがバイヤーの商品情報シートに入力する手間を軽減できます。食品や日用品、工具、文具をはじめ、さまざまな業界において独自のデータベースをもっているため、業務負担の軽減につながるでしょう。

バイヤーズネット


バイヤーズネットは、メーカー・卸売・小売業者向けにチューニングされた情報提供プラットフォームです。商品情報や業界ニュースを中心に発信するポータルサイトとして機能しており、メーカーが商品データベースに情報を登録すると、営業担当者や取引先は取引情報を閲覧できる仕組みです。

バイヤーズネットを開発した株式会社プラネットは、BtoBの受発注に用いられるEDIも手がけており、バイヤーズネットにおいてもEDIシステムに近いサービスを提供しています。利用できる機能によって複数のプランを用意しており、最上位のフルパッケージではマスタデータの保存や管理もバイヤーズネット上でまかなえます。

ネクストエンジン


ネクストエンジンは、店舗運営におけるデータ管理を効率化するためのシステムです。ECサイトでの導入事例が多いものの、実店舗や卸売をはじめとする業態でも万能に活用できます。カートASPやECモールはもちろん、販売管理や顧客管理、POSなどのシステムとも連携でき、基幹システムとしての汎用性の高さが評価されています。

また、アプリを用いて機能を追加できる点がネクストエンジンの強みです。カスタマイズ性に長けており、事業の成長に合わせて機能を追加できるため、長期にわたって一つのシステムを継続して利用できます。基幹システムを乗り換える場合、受発注フローや社内の体制にも変化が生じるため、取引先への共有や内部の整備にも時間や工数がかかります。その点においても、長期的に利用できるシステムは強いといえるでしょう。

インフォマート


インフォマートは、BtoB取引において利用できるシステム「BtoBプラットフォーム」を提供しています。BtoBプラットフォームは、商談や受発注、契約、請求に至るまで、あらゆるビジネスシーンをカバーできるシステムです。2022年2月現在、導入企業数は69万社を突破しており、年間流通総額18.5兆円を誇る業界最大級のプラットフォームです。また、BtoBプラットフォームは、無料でIDを取得して利用を開始できます。大規模な基幹システムの場合、導入するのに数百万円のコストがかかるケースもあるため、無料登録して使用感を試せるのは大きなメリットです。

まとめ

商品マスタ登録は、データを適切に取り扱ううえで必要な業務です。データの一元管理、システム間のデータ連携に際して、商品マスタを用いて管理することは重要な意味をもっています。また、商品マスタによってデータを管理する際は、承認や決裁のルール、事前・事後の確認を徹底することが大切です。適切な管理体制を整えておくことで、あらゆるデータを正しく管理できるでしょう。


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