EC事業者の課題は「集客」と「リピート購入」[AtoJ調査]

ECのミカタ編集部

クラウド型EC プラットフォーム「メルカート」を提供する株式会社エートゥジェイ(東京都港区・代表取締役社長 飯澤満育)は、全国のEC事業に携わっている20代~60代の男女400名を対象に、運営業務に関して「課題に思っていることや、CRMマーケティング施策」について調査し、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

Q.現在のEC業務における課題として、当てはまるものは? [n=400]

Q.現在のEC業務における課題として、当てはまるものは? [n=400]

現在のEC業務における課題のトップ3が、1位:「集客」(56.3%)、2位:「リピート購入」(40.0%)、3位:「客単価が上がらない」(26.3%)という結果になった。次いで「初回購入」 (21.0%) 、「顧客分析ができていない」(21.0%)が上位となり、いずれもCRM領域の課題が目立つ結果となった。

Q. CRMマーケティングツールを導入している? [n=400]

Q. CRMマーケティングツールを導入している? [n=400]

CRM領域に課題を持っていると回答した事業者が多くいる中で、51.2%は自社のECサイトでCRMツールを導入していないと回答した。また、CRMツールを導入していると回答した事業者は、導入する際に初期費用として平均約300万円、月額費用として平均約70万円の費用をかけているという結果だった。

同社は、このことから、半数以上はカートに付随されている、簡易的な分析や注文完了などのメール配信がメインとなっていると分析している。さらにツールを導入して月額平均約70万円の費用をかけているにも関わらず、 CRM領域に課題を持っている事業者が多いということは、機能を使いこなせていない可能性があるともしている。

Q.EC業務における課題として当てはまるものは?クロス集計 [n=195]

Q.EC業務における課題として当てはまるものは?クロス集計 [n=195]

CRMマーケティングツールを導入している事業者の51.8%が「集客」とともに「リピート購入」に課題を抱えていることが分かった。また同率の集客とリピート購入が課題の事業者が具体的に行っている施策を調べたところ、ともに1位:「自動配信メール」、2位:「SNS運用」、3位:「広告」という結果となった。

同社は、集客の課題に対して行っている施策は適切だが、リピート購入の課題に対しての施策は“やりたいこと”と“やっていること”にズレが生じていることが明らかになったと分析している。

さらにリピート購入が課題と回答した事業者の3人に1人が、導入しているCRMマーケティングツールを使いこなせていないことが分かった。導入しているツールの割合を調べたところ、「MAのみ」が26.8%、「BIのみ」が43.9%、「CDPのみ」が19.5%、「総合CRMツールのみ」が9.7%、「メール配信のみ」が0%という結果だった。

サマリー

調査から次のことが分かった。

▶EC事業者の5大課題はCRMマーケティング

▶51.3%は自社のECサイトでCRMツールを導入していない

▶CRMツールを導入する際の初期費用は平均約300万円、月額費用総額は平均約70万円

▶CRMツールを導入している事業者の51.8%が「集客」とともに「リピート購入」が課題

▶集客とリピート購入が課題と回答した事業者が具体的に行っている施策は、自動配信メール、SNS運用、広告

▶導入しているCRMツールの種類はBI(54.9%)とMA(53.8%)となり、BIやメール機能が統合された総合CRMツールの導入率は24.6%と低い

調査結果を受けて株式会社エートゥジェイ、代表取締役の飯澤満育氏は次のように述べている。

「今回の調査により、EC事業者の2大課題は集客とリピート購入である事が判明しました。集客を課題としている事業者も、リピート購入を課題とする事業者も実施している施策に差異がないという結果になりました。このことから、CRMが課題である事業者は課題に対するツール選定や、マーケティング施策の選択がミスマッチになっていると考えられます。眼前に広がる課題の為の分析や現状把握までは出来ていても、分析から施策まで落とし込む広い範囲でのツール選定知識の不足が背景にはあるのではないでしょうか。

売上が自然に上がるような万能ツールは存在しません。CRMツールをより使いこなし成果を出すには、ツール選定知識に加えて、ユーザーを引き付けるCRMマーケティングノウハウも必要です。そして何よりも継続した運営をしていくリソースの確保がとても大切です。これからCRMツールの導入を検討される際は、社内で蓄積されたノウハウを、分析だけでなくしっかりと施策まで一気通貫で落し込めるツール選択を意識してみてはいかがでしょうか」

言うまでもなくEC展開においてもCRM施策は、顧客との関係性を強化し、ロイヤリティを醸成する上でも導入と適切な運用が望まれるところだ。それにより運営企業やブランド価値向上にも寄与することになる。一方で、CRMツールを導入するにも費用面や運用面で課題が付いて回ることになる。今後、より効果的に顧客との関係性を考える上でも、今回の調査は、EC事業者が置かれている現状を浮き彫りにする同社らしい視点のものとなったと言えそうだ。

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