顧客インサイトとは?理解するための手法や分析のポイント、活用の注意点

ECのミカタ編集部

顧客インサイトとは?理解するための手法や分析のポイント、活用の注意点

「顧客インサイト」とは、顧客が自分自身でも気付いていない意識のこと。担当者としては、「顧客インサイトを理解し、マーケティングに活かしたい」「顧客インサイトを考察するための観点を得たい」と考えることもあるのではないだろうか。

今回は、顧客インサイトの重要性を解説するとともに、把握することの重要性や分析をする際のポイントを紹介していく。活用する際の注意点も述べているので、参考にしてほしい。

目次

●顧客インサイトとは
●顧客インサイト把握の手順
●顧客インサイトを分析する際のポイント
●顧客インサイトを活用する際の注意点
●まとめ

顧客インサイトとは

「インサイト」は、直訳すると「洞察」「見通し」「発見」などの意味を持つ言葉だ。「顧客インサイト」とは、顧客が自覚していない、抽象的かつ潜在的な本音や欲求を指す。まずは、混同されることの多い「ニーズ」との違いや、顧客インサイトを考察することの重要性をおさえよう。

「ニーズ」との違い


一般的に、ニーズには「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」があると言われている。顕在ニーズは具体的かつ顧客が自覚していることが大半で、顧客インサイトとは具体度や自覚の有無が異なる。潜在ニーズと顧客インサイトは、顧客自身が認識しづらいという点では同義だが、顧客インサイトの方が深層心理の段階が深いことが特徴だ。

顧客インサイトを考察することの重要性


近年、国内のあらゆる市場が飽和状態となっており、単純に商品やサービスを提供するだけでは、市場競争を勝ち抜くことが困難だ。新たな需要をつくり出し他社との差別化を図るためには、顧客の無意識下の心理や根拠を探り、アプローチをする必要がある。

顧客インサイトを細かく分析し、顧客がどのような価値や体験を求めているのかを本質的に理解することは、具体的なマーケティング戦略につながる重要な作業であると言えるだろう。


顧客インサイト把握の手順

次に、顧客インサイトを把握するまでの具体的な手順を説明する。

①データを収集する


まずは、社内にあるデータを収集し、整理することが必要だ。不要なデータを取り入れると分析が煩雑になる可能性があるため、事前に分析の目的を明確にしたうえで必要なデータを集めよう。「アクセス解析」「CDP」「プライベートDMP」など、データベースやツールを導入するのも有効だ。

必要なデータが揃っていない場合は、追加調査を行う。調査には、「アンケート」や「インタビュー」などの顧客に直接質問する方法と、「SNS」などからデータを検索する間接的な方法とがある。質問の意図や得られるデータを意識し、事前に仮説をたてておくことで調査を効果的に行えるだろう。

②データの分析を行う


次に、アクセス数やアンケートの満足度などの「定量的なデータ」と、アンケートのコメントやインタビュー内容から得られる「定性的なデータ」の2つを用いて、相互分析を行う。

前提として、顧客インサイトの考察は顧客の深層心理を探ることにある。表面的な数字やコメントだけではインサイトを把握しきれない可能性があるため、「定量データでおおよその検討をつけ、定性データで深掘りをする」「定性データに基づく仮説を定量データで裏付けする」など、相互分析により仮説の信頼度を上げる工夫が必要だ。

③フレームワークなどを用いて顧客インサイトを定義する


続いて、フレームワークなどを用いて顧客インサイトを定義していく。代表的なフレームワークには、収集した顧客情報をもとにターゲットとなる顧客を想定する「ペルソナ分析」や、6つの要素から顧客の状況や感情を把握する「共感マップ」、顧客の購買プロセスを可視化する「カスタマージャーニーマップ」などがある。

固定概念に捉われてしまうと、新たな視点を得にくいだけでなく顧客インサイトを探りにくくなるため、従来の視点を脇におき、顧客の目線になって柔軟な視点で捉えることが重要だ。


顧客インサイトを分析する際のポイント

続いて、顧客インサイトを分析する際に重要な観点を紹介する。

現象と原因から探る


まずは、現象につながる原因を掘り下げ、従来とは異なる視点を得る方法だ。アンケートなどで得られるコメントの明確な背景を、顧客が自覚していないケースは多いとされている。原因について幅広い思考を巡らせることで、これまで自社や顧客が気付かなかった新たな視点を見出せる可能性が高まるだろう。

手段と目的から探る


手段と目的の関連性を探ることも、顧客インサイトを理解するポイントだ。手段の1つとして同じ商品を購入したとしても、その目的は顧客によって異なる可能性がある。なぜ顧客がその手段を求めているのかを多角的に見つめることで、顧客が抱える悩みや根本的な解決方法に気付きやすくなるだろう。

矛盾から探る


アンケートの回答と行動の矛盾点などから、顧客インサイトを探る方法もある。例として、「ヘルシーな食事を意識したい」と回答した顧客が、健康によくないとわかっていながら好物の高カロリーな食品を食べてしまうこともあるだろう。矛盾から顧客が個本当に求めている欲求を探し出すことは、新しい視点を得るきっかけになるかもしれない。

プラス面とマイナス面から探る


商品やサービスの見方を変えることで、マーケティング効果を得られることもある。例として、マイナス面をネガティブな要素ではなくポジティブな要素として露出させることで、固定概念やポジティブなメッセージに対する偏見を払しょくすることができるだろう。新しい視点を得るためには、プラス面だけでなくマイナス面にも目を向けることが重要だ。

普遍的な欲求から探る


人間の普遍的な欲求に立ち返ることで、視点が得られることもあるかもしれない。食欲や睡眠欲などの生物学的な欲求や、「楽しみたい」「快適に暮らしたい」「認められたい」などの基本的な欲求は、時代が変わっても大きく変化することがないとされている。普遍的な欲求に対するアプローチができているかという観点も、データを分析する際に取り入れてみるとよいだろう。


顧客インサイトを活用する際の注意点

顧客インサイトは顧客の無自覚の心理を探る行為であり、検証やデータの裏付けなどに時間も要するため「周囲からインサイトの理解を得るまでに時間がかかる」「自身の理解度が確認しにくい」などの課題もある。また、欲求に対するストレートな表現は顧客に不快感を与える危険もあるため、やんわりとしたアプローチで消費者行動に結び付けられるような工夫が必要だ。


まとめ

顧客インサイトは潜在的な意識を示すものであるため、理解することで精度の高いマーケティングを行うことができる。一方で、アンケートの結果などの表面的な内容と実際のインサイトが異なることも多いため、担当者には表面的な事象から本質を見極める観点と、顧客の目線にたった柔軟な発想が必要だ。今回紹介した分析のポイントを参考にしながら顧客が本当に求めているものを探り、自社の経営戦略を見直してみてはいかがだろうか。


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